ヨーロッパでも好調のトヨタ「ヤリス」。人気のBセグメントライバルと比べてみた
くるまのニュース / 2020年5月25日 11時50分
日本と同様、ヨーロッパでも2020年2月に発表されたトヨタ新型「ヤリス」。4代目に進化したヤリスだが、このBセグメントと呼ばれるコンパクトクラスは、欧州では一番販売台数の多いカテゴリーとなるため、ライバルひしめく激戦区となっている。そんなライバルと比較してみた。
■欧州市場ではBセグメントは一番の激戦区。魅力的なライバルが多い
2020年2月10日に発売になった新型車「ヤリス」。これまで「ヴィッツ」の名称で販売されていたコンパクトカーが、今回の第4世代となるフルモデルチェンジを機会に世界市場で使われている名称、ヤリスを使用するようになったものだ。
この第4世代となる新型ヤリスの特徴は、すべてが新しくなっていることだ。
プラットフォームはGA-Bと呼ばれる新世代のコンパクトカー向けTNGAプラットフォームを採用している。このGA-Bの使用は、今回の新型「ヤリス」が初となり、今後は幅広い車種に採用されるという。
また、エンジンとトランスミッションも新世代のものを採用。パワートレインは、1.0リッターと1.5リッターのガソリンエンジン、そして1.5リッターのハイブリッドの3種。1.5リッター直列3気筒のガソリンエンジンは「ダイナミックフォース」と呼ばれる新世代のエンジンだ。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、1速の発進ギア付きのCVT「Direct Shift-CVT」。1リッターのエンジンに組み合わされるCVTも小型軽量化されたものだ。またハイブリッドシステムも刷新されている。
さらに、サスペンションもゼロベースから新規開発。軽快なハンドリングと上質な乗り心地を高い次元でバランスさせている。またトヨタのコンパクトカーとして初めて、電気式4WDシステムの「E-Four」を採用。また燃費はWLTCモードで最高36.0km/Lを記録している。まさに世界最高レベルの優れた燃費性能だ。
先進の運転支援システムの充実も新型ヤリスの特徴となる。
標準装備のトヨタ・セーフティセンスの衝突被害軽減自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)は、歩行者や車両だけでなく、右折時の対向直進車や右左折後の横断歩行者も検知対象(トヨタ初)とするなど、最新の機能が与えられている。トヨタが現在に用意できるベストな環境性能と安全装備が、この新型ヤリスには採用されているのだ。
ヤリスは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm(FF)となる。ホイールベースは2550mmで、日本での価格帯は139万5000円(1.0L X Bパッケージ)から249万3000円(HYBRID Z 1.5L E-Four)だ。
すべてを新しくした新型「ヤリス」の販売は順調だ。発売1か月での受注は、目標の約5倍となる約3万7000台。2020年4月の新規登録台数は1万119台で、乗用車ブランド通称別順位で首位を獲得している。ただし、これは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全体的に数字が落ちている。ライバルである新型「フィット」との販売競争は、これから、さらに本格化していくことだろう。
ヤリスは、欧州でも毎年20万台以上が売れる重要な市場だ。
WRCに参戦し、「GRヤリス」を発表するのも欧州市場を意識しているゆえ。そうした欧州市場でのライバルとなるのは、同じBセグメントに属するコンパクトハッチバックモデルのライバルたちだ。
●フォルクスワーゲン「ポロ」
フォルクスワーゲン「ポロ」。現行型は6代目となる
欧州市場でもっともマーケットシェアの高いブランドは、フォルクスワーゲンだ。
欧州マーケットの規模は、ここ5年ほどは年間1500万台代となっており、そのうちの約11%となる約170万台をフォルクスワーゲンが占める。
そのフォルクスワーゲンのBセグメントハッチバックが「ポロ」となる。現行型は上級モデルと同様、MQBプラットフォームを採用して2018年に登場した6代目モデル。欧州での人気は非常に高く、2018年は約30万台、2019年は約26万台を販売。欧州市場のBセグメントのトップクラスの人気を誇っている。
ポロのサイズは、全長4060mm×全幅1750mm×全高1450mm、ホイールベースは2550mm(日本仕様)と、ヤリスよりも全長は120mm長く、全幅は55mm幅広で、50mm車高が低い。ホイールベースはヤリスと同等になる。
日本での価格帯は、265万3000円(TSIコンフォートライン リミテッド)から386万円(GTI)となる。
●ルノー「クリオ(日本名・ルーテシア)」
ルノー新型「クリオ」。5代目となるモデルだが、日本では4代目モデルが「ルーテシア」名で販売されている
日本における「クリオ(ルーテシア)」の存在感は非常に小さいが、欧州での立場はまったく違う。
