売れなくてヤバイ! 危機を救って一発逆転となった車5選
くるまのニュース / 2020年6月7日 6時10分
毎年、数多くの新型車が発売されますが、すべてのクルマがヒットするとは限りません。一方で、フルモデルチェンジしたことで、販売状況が改善したクルマも存在。そこで、危機的状況から一発逆転となったモデルを5車種ピックアップして紹介します。
■起死回生のヒットを記録したクルマを振り返る
世界中のメーカーから毎年数多くの新型車が発売されていますが、残念ながらすべてのクルマがヒットするとは限りません。
販売目標を大きく下まわってしまうと、マイナーチェンジやフルモデルチェンジをおこなったり、販売終了となるケースもあります。
一方、フルモデルチェンジしたことで、劇的に販売台数が増えたクルマも存在。そこで、危機的状況から一発逆転となったモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ファミリア」
「陸サーファー」から絶大な人気を誇った5代目「ファミリア」
1977年に発売されたマツダの主力車種4代目「ファミリア」は、当時流行していた2ボックススタイルのコンパクトカーに生まれ変わりました。
外観は丸みを帯びたデザインで、上級車種をイメージさせる戦略が成功したことで販売も好調でした。
しかし、3代目から引き継いだシャシの基本設計は古く、後輪駆動のままとなっており、ライバル車たちが続々と前輪駆動を採用して広い室内空間を実現していたことで、徐々に販売は低迷してしまいます。
そこで、1980年に発売された5代目では、すべてを一新してFFに改められました。
ボディは4代目と同様の2ボックスのハッチバックスタイルを継承しましたが、直線基調のシャープなデザインを採用。
FF化によって新開発された4輪独立懸架「SSサスペンション」は路面追従性に優れ、「まるで欧州車のようだ」と称賛されました。
また、5代目ファミリアは利便性や快適性においても優れており、フルフラットまで倒すことのできる前席の背もたれや、左右二分割で前方へ折りたためる後席背もたれは、リクライニングの角度調整もできる便利な機能を装備。
イメージカラーに赤を設定して、「赤いファミリア」の愛称で若いユーザーを中心に大ヒットを記録。
高く評価された5代目ファミリアは、記念すべき第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。
●トヨタ「プリウス」
大きく進化して大ヒットを記録した2代目「プリウス」
世界初の量産ハイブリッドとして1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」は、同クラスの1.5リッター車の2倍と、驚異的な燃費性能を誇ったことでセンセーショナルなデビューを果たします。
しかし、同クラスのモデルよりも50万円以上も高価だったことから、大ヒットには至りませんでした。
そこで、トヨタは2003年に2代目プリウスを発売。外観は初代の4ドアセダンから5ドアハッチバックに一新され、ボディサイズを拡大したことで初代以上の広い室内空間を確保し、グローバルカーとしての販売を目指しました。
ハイブリッドシステムは大きく進化し、燃費も31km/L(初代最終型)から、35.5km/L(10・15モード)に向上。
さらに2代目ではモーターだけのEV走行が可能になり、世界初の自動で駐車をアシストする「インテリジェントパーキングアシスト」も装備されるなど、低燃費車というだけでなく、未来的なクルマへと変貌しました。
これほど進化したにも関わらず、価格は215万円からと初代と同じに設定されたことで割安感があり、国内の生産台数は4万1938台/年から13万2703台/年と一気に3倍以上となります。
その後、補助金や減税の効果もあって最高で年間50万台以上の大ヒットを記録。現在も低燃費車のトップランナーとして、ヒットが続いています。
●日産「シルビア」
スポーツカーらしさを取り戻した7代目「シルビア」
昭和から平成を代表する小型スペシャリティクーペである日産「シルビア」は、1988年に発売された5代目(S13型)が空前のヒット作となります。
5ナンバーサイズでFRレイアウトの軽量ボディにハイパワーなターボエンジンを搭載し、スタイリッシュなデザインとしたことで、デートカーとしても好評でした。
その後、エンジンの排気量アップなどマイナーチェンジを経て、1993年に6代目(S14型)が登場します。
6代目ではボディサイズを全長4520mm×全幅1730mm×全高1295mmまで拡大し、シリーズ初の全車3ナンバーとなりました。
しかし大型化されたボディにより、5代目の魅力であった軽快感が失われたと評され、販売は一気に落ち込んでしまいます。
そこで、1999年に発売された7代目(S15型)では、全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmと、ボディのサイズダウンがおこなわれ、再び5ナンバーに戻されました。
さらに、外観のデザインもシャープで精悍なデザインに改められ、同時に軽量化とパワーアップが図られたことでスポーツカーらしさを取り戻し、販売台数を回復。
順風満帆に思えましたが、7代目シルビアは排出ガス規制の影響で、わずか3年7か月で生産を終了してしまい、1965年に始まったシルビアの歴史に、幕を下ろしました。
■失敗作とまでいわれたクルマとは!?
