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一度消滅もなぜ復活? スズキが軽ホットハッチ「アルトワークス」を継続する理由

くるまのニュース / 2020年6月3日 7時10分

スズキの軽ホットハッチとして「アルトワークス」が存在します。軽量ボディで走りの楽しさを追求したアルトワークスとはどのようなモデルなのでしょうか。

■“尖った軽” スズキ「アルトワークス」の魅力とは?

 日本の新車市場の4割以上を占めるようになった、軽自動車。売れ筋はスーパーハイトワゴンと呼ばれる、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」、そして日産「ルークス」などです。

 車高が高く、車内スペースが広く、シートアレンジが豊富な軽スーパーハイトワゴンは、多様なライフスタイルに対応できることで、ファミリー層を中心に幅広い世代からの支持を得ています。

 また、2020年6月発売のダイハツ「タフト」など、軽SUVの人気も高まり始めています。

 こうした軽の主流とは一線を画す、走りを追求する軽があります。それが、スズキ「アルトワークス」です。

 アルトワークスの最大の強みは軽さです。5速MT(FF)の車重は670kgと、同じく軽で走りを追求したホンダ「S660」(6速MT)と比べて160kgも軽いのです。

 軽はエンジン排気量が最大660ccに規定されているため、クルマのパフォーマンスを上げるためには、車体の軽量化が最大の効果を生みます。

 その上で、アルトワークスではツインカムターボエンジン(R06A型)を専用チューニングし、専用開発のショートストローク5速MTを採用。サスペンションもKYB製専用チューニングを施しています。

 走りの良さをウリにしながら153万7800円(消費税込)というのは、リーズナブルな価格設定だと感じる人が多いでしょう。

 アルトワークスとはどのようなクルマなのでしょうか。ベース車である「アルト」の生い立ちから振り返ってみましょう。

 初代アルトが企画された1970年代は、オイルショックの影響で燃費の良い小型車への関心が世界的に高まりました。

 また、日本では女性の社会進出が進み、女性でも気軽に乗れる手頃な価格のクルマへ潜在的な需要が見込まれました。

 そうしたなか、自動車メーカーとして後発のスズキは、それまで商用車イメージが強かった軽自動車を乗用へと誘導するため、当時でも60万円台が常識だった軽市場において、1979年に初代アルトを40万円台で発売。84万4000台の大ヒットとなりました。

 また、アルトをベースに800cc化した「アルト800」を、1983年にインド政府との共同事業で同国の国民車として発売。これが、現在のスズキの屋台骨となるインド事業の基盤となったのです。

 2019年度実績では、販売総数285万2000台のうち、約5割がインドで日本は2割強にとどまります。

 アルトワークスが登場したのは、2代目アルトの終盤にあたる1987年です。発売する理由は「多様化するニーズへの対応」でした。

 1987年といえば、1983年に始まった東京エキサイティングカーショーが東京オートサロンに改名した年です。

 アフターマーケットでの後付けターボなど、チューニングが若者の間でブームになっており、スズキとしてはまさにワークスチューニング車を提供したかたちとなりました。

 ベースとなる2代目アルトは、約93万台(アルトワークス込み)の販売を記録し、初代を超えるヒット作となりました。ベース車の量産効果をフル活用して、リーズナブルな価格で尖ったモデルが企画できたのです。

 こうした大衆モデルをベースとしたワークス系ハイパフォーマンスの手法としては、スバル「インプレッサWRX」や、三菱「ランサーエボリューション」にも通じるところがあります。

■新型アルトをベースにした次期アルトワークス登場の可能性は?

 その後、1988年の3代目アルトで2代目ワークス、1994年の4代目アルトで3代目ワークス、1998年5代目アルトで4代目ワークスと進化していきました。

 ところが、2004年の6代目アルト、2009年の7代目アルトではワークスの設定がなくなりました。

初代アルトワークス初代アルトワークス

 その理由についてスズキは、「2000年に先代(4代目)ワークスの生産は終了しました。当時の市場において、軽自動車に走りより環境性能や車内の広さを求める動きが主流になってきたからです」と説明します。

 しかし、現行8代目アルトが2014年に発売された1年後、2015年になって5代目ワークスが登場したのです。

「2015年3月に『アルトターボRS』を発売して以降、お客さまから『昔のワークスのように、もっと走りに振ったクルマが欲しい』、『3ペダルのMT車が欲しい』という声をいただきました」(スズキ)として、5速MTと5速AGS(オートギアシフト)の発売に至ったということです。

 なぜ、スズキは軽市場で、こうした”尖った軽”を作り続けるのでしょうか。

 また、2020年から2021年にかけてフルモデルチェンジで9代目登場の噂が絶えないアルトですが、これにともない、アルトワークスは新型(6代目)へと進化するのでしょうか。

 現行車、さらに次のアルトワークスの可能性について、スズキに聞いてみました。

――現行アルトワークスについて、ユーザーや販売店からはどのような声がありますか。

 走ることの楽しさや出足加速の良さ、コーナーリング時の安定感など、走行性能について大変満足しているとの回答を多数いただいております。

――2015年発売以来、これまでのどの時点でどのような改良がありましたか。

 2018年12月13日に一部仕様変更をしており、5速AGS車に衝突被害軽減ブレーキ・デュアルセンサーブレーキサポートなどを標準装備しました。

 また、車体色では、ブリスクブルーメタリックを新設定しています。

――そのなかで、なぜアルトターボRSは消滅したのですか。

 販売効率化のためグレードの見直しをおこなった結果です。

――アルトワークスとは、いまのスズキにとってどのような存在ですか。

 クルマを操る面白さを追求し、さらに走りを磨き上げた軽ホットハッチモデルです。

――軽に限らず、競合車は何ですか。

 アルトワークスの競合車はとくにありません。

――アルトの9代目へのフルモデルチェンジが近いかと思いますが、アルトワークスも次期モデルが出ると信じていてよいでしょうか

 商品計画については、ご容赦ください。

※ ※ ※

「クルマと共鳴しながら、疾走する快感」というスズキの謳い文句どおり、ほかの軽とはまったく別の世界観を実現している、アルトワークス。

 軽ホットハッチ文化が、次世代へと引き継がれることを大いに期待したいです。

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