カッコイイとカッコ悪いは紙ひとえ!? 評価が分かれた微妙なデザインの車5選
くるまのニュース / 2020年5月25日 6時10分
クルマのデザインは販売を左右する重要な要素のひとつです。しかし、すべてのクルマが必ずしも優れたデザインとは限らず、なかには好き嫌いが分かれてしまうデザインも存在。そこで、微妙なデザインと評されたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■好き嫌いが分かれたクルマを振り返る
クルマが評価されるうえで、もっとも重要な要素は外観のデザインです。デザインの良し悪しは、クルマの販売を左右するため、各メーカーとも優秀なデザイナーを雇い、時間をかけてデザインを決めています。
しかし、長いプロセスを経て決定されたデザインでも、必ずしもユーザーに好まれるとは限らず、なかには好き嫌いが分かれてしまうデザインも存在。
そこで、微妙なデザインと評されたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ファミリアNEO」
まさに紙一重なデザインといえる!? 欧州では好評だった「ファミリアNEO」
1963年に発売された「ファミリア」は、マツダを代表する大衆車として誕生。その後、代を重ねるごとに変化を繰り返し、1980年代の終わりには高性能モデルが登場するなど、スポーティ路線に転換していきました。
そして、1994年に発売された8代目ファミリアではさらに方向転換され、高性能モデルは設定されませんでしたが、スポーティな3ドアハッチバッククーペの「ファミリアNEO」をラインナップ。
クーペでありながらルーフラインを高くしたことで広い室内空間を実現しており、ボンネットからトランクまで流れるようなラインを描くフォルムもスタイリッシュでした。
国内外で販売されたファミリアNEOのスタイルは海外で高く評価されましたが、国内ではユーザーにあまり受け入れられず販売は低迷。
また、エンジンも1.8リッターと1.5リッターの平凡な直列4気筒しか設定されなかったことも、イメージダウンにつながったのかもしれません。
結局、発売からわずか2年後の1996年に、ファミリアNEOはラインナップから消滅するかたちで国内販売を終了しました。
●スズキ「スプラッシュ」
デザインはバランスが大事ということを物語る「スプラッシュ」
現在のスズキのラインナップには「スイフト」「イグニス」「クロスビー」などのコンパクトカーがありますが、2008年から2014年まで、スズキ初の自社ブランドの輸入車「スプラッシュ」が販売されていました。
スプラッシュはハンガリーにあるスズキの子会社であるマジャールスズキで生産され、欧州を中心に展開したグローバルカーです。
Aセグメントのコンパクトなボディながら5名乗車で、6つのエアバッグと、リアシートにも3名分のヘッドレストと3点式シートベルトが装備されるなど、クラス標準以上に安全装備が充実。
エンジンは1.2リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションはCVTのみの1グレードでした。
タイヤがガッチリと接地しているような台形フォルムは、個性的でスタイリッシュな印象ですが、全長に対して全高が高く見えてしまい、腰高でバランスがイマイチと評されます。
また、欧州で走行テストを繰り返した軽快なハンドリングと乗り心地が特徴でしたが、日本ではスイフトと競合したためか販売は低迷。
さらに、初の輸入車ということでメーカーオプションの設定が数少なく、装備のアップグレードが難しかったことも販売低迷の一因といわれています。
欧州テイストのコンパクトカーとして評価は高かったものの、ユーザーには伝わらず、現在はイグニスが実質的な後継車です。
●日産「マイクラC+C」
オープン状態はまあまあ良かった!? 「マイクラC+C」
日産を代表するコンパクトカー「マーチ」は、初代から世界戦略車として「マイクラ」の名で欧州を中心に販売され、人気を博してきました。
そして、2005年に3代目マイクラの派生車「マイクラC+C」がデビュー。ドイツの名門コーチビルダーであるカルマンと共同開発した格納式ガラスルーフが特徴の4人乗りクーペカブリオレです。
日本でも2007年モデルから、英国工場で生産する輸入車として1500台が限定販売され、約22秒でフルオープンとなる電動ルーフは、手軽にオープンエアモータリングが楽しめるとして話題となります。
基本的なコンポーネントはマーチそのものでしたが、エンジンは国内仕様のマーチには設定されていない1.6リッター直列4気筒DOHCが搭載され、欧州仕様のサスペンションと相まって、走りは高く評価されました。
しかし、マーチのデザインのままオープン化したことで腰高な印象で、ルーフの格納場所となるトランクリッドのラインとルーフラインのつながりも不自然です。
現在も中古車が流通しており、比較的安価な価格設定の物件が多いため、欧州テイストの走りを楽しむならばお買い得かもしれません。
■アメリカナイズされた外観は好みが分かれた!?
