自粛でガラガラ首都高で急増中!「ルーレット族」に遭遇した時の正しい対処法とは
くるまのニュース / 2020年6月5日 7時10分
コロナ自粛による精神的な疲労が注目されるなか、「気晴らしに」と首都高を暴走する「ルーレット族」が社会問題となりつつあり、実際に取り締まりも強化されています。そもそもルーレット族とはどのような人を指しているのでしょうか。また、クルマで走行中に遭遇したときにはどのように対処すべきなのでしょうか。
■警察が定める「ルーレット族」の定義とは
コロナ自粛以降、ニュースなどで「ルーレット族」という言葉を、見たり聞いたりする機会が増えています。
2020年5月28日には首都高を爆走していたルーレット族とみられる若者たちが、最高速度(時速50km)を超える時速108kmで運転していたとして、書類送検されたニュースも報道されました。そもそもルーレット族とはどんな人たちなのでしょうか。
ルーレット族について警視庁での定義を聞いてみました。
「おもに、首都高速道路都心環状線(C1)などを周回走行しながら最高速度違反、急加速、急な割りこみなどの違法で危険な走行や車体の違法改造による整備不良や排気音などの騒音などにより、他の車両などに著しく交通の危険を生じさせる、または、著しく他の交通に迷惑を及ぼす行為を行う『違法競走型暴走族』の一形態です。」
なんと、ルーレット族も暴走族の一形態だったのです。
暴走族というと、竹やり・出っ歯・特攻服などをキーワードとする、昭和の暴走族スタイルを思い浮かべる人が多いと思いますが、警察によると暴走族には大きくわけてふたつのタイプがあるとされています。
ひとつ目は「共同危険行為型暴走族」で、いわゆる昭和の暴走族です。
もうひとつは「違法競争型暴走族」といい、山道などのワインディングロードを舞台にして競走をおこなうローリング族や、0-400mの距離で速度を競うゼロヨン族、そして、首都高C1のルーレット族などを指します。
なお「ルーレット族」という言葉は1990年(平成2年)頃から使われているそうです。
※ ※ ※
2020年4月以降、首都高上に移動式オービスが設置されたり、ルーレット族が集まりやすいPAを閉鎖したり、さまざまな取り締まりや対策が実施されてきました。
理由は、コロナによる外出自粛要請で首都高の交通量が激減。ガラガラになった首都高(とくに都心環状線)で暴走行為を繰り返すクルマ(ルーレット族)が増えたことによるもので、筆者(加藤久美子)もこれまで設置されていなかった場所に移動式オービスが設置されているのを確認しています。
取り締まりやPA閉鎖について、警視庁は「緊急事態宣言後に、取り締まり要望が多く寄せられたことによります。
PAの閉鎖については、地域、沿道住民からの騒音の苦情や、駐車スペースを長い時間占領することで、一般の利用者から『トイレ休憩ができない』などの声が上がってきました。
そこで、協議した結果、4か所の首都高PAを閉鎖することにしました」としています。
閉鎖されたことによって、「ルーレット族による騒音の苦情も少なくなり効果はあった」(警視庁)とのことでした。
ちなみに、5月1日から同月10日までは辰巳第1・第2、芝浦、箱崎の4か所のPAが終日閉鎖されていましたが、その後、5月15日から「当面の間」、辰巳第1、芝浦、箱崎の3か所で夜22時から朝4時までの時間で閉鎖が開始されました。
2020年6月4日現在(執筆時点)も辰巳第1、芝浦、箱崎の首都高PAは所定の時間は閉鎖中ですが、トイレや自販機の利用に限り可能です。
6月3日に筆者は辰巳第1PAを訪れましたが、22時になったとたんに警視庁高速隊と首都高速道路のパトロールカーが来て退出を命じられました。
■もしルーレット族に遭遇したらどう対処すべき?
ルーレット族の増加によって、どのような事故が増えているのでしょうか。
警視庁では、ルーレット族の事故として統計を取っていないとのことでしたが、「速度超過による単独事故や、渋滞最後尾のクルマに追突する事故が発生しています」(警視庁)という回答でした。
また、首都高速道路では2020年5月11日に、「今年度(2020年4月以降)、首都高速道路では車両単独での施設接触事故が増加しています。施設接触事故はカーブや分合流部のJCT(ジャンクション)付近で多く発生しております。とくに雨天時の事故が多発しております」と発表しています。
「ルーレット族」についての厳密な定義は?
安全運転をしているドライバーが、ルーレット族に遭遇したらどうすればよいでしょうか。警視庁は、対処法について次のように説明します。
「ルーレット族に遭遇した(後ろから速い車が近づいてきた)からと言って、慌てて避けようとすれば自分自身が事故を起こす原因になります。
交通法規をまもって、安全に運転していれば、他のクルマが速度超過などで事故を起こしても、回避することにつながります。また、危険な車を見つけた時には、PAなどの安全な場所に停めたあとで、110番通報をお願いします」
※ ※ ※
ルーレット族という名前の由来は、「環状線」をルーレットのようにグルグル回ることから来ています。首都高の環状線を周回すること自体は問題ないのでしょうか。
これについて首都高速道路広報課に聞いてみたところ、「法定速度を守って安全運転で走っていただければ、周回していただいて構いません」とのことでした。
実際、筆者もクルマから降りないドライブで何度か首都高のC1やC2を走っていますが、同じく安全な速度で周回ドライブを楽しんでいる(と思われる)クルマに、何回も遭遇しました。
逆に、ルーレット族のように速い速度で走るクルマとの遭遇はほとんどありませんでした。
なお、警視庁の回答にもありましたが、速いクルマが後ろから来た場合、道路を譲ろうとするのではなく先に行かせることが大事だと思われます。
首都高をはじめとした都市高速には、追い越し車線・走行車線の区別がありません。右側の車線を走っていて後ろから速いクルマに追いつかれた場合、避けることで事故を誘発することもあります。
このような場合は、車線変更などせず、速いクルマを先に行かせたほうがお互いに安全です。
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