「E200」なのに1.5リッター、「330i」なのに2リッター? ドイツ・プレミアムブランドの車名の見方とは
くるまのニュース / 2020年5月30日 19時10分
「カローラ」や「プリウス」、「スカイライン」など固有名詞が多い日本車に対し、ドイツ・プレミアムブランドは「C180」「320i」「A4 35TFSI」など、車名やグレード名が数字や記号で表されている場合がほとんどだ。では、いまその車名はどのようなルールで名付けられているのか。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディについて調べてみた。
■エンジン排気量とグレードを表す数字が合わなくなっている
現在、日本へ輸入されている外国メーカーの自動車ブランドは30以上。そのなかでもドイツのメルセデス・ベンツやBMW、それにVWやアウディは日本への輸入が始まってから歴史も長く、また、販売店の数も多く認知度も高いことで知られている。
このドイツ・プレミアムブランドのメルセデス・ベンツやBMWアウディ、アウディの車名を見ると、英語と数字で表記されたモデル名が多いことに気付く。
国産車の『カローラ』や『スカイライン』といった固有名詞のモデルと比較すると、どんなクルマなのかをイメージするのが難しいということもあるが、数字やアルファベットが大きくなればより上級モデルになり、末尾の数字が大きくなればエンジンのパフォーマンスが高くなるということがひと目でわかるというメリットもある。これはドイツらしい合理的な考え方といえるだろう。
以前であれば、BMW「320i」は3シリーズの2リッターエンジン搭載モデル、「525i」であれば5シリーズの2.5リッターエンジン搭載モデルと、3ケタ数字の最初はシリーズ名、続く2つの数字が排気量を表していたので、グレード別の性能ヒエラルキーが非常にわかりやすかった。メルセデス・ベンツも同様で、車名を表すアルファベット+3ケタのエンジン排気量で表されていた。
ただし2020年のいまは、たとえばメルセデス・ベンツ「E200」は1.5リッターターボエンジン搭載、「E300」は2リッターターボエンジン搭載。BMW「118i」は1.5リッターターボ、「320i」「330i」は出力が異なるがどちらも2リッターターボと、数字部分とエンジン排気量が合わなくなっている。
これは、ダウンサイジングターボが流行し始めた2000年代中ごろからはじまった現象だ。
自然吸気エンジン搭載モデルよりも、排気量が小さなターボエンジン搭載モデルのほうがより高性能になったため、ターボエンジン搭載モデルを自然吸気エンジン搭載モデルに換算した数字を、グレードの名に付けたところから始まっている。
そんなモデルたちを分かりやすく覚える方法を、インポーターの広報に聞いてみた。
●メルセデス・ベンツ
まずはメルセデス・ベンツを見ていこう。
日本でもまもなく導入される予定のメルセデス・ベンツ新型「GLA」
メルセデス・ベンツの場合、A、C、E、Sとアルファベットが上がるほど車格が上がっていく。またSUVは最初に「GL」が付き、その後にA、C、E、Sとセダン系と同じ順列でのラインナップになっている。
アルファベットに続く数字は、以前だと搭載するエンジン排気量の違いを表していたが、現在は基本的に出力の高いモデルは車名の数字が大きくなっている。
数字の後ろに付く英小文字の意味は、
・e:プラグインハイブリッド
・d:ディーゼル
・de:ディーゼルプラグインハイブリッド
※スターターとオルターネーターの機能を併せ持つISG搭載モデルなど、電気モーターは付いているが外部電源からの充電機能がないモデルは「e」は付かない。
・Long:ロングホイールベースモデル
・4MATIC:四輪駆動モデル
・4MATIC+:可変トルク配分機能を持つ四輪駆動モデル
というルールになっている。
一方で、車名のルールが明確になっているモデルがあるという。メルセデスAMGだ。
「メルセデスAMGは2リッターであれば、『35』(ベースはメルセデス製)と『45』(AMG製)。3リッターが『43』。3リッター+ISGが『53』、4リッターが『63』で、一部パワーアップ版が『63 S』になっています」(メルセデス・ベンツ日本 広報)という。
■アウディの車名表記は2020年に統一された
●BMW
次はBMWだ。