フランス市場でいえば2019年の四輪車販売台数ナンバーワンのベストセラーモデルがクリオだ。欧州市場全体でも、年間30万台以上を販売し、フォルクスワーゲンの「ゴルフ」と販売ランキングナンバー1を争う存在だ。
日本では4代目となる先代モデルの販売が継続されているが、欧州では5世代モデルの新型クリオが2019年より発売されている。
フランス車らしい、優雅なエクステリアが魅力といえよう。
日本未発売の新型クリオの寸法は、全長4050mm×全幅1798mm×全高1440mm、ホイールベースは2583mmと、ヤリスと比較して110mm長く、103mm幅広で、60mm車高が低い。ホイールベースはヤリスよりも33mm長い。
日本で発売されているルーテシア(先代クリオ)は全長4095mm×全幅1750mm×全高1445mm、ホイールベースは2600mm。車両価格帯は207万8000円(ゼンMT)から340万2000円(ルーテシアR.S.トロフィー)だ。
■日本では未導入の欧州Bセグメント・コンパクトモデルも多い
●プジョー「208」
プジョー新型「208」。日本では2020年中にこの新型208にフルモデルチェンジされて登場する予定だ
フランス最大の自動車メーカーとなるグループPSAの、主力ブランドがプジョーだ。
そのプジョーのBセグメントモデルが「208」になる。日本では従来型が販売されているが、欧州では2019年3月のジュネーブショーにて新世代モデルが発表されている。
従来、プジョーのBセグメントモデルは「20X」で表記される車名で、「207」の後継車として2012年に初代208が登場。日本未発売の新型は、2代目208という立ち位置になる。
2019年は通年で約22万台を販売。2020年の販売も、月に2万台のペースを維持している。完全に電動化されたEVバージョンのコンセプトも発表されている。日本導入が待ち遠しい1台といえるだろう。
新型208の寸法は、全長4055mm×全幅1745mm×全高1430mm、ホイールベースは2540mm。ヤリスと比較すると、全長は105mm長く、全幅は50mm幅広く、全高は70mm低くなる。ホイールベースは10mm短い。
現在、日本で販売されている208は、全長3975mm×全幅1740mm×全高1470mmで、ホイールベースは2540mm。車両価格は243万4000円(アリュール ファンエディション)となる。
●シトロエン「C3」
シトロエン「C3」。現行型で3代目になる
グループPSAの一員、シトロエンブランドのBセグメントは「C3」だ。
プジョー「208」は5ドア/3ドア(欧州のみ)の普通のハッチバックモデルとなるが、現行型3代目シトロエン「C3」は、クロスオーバー仕立てになっているのが特徴だ。ヘッドライトとウインカーの関係が逆になっているようなユニークな顔つきを持っている。
ボディの横には、SUVイメージを強調するエアバンプが備わっており、シトロエンならではの強い個性が感じられる。欧州デビューは2016年。日本にも2017年より導入されている。欧州での販売台数では、ちょうど「ヤリス」と同等のレベルだ。
C3のスリーサイズは全長3995mm×全幅1750mm×全高1495mm、ホイールベースは2535mm(日本仕様)となる。ヤリスと比較すると55mm長く、55mm幅広く、5mm低くなる。ホイールベースは15mm短い。
車両価格帯は229万円(フィール)から254万円(シャイン)だ。
●ヒュンダイ「i20」
ヒュンダイ「i20」。以前日本でも販売されていたヒュンダイ「TB」の後継にあたるモデルだ
欧州市場の販売合戦だけでなく、WRCでも「ヤリス」のライバルとなっているのが、ヒュンダイの「i20」だ。
ヒュンダイのエントリーはAセグメントの「i10」から始まり、Bセグの「i20」、その上の「i30」「IONIQ」と続く。また、「KONA」や「TUCSON」などSUVも豊富に揃っている。
欧州におけるヒュンダイの知名度は高く、2019年でいえばブランド全体で年間約56万台を販売しているのだ。
とはいえ、欧州での販売実績を比較すると、i20とヤリスでは現在のところヤリスの圧勝という状況だ。
3代目となる新型i20は、2020年3月のジュネーブモーターショーで世界初公開する予定だったが、新型コロナウイルス拡大の影響でジュネーブショーが中止、代わりにオンラインで発表されている。この新型i20は、すでに欧州で発売されている。
新型i20の寸法は、全長4035mm×全幅1734mm×全高1474mm、ホイールベースは2570mm。ヤリスと比較すると全長は95mm長く、全幅は39mm幅広く、全高は26mm低い。またホイールベースは20mm長い。
* * *
モデルチェンジを重ねるごとに大きくなっていくのがクルマの常だ。コンパクトさが求められるAセグメント、Bセグメントのモデルでも、フルモデルチェンジで全長が長くなることが多いが、ヤリスは先代と変わらず、全長4m以内をキープしている。
こうして新型ヤリスと欧州でのBセグメントのライバルと比較してみると、ヤリスの全長がライバルよりも短く、全高が高いということに気がつく。ヤリスはアップライトに乗員を座らせることで、室内空間を有効に使っているのだ。
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