アーミー仕様フェラーリが存在した!? テーラーメイドの「458アーミー」を作った人物とは?
くるまのニュース / 2020年5月25日 19時10分
フェラーリには、オーナーが好きなカラーや仕様にカスタムできるテーラーメイドプログラムがあるが、フェラーリのブランドイメージを損なうようなカスタムは受け付けてくれない。では、アーミー仕様の迷彩色はテーラーメイドで受け付けてくれるのだろうか。
■アーミー仕様のフェラーリはどうして作ることが出来たのか?
フェラーリやパガーニ、マセラティ、フィアット、BMWなどに、奇抜だけれどもセンスのよさが光るカスタムを施すカスタムメイド工房が、「ガレージ・イタリア」だ。
洗練されたガレージ・イタリアの世界観は、「ガレージ・イタリア・ミラノ」に象徴されている。
ミラノ市街の北に位置するガレージ・イタリア・ミラノは、1953年にできたガソリンスタンドをリノベーションして利用している。1階はバーカウンターのあるカフェ。2階がレストランだ。
カフェの棚には、フィアット「500」のオブジェやレーシングヘルメットなどがセンスよく並べられており、バーカウンターの天井からはミニカーが吊り下げられている。
円形のテーブルもガレージ・イタリアがデザインしたもので、イタリアのトリコロールカラーを使ったラウンデルが大胆にあしらわれている。タコメーターをモチーフとしたフードメニューや、ボディ外装のカラーサンプルのようなドリンクメニューといった小物にいたるまで、店内のすべてのものがよく考えてデザインされており、極めてセンスがいい。
階段の横を通ってさらに奥へ進むと、ガレージイタリアのショールームへとつながっている。床には大きくガレージ・イタリアの丸いマークが描かれており、ちょうど真上にある天窓から自然光が降り注いでいる。
どのようなカスタムをするのか、顧客と打ち合わせをおこなうためのショールームには、カラーサンプルが並べられた一角があるのだが、ここに並ぶサンプルには、水玉模様や迷彩色なども揃えられている。
そしてガレージ・イタリアでは、フェラーリ「458イタリア」を迷彩色でコーディネートしたこともある。こうした外板色のカスタムは、フルラッピングだと思われるだろうが、458イタリアは塗装で仕上げられているのが特徴だ。
フェラーリのフロント左右フェンダーには、ふつうはキャバリーノランパンテが装着されるが、なんとそこにピースマークがつけられている。
迷彩カラーをまとったフェラーリは、一見すると陸軍仕様のようにも見えるが、このピースマークを装着することで、軍仕様ではなくパロディであることをアピールしている。
もちろん、リアエンドにあるキャバリーノランパンテは、迷彩色に塗られており、ブレーキキャリパーまで迷彩色が施され、ホイールもそれに合わせてカラーリングされている。
エンジンルームを覗くと、本来ブラックのカーボンパーツである箇所が、グリーンのカーボンパーツに変えられており、本来レッドのエンジンヘッドも迷彩色に塗られている。
しかし、フェラーリについて詳しい人ならば、こうしたカスタムをフェラーリ本社が受け付けないだろうことは想像に難くないだろう。しかし、ガレージイタリアでは、それが許されるのである。それはなぜだろうか。
■フェラーリ本社のテーラーメイドで作られた迷彩色458イタリア
迷彩柄のフェラーリ458のオーナーは、ガレージ・イタリアを立ち上げたラポ・エルカン氏その人である。ラポ・エルカン氏は、フィアット・グループの元会長であった故ジャンニ・アニエッリ氏の孫にあたる人物なのである。
フェラーリ「458アーミー」は、内装も迷彩柄がふんだんに用いられている
ラポ・エルカン氏は、2004年にフィアットに入社し、20代という若さで国際ブランドマーケティング部長に就任。また、フィアット「500」の販売計画を進め、フィアットブランドの建て直しに尽力した人物でもある。
フェラーリのテーラーメイド・プログラム導入の際には、そのアドバイザーにも招集されているほどだ。
そしてラポ・エルカン氏が有名なのは、そうした経歴よりもむしろ、抜群のファッションセンスとそのセレブリティにある。世界のファッショニスタのひとりとして、常にマスコミの注目を集めている(時にお騒がせな)人物なのである。
458イタリアを迷彩色でフルオーダーしても、フェラーリから許されてしまうというのは、こうした彼の生い立ちと経歴による。
そしてこの迷彩色の458イタリアは、フェラーリのテーラーメイドで、ラポ・エルカン氏のためにカスタムデザインされた、正真正銘のフェラーリお墨付きのカスタムなのである。
その証拠に、センターコンソールには、「458 ARMY」のプレートが正式に取り付けられ、しかもラポ・エルカン氏のサインまで入っている。
このフェラーリ「458アーミー」は、2010年にラポ・エルカン氏に納車され、2016年までエルカン氏が所有。チャリティーオークションで100万ユーロで売却されている。
そして、2017年のRM Sothebysオークション「Ferrari – Leggenda E Passione」にて、38万5250ユーロで落札されている。
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