BMWのMパフォーマンスモデル「M340i xDrive」。3リッター直6ターボエンジンを搭載する
BMWの場合、アタマが1、3、5、7の奇数数字は、ハッチバックやセダン、ツーリング、グランツーリスモになる。対して2、4、6、8の偶数数字はクーペ、カブリオレ、グランクーペ、グランツアラー、アクティブツアラーになっている。
SUVはアタマに「X」が付き、X1、X3、X5、X7の奇数数字は、BMWが言うところのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)、X2、X4、X6の偶数数字はSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)というクーペSUVになっている。
またオープン2シーターのZ、スペシャリティモデルのMハイ・パフォーマンス・モデルに、EV&レンジエクステンダーのBMW iと多彩なラインナップとなっている。
続く2ケタの数字は、前述のとおり以前は「318i」といえば3シリーズの1.8リッターエンジンを搭載したモデル、525iといえば5シリーズの2.5リッターエンジン搭載車と、わかりやすい法則性があったが、現在はどうなっているのか?
「モデル名については、以前だとエンジンの排気量を2桁目、3桁目で表現していました。しかしながら、ターボ化や高効率エンジンの開発が進み、従来の表現ルールとは一致しなくなりました。
そこで現在はおもに『18』、『20』、『23』、『25』、『30』、『35』、『40』、『50』、『60』と、数値が小さければ出力が小さく、大きくなればなるほど、出力が大きくなるとご理解ください」(BMWジャパン・広報)と回答。
そのほか、ガソリンモデルは車名と数字の後に英小文字のiが付き、ディーゼルモデルはdが付く。プラグインハイブリッドについてはi8を除いて、いずれの車名数字の後にeが付随するようになっている。
●アウディ
アウディは、じつに分かりやすくなっている。
アウディのフラッグシップSUVクーペ「Q8 55TFSIクワトロ」
車名ではコンパクトカーのA1からスタートしA8までと、ボディサイズと比例して数字が大きくなっていく。これらのモデルをベースにした「S」「RS」モデルがある。
SUVは「Q」シリーズとなるが、Q2からQ8までボディサイズが大きくなると数字部分が大きくなっていくという法則は同じだ。その他、スーパーカーの「R8」やロードスターの「TT」がある。
車名に続き、それぞれのモデルには搭載するエンジンの出力別にグレード名が与えられているのだが、現在は下記のようになっている。
・25=80kW以下
・30=81kWから91kW
・35=110kWから120kW
・40=125kWから150kW
・45=169kWから185kW
・50=210kWから230kW
・55=245kWから275kW
・60=320kWから340kW
その数字の後に付く「TFSI」はガソリンターボ、「TDI」はディーゼルターボエンジンを表している。以前は「1.4TFSI」「2.0TFSI」などと、エンジン排気量でグレードを表記していたが、いまは「5」刻みでグレードを分けている。
一応、出力400kW以上のモデルには70TSFIというグレードを設けているというが、現在はそうした高出力のモデルは存在しない。さらに上記のグレードはスペシャルモデルのR8や、スポーツモデルのRSには適用されないという。
実は2019年までは2リッターエンジンは20TSFIという、従来与えられていたグレード名もあり混在していたのだが、2020年からは統一しているという。統一した理由を聞くと
「EVのe-tronをラインアップしたこともあり、従来のエンジン排気量で付けていたグレード名に当てはまらないモデルが出てきました。それで、現在は出力レンジに沿ったグレード名を付けています。ちなみに以前はリアに車名とTSFIのエンブレムを装着していましたが、現在は車名とquattroグレードのみ装着しています」(アウディ広報)とのこと。
ということで、ドイツ・プレミアムスリーと呼ばれる3つのメーカーの車名やグレードについてわかったはず。これで愛車選びに悩むことは間違いないだろう。
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