皇室御用達の激レアモデルや意外なセダンもあり!? 珍しい国産高級車5選
くるまのニュース / 2020年6月10日 6時10分
日本の自動車カテゴリーのなかで、高級車というと高額で大型のセダンというイメージがありますが、かつてはさまざまなバリエーションが存在。そこで、いまでは見られなくなってしまったユニークな国産高級車を、5車種ピックアップして紹介します。
■いまでは見られない!? ひと味違った高級車を振り返る
100年以上続いている日本の自動車史のなかで、初の量産高級車は1955年に登場したトヨペット「クラウン」といわれています。
そこから現代まで、各メーカーからさまざまな高級車が世に出ましたが、なかには一風変わったモデルも存在。
そこで、いまでは見られなくなってしまったユニークな国産高級車を、5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ディグニティ/プラウディア」
本物のVIPのためにつくられたリムジン「ディグニティ」
三菱のユニークなセダンというと「デボネア」が有名ですが、マイナーなセダンとして君臨しているのが「ディグニティ」と「プラウディア」です。
初代は2000年に発売され、ディグニティがリムジン、プラウディアが高級パーソナルセダンと位置付けられていました。
搭載されたエンジンは4.5リッターV型8気筒と3.5リッターV型6気筒の2種類で、ディグニティは4.5リッターのみです。
両モデルの多くは三菱や関連会社の重役用として販売され、一般のユーザーが購入したケースは極めて少なかったといいます。
そのため、わずか1年ほどで生産を終了。2012年に復活しますが、日産「シーマ」と「フーガ」のOEM車でした。
ディグニティは宮家の公用車としても採用されたことから、非常にレアなクルマにも関わらず、テレビ報道などで見たことがある人は多いのではないでしょうか。
●マツダ「センティア/MS-9」
マツダ最後のFR高級セダンとなった「センティア」
日本が好景気にわいていた1980年代の後半に、マツダは販売チャネルを5つまで増やし、ラインナップを一気に拡充する戦略を進めていました。
そして、1991年に登場したプレステージセダンがマツダ「センティア」と、兄弟車のアンフィニ「MS-9」です。
センティアは全長4925mm×全幅1795mm×全高1380mm、ホイールベース2850mmと、当時のクラウンを上まわる堂々たるサイズのFRセダン。
外装はボリューム感のある曲面で構成され、伸びやかで優雅なフォルムを実現しています。
ライバルの日産「シーマ」やトヨタ「セルシオ」と比べても見劣りすることはなく、フラッグシップセダンにふさわしいデザインは、海外の工業デザイナーからも高く評価されました。
エンジンは新開発の2.5リッター、もしくは3リッターV型6気筒を搭載。組み合わされるトランスミッションはファジー制御のオートクルーズ機構と協調する4速ATのみです。
その後1993年に、バブルの崩壊によって業績が悪化したマツダはフォード傘下に入り、車種の大幅な整理を始めたことでMS-9の販売を終了。
1995年にボディをダウンサイジングした2代目センティアが発売されますが、販売は苦戦し、2000年に生産を終了。
マツダがFRの高級車をつくっていたのは、もはや記憶している人も少ないのではないでしょうか。
●日産「セドリック ロイヤルリムジン」
日本らしく、ちょっと控えめなストレッチリムジン「セドリック ロイヤルリムジン」
かつて、日産の高級車ラインナップは、「プレジデント」を頂点とし、「シーマ」、「セドリック/グロリア」で構成されていました。
プレジデントは運転手がハンドルを握るショーファードリブンカーで、シーマとセドリック/グロリアは基本的にオーナーが運転するパーソナルセダンでしたが、7代目セドリックにはショーファードリブンカーが存在。
それは、オーテックジャパンが7代目セドリックをベースにカスタマイズした「セドリック ロイヤルリムジン」です。
セドリック ロイヤルリムジンは、すでにバブル景気が始まっていた1987年に発売され、ベース車のシャシを切って600mm伸ばしてつなぎ直す手法で製造されました。
リアシートの足元は広大なスペースを実現し、前席と後席を隔離するパーテーションがある仕様では、後席専用のテレビやオーディオセットなどを装備。
外観では長くなった分のBピラーに小窓が設けられ、セドリック ロイヤルリムジンのフロントグリルが装着されています。
価格は1000万円からで、生産台数は明らかになっていませんが、法人の需要がほとんどだったようです。
なお、ホイールベースを150mm延長した「セドリック ブロアムL」というモデルもあり、1996年に発売されました。
■トヨタの意外な高級車とは!?
●トヨタ「プロナード」
広い室内ながら保守的なユーザーには響かなかった「プロナード」(画像は北米仕様)
トヨタ「プロナード」は、米国トヨタが現地生産するトップモデル「アバロン」をベースに日本仕様に仕立てられ、2000年から輸入・販売されました。
ボディサイズは全長がクラウンに近い4895mmで、全幅はセルシオに匹敵する1820mmというワイドさ。さらにサイドウインドウの角度を立てたことにより、広大な室内空間を実現しています。
そのため、前後席とも3人掛けのベンチシートの6人乗り仕様がラインナップされました。
搭載されたエンジンは、全グレードとも3リッターV型6気筒で、これをフロントに横置きにしたFFとなっています。
またサスペンションは4輪ストラットのオーソドックスなタイプですが、上級グレードには4本のショックアブソーバーを独立制御する「スカイフックTEMS」を備え、ロードホールディング性能と乗り心地が同時に高められました。
装備も豪華仕様で、本革シートが設定されるだけでなく、全車運転席にパワーシートを採用し、DVDナビゲーションを標準装備するなど、トヨタでは数少ない高級FFセダンというポジションを確立。
しかし、プロナードはクラウンやセルシオを選ぶ保守的なユーザーを取り込むことができず、2004年に販売を終了。現在のアバロンは、北米のトヨタブランドでフラッグシップセダンとして人気があるモデです。
●ホンダ「コンチェルト」
英国趣味の高級車を目指した「コンチェルト」
ホンダの高級車といえば「レジェンド」を思い浮かべますが、1988年に発売された「コンチェルト」は、英国調の小さな高級車を目指したモデルです。
当時、ホンダが業務提携をしていたイギリスのローバーグループと共同開発され、ボディは6ライトウインドウが特徴的な直線基調のヨーロピアンスタイルとした、4ドアセダンと5ドアハッチバックをラインナップ。
搭載されたエンジンは、当時のシビックと同じ1.5リッターと1.6リッターの直列4気筒エンジンで、4ドアセダンには従来のスタンバイ式4WDだけでなく、前後輪と後輪左右のタイヤへ独立して駆動力配分をおこなう4WDシステム「INTRAC(イントラック)」を採用するなど、先進的な機能が盛り込まれていました。
上級グレードにはフルオートエアコンや電動パワーシート、キーレスエントリーが採用され、本革シート仕様が設定されるなど、クラスを超えた充実装備で「小さなレジェンド」と評されます。
しかし、この車格に豪華さを求めるニーズはあまりなかったことからヒット作にはならず、1992年に後継車となる「ドマーニ」が登場したことで販売を終了しました。
※ ※ ※
最後に紹介したコンチェルトのように、小さな高級車を目指したクルマは、これまでにもトヨタ「プログレ」やマツダ「ベリーサ」があります。
しかし、これらのクルマも残念ながら一代限りで消えてしまいました。
やはり、日本には高級車=大型セダンという考えや、高級車については舶来主義が根強いためか、小さな国産高級車は難しそうです。
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