小型車を得意とするスズキ渾身の作とは!? 優れたデザインのスズキ車5選
くるまのニュース / 2020年5月20日 6時10分
スズキは創業以来、軽自動車やコンパクトカーを中心に販売し、決められたサイズ制限のなかにさまざまなアイデアを盛り込んだ、機能美あふれるデザインのクルマを数々送り出してきました。そこで、優れたデザインのスズキ車を5車種ピックアップして紹介します。
■100年の歴史で培った秀逸なデザインのスズキ車を振り返る
1920年に織機メーカーの「鈴木式織機製作所」として創業されたスズキは、1952年からオートバイの開発を開始し、1955年には4輪自動車の製造に進出して、日本の小型自動車市場をリードしてきました。
最大のライバルであるダイハツと常に競い合いながら、数々の新しいトレンドを生み出してきたスズキのクルマは、そのデザインにおいても優れたものが数多く存在。
そこで、秀逸なデザインのスズキ車を5車種ピックアップして紹介します。
●フロンテクーペ
軽自動車ながら本格的なスポーツカーとして開発された「フロンテクーペ」
1970年に登場したスズキ3代目「フロンテ」は、「スティングレイ・ルック」と呼ばれたシャープなラインを持つ、スタイリッシュな2ドアファストバックセダンに生まれ変わりました。
そして1971年には、高出力なエンジンを搭載した軽自動車初のRRスポーツカー「フロンテクーペ」がデビュー。
フロンテクーペは軽自動車初のスポーツカーと呼ばれ、低いフロントノーズと傾斜したフロントガラスから続く小さなキャビンスペースが特徴の、まるでイタリアのスーパーカーを小さくしたようなルックスで、若者からの絶大な支持を得ます。
デザインは巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが主宰する、イタルデザインによる原案から生まれたもので、デビュー時は2シーターのみとされるなど、スポーツカーらしさが強調されていました。
内装も6連メーターを備えたタイトなコクピットに、ローバックタイプのバケットシートが採用され、座るだけでワクワク感がこみ上げます。
3キャブレターを装着し、37馬力を誇る360cc2サイクル直列3気筒エンジンの音とフィーリングは刺激的で、見た目だけでなく走りも間違いなくスポーツカーといえました。
●アルトワークス
スペックだけでなくメカニズムも軽自動車の水準を超えていた「アルトワークス」
1979年に登場した初代「アルト」は、47万円という驚異的な低価格によって大ヒットを記録します。
そして、1980年代になると軽自動車にもターボ化の波が押し寄せ、馬力競争が勃発。
1987年には軽自動車として最強となる、64馬力を発揮するエンジンを搭載した「アルトワークス」シリーズが発売されました。
グレードはFFの「RS-X」とフルタイム4WDの「RS-R」で、外観にはシャンパンゴールドの大型フロントバンパーやサイドスカート、リアバンパーを装着。
オーソドックスな軽ボンネットバンの車体を、見事にスポーツモデルへと変貌させています。
また、内装もブラックベースにピンクの挿し色でカラーコーディネートされ、軽自動車らしいポップな印象を演出。
搭載されたエンジンは550cc直列3気筒DOHCターボで、前述のとおり64馬力を発揮。リッターカーはもちろん、1.6リッタークラスのクルマに並ぶ俊足ぶりでした。
なお、アルトワークスの登場がきっかけで軽自動車の最高出力自主規制が始まり、現在も64馬力が上限のままです。
●ワゴンR
トールワゴンのスタイルを確立した先駆者「ワゴンR」
1993年に発売されたスズキ初代「ワゴンR」は、4代目「セルボ」をベースに広い室内を実現した軽トールワゴンです。
四角いボディで大人4人が快適に乗車でき、フラットになるリアシートから生みだされる広いラゲッジスペースや、視界と乗降性に優れたアップライトなドライビングポジションなどが特徴。これまでの軽自動車にはなかった新時代のモデルとして開発されました。
ターゲットユーザーを30代男性としたことで、車高の低い一般的な軽乗用車や、商用車から派生した1BOXタイプでは満足できない層に受け入れられ、大ヒットを記録。
使い勝手と走りのバランスの良さが認められると、幅広い層の購入に繋がり、競合メーカーからも次々と類似車種が発売されたほどでした。
ワゴンRは、その新しさが認められ1993年のグッドデザイン賞を受賞。その後も2008年、2012年、2017年とグッドデザイン賞を受賞し、2009年度はグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するなど、ブレないコンセプトが称賛されました。
■最新モデルにも優れたデザインのクルマがある!?
●バレーノ
カタマリ感のあるデザインが印象的な「バレーノ」
インドで展開しているスズキの子会社「マルチ・スズキ」が、2015年にインド国内向けに発売したコンパクトハッチバック「バレーノ」は、2016年から日本や世界各国へ輸出しているグローバルカーです。
ボディは5ドアハッチバックのワイド&ローなフォルムで、幅広のフロントグリルと特徴的な縦型ヘッドライトによって力強くエレガントなスタイリングを実現。
内装は、曲線と曲面で構成されたインストルメントパネルを中心とした、優雅さ、躍動感、広がりを感じるデザインで、マルチ・スズキのプレミアムコンパクトカーに相応しい印象です。
搭載するエンジンは102馬力を発揮する1リッター直列3気筒ターボと、91馬力の1.2リッター直列4気筒の2種類を設定。トランスミッションはターボが6速AT、自然吸気がCVTと組み合わされています。
バレーノの特筆すべき点は全幅1745mmの3ナンバー車ながら、自然吸気が910kg、ターボが950kgという車重で、3ナンバー車のなかでもっとも軽量なクルマです。
ボディ剛性を向上させつつ軽量化を実現する、スズキの軽量化技術の集大成ともいえる1台ではないでしょうか。
なお、日本での販売は苦戦が続いていますが、生産国のインドでは販売が好調で、2019年1月にはフロントフェイスの意匠変更などマイナーチェンジがおこなわれました。
●ジムニー
機能的な外観から均整の取れた美しさがにじみ出る「ジムニー」
1970年に発売されたスズキ初代「ジムニー」は、小型軽量ボディに耐久性の高いラダーフレーム、リジッドサスペンションと大径タイヤの装着、2速の切り替えが可能なパートタイム4WDなどによる高い悪路走破性を実現した、日本を代表する本格的なクロスカントリー車です。
初代のコンセプトは代々引き継がれ、2018年に20年ぶりとなるモデルチェンジを果たした4代目は、初代を彷彿させるスクエアなボディに丸型ヘッドランプ、5スロットグリルや、クラムシェルボンネットフードなど、ジムニーらしさを継承するデザインアイコンを随所に取り入れながら、洗練されたデザインとなりました。
内装はシンプルなメーターやスイッチ類が特徴で、余計な加飾が施されておらず、機能的に配置されています。
搭載されるエンジンは64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。
飾らない潔さを追求し、専門家が愛用する「プロの道具」をデザインコンセプトとした機能美が高く評価され、これまでにないほどの女性ユーザーの獲得にも成功しています。
※ ※ ※
ジムニーやアルト、スイフトなどのコンセプトから見て、スズキのクルマづくりの姿勢は、近年大きく変化したといえます。
とくに他社を圧倒する軽量化技術は目をみはるものがあり、走行性能と安全性能を高い次元で両立させました。
スズキは2020年に創業100年という大きな節目を迎え、今後のさらなる変化や発展が予想されるため、これからも新たなスズキ車の誕生に期待が高まります。
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