●日産「ブルーバード」
日米で大ヒットを記録した3代目「ブルーバード」
長い歴史のあった日産を代表するミドルクラスカー「ブルーバード」は、歴代モデルのなかでも一気に販売台数が低迷した時期があります。
1963年に発売された2代目(410型)ブルーバードは、イタリアのデザイン工房であるピニンファリーナがデザインした欧州調のスタイリングで、先進的なモノコックボディを採用していました。
また、スポーティな「SS」グレードも設定され、アフリカ大陸を走るサファリラリーでもクラス優秀を遂げるなど、高性能さをアピールします。
しかし、トランクが後方に向かって下がる「尻下がり」なデザインが、ユーザーから不評となってしまい販売は低迷。
マイナーチェンジでリア部分のデザインを変更しましたが、販売台数は好転せず、ライバルのトヨタ「コロナ」に大きくシェアを奪われます。
そこで、当初からグローバルで販売することを想定した3代目(510型)が、1967年に登場。直線基調のシャープなデザインと、パワフルなエンジン、4輪独立懸架の採用により、見た目も走りも高く評価され大ヒットします。
3代目ブルーバードは日本では「ゴーイチマル」、北米では「ファイブテン」の愛称で親しまれ、とくにアメリカでの販売が好調だったため、「240Z」の成功の礎となったほどです。
最終的に世界で累計販売台数150万台以上を記録しました。
●トヨタ「クラウン」
王道の高級車らしいデザインとなった5代目「クラウン」
1971年に発売されたトヨタ4代目「クラウン」は、それまでの国産高級車とは一線を画する外観で、いまでは当たり前になったボディ同色バンパーを採用するなど、先進的なデザインでした。
また、電子制御燃料噴射装置や電動リクライニングシート、アイドリングストップ機能など、当時最先端の技術を採用。
しかし、特徴的な外観は賛否が分かれ、保守的なユーザーから敬遠されて販売は低迷してしまいます。
後に「クラウン史上最大の失敗」と評されましたが、実際に最大のライバルである日産「セドリック/グロリア」の販売台数を下まわりました。
そして、発売からわずか3年後の1974年に、デザインを一新した5代目にモデルチェンジ。5代目では直線基調で重厚感のある高級車らしいデザインとなり、販売台数は劇的に回復。
メカニズム面は4代目を踏襲していましたが、4ドアピラードハードトップモデルが追加されるなど、新たな試みも採用されました。
こうして不遇な存在となってしまった4代目クラウンですが、いまではデザインが再評価され、オールドクラウンのなかでも、もっとも人気があります。
※ ※ ※
近年、ファミリアのようにすべてが刷新されるようなケースは、ほとんどありません。
また、外観のデザインやスタイルが大きく変わることも少なく、キープコンセプトとされるモデルが多い印象です。
それほど、現在のクルマは成熟しているということなのですが、新型車が出た時のワクワク感が薄れてしまうのも、寂しいところです。
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