●ホンダ「エレメント」
アメリカでは成功したが日本では好き嫌いが分かれた「エレメント」
ホンダ「エレメント」は、「ジェネレーションY」と呼ばれる1980年代から1990年代に生まれたアメリカの若者をターゲットに、2002年に発売されたトールワゴンタイプのSUVです。
開発、デザイン、生産のすべてがアメリカでおこなわれ、日本では2003年から輸入車として販売が開始されました。
デザインの特徴はボディを一周するように配置された樹脂製パネルで、スチール製パネルと色分けされた2トーンがアクセントになっています。
また、フロントドアが前側に、リアドアが後側に開く「観音開き」のヒンジドアとなっており、センターピラーが無い構造も、SUVではユニークでした。
テールゲートは上下に開き、下側のゲートはそのままベンチとして使用可能で、アメリカではテールゲートに腰掛けて仲間と過ごすことを「テールゲート・パーティ」と呼び、まさにアメリカならではのアイデアが取り入れられています。
エレメントは目論見どおりアメリカの若年層から受け入れられてヒットしましたが、日本では特徴的な外観が安っぽく見えるという意見が多く、発売から2年ほどで販売を終了。
なお、アメリカでは2009年にフロントフェイスが一新されるマイナーチェンジがおこなわれ、2011年まで販売されました。
●三菱「ギャランスポーツ」
使い勝手と走りが良くても売れなかった「ギャランスポーツ」
三菱「ギャラン」は1969年から2015年まで販売していた三菱が誇る名車です。その歴史上で、幾度となくヒットを記録しますが、1994年に発売された派生車の「ギャランスポーツ」は、ギャラン史上でも特異なモデルとして知られています。
ギャランスポーツのボディは欧州仕様をベースにした5ドアハッチバックセダンで、フロントに小ぶりなバンパーガードと、ルーフレールを装着した、当時のRVブームを意識したクロスオーバーモデルです。
「GT」と「RV」を融合した「GTRV」をコンセプトに開発され、トップグレードのエンジンは最高出力240馬力(5速MT)を誇る2リッターV型6気筒DOHCツインターボを搭載し、フルタイム4WDシステムを組み合わせ、大型のリアウイングを装着するなど本格的なスポーツ走行も可能となっていました。
ステーションワゴン並の使い勝手のよさがある高性能な4WD車と、オールマイティなクルマとして評価されてもおかしくない内容ですが、5ドアハッチバックセダンは売れないという当時のジンクスどおり販売は低迷。
次世代のギャランでは、5ドアハッチバックセダンは廃止されました。
※ ※ ※
最後に紹介したギャランスポーツの、5ドアハッチバックセダンは売れないというジンクスには、各メーカーとも長く苦しめられました。
欧州では昔から定番で人気のあるボディ形状でしたが、日本では1980年代から出ては消えてを繰り返してきた歴史があります。
2000年代になると、トヨタ2代目「プリウス」をはじめ5ドアハッチバックセダンが売れるようになり、現在では売れないジンクスは存在していません。
かつての5ドアハッチバックセダンは、セダンをベースに後部をハッチバック形状にしただけのモデルが多く、かなり無理矢理感があったことから人気が出なかったのかもしれません。
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