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コロナ禍で自動車税は支払い猶予 ガソリン税は? 車にかかる不誠実な税金の実態

くるまのニュース / 2020年6月11日 9時10分

新型コロナウイルスの影響で、自動車税や自動車重量税の支払いが1年猶予されることになりましたが、ガソリンや軽油にかかる税金などは、徴税の根拠がなくなったいまでも課税され続けています。クルマにかかる税金の実態とは、どのようになっているのでしょうか。

■コロナ禍で自動車税や自動車重量税は猶予される

 新型コロナウイルスの影響で所得が減ったとき、生活を一層困窮させるのが税金です。食費や光熱費、家賃などを通常通りに支払い、税金まで納めると生活が破綻しかねません。

 とくにクルマは、登録や届け出、保有、使用の各段階で税金を徴収されます。公共交通機関が未発達の地域や、健康を害しているためにクルマが生活必需品になっているユーザーも多く、コロナ禍でも簡単には手放せません。

 クルマの税金は、登録や届け出をおこなうときに納める環境性能割(旧自動車取得税)、毎年納める自動車税と軽自動車税、購入時と継続車検時に納める自動車重量税、さらにガソリンには揮発油税、軽油にも軽油引取税などが含まれます。クルマのユーザーは、ほかの人達に比べて、多額の税金を負担する仕組みです。

 新型コロナウイルスの影響を考慮して、各種税金には納税猶予が実施されています。税務署に申請をすると、最長で1年間、納税を先送りにできる制度です。

 クルマ関連の税金も、申請により猶予を受けられます。自動車税(都道府県税)、軽自動車税(市町村税)、自動車重量税(国税)は、1年間の猶予が認められました。納税時期が遅れたことで発生する延滞金も免除されます。

 国税庁が示す猶予の条件は、コロナ禍の影響で、2020年2月以降の事業等による収入が前年同期に比べて約20%以上減少しており、税金の納付が不可能なこととされています。

 クルマでは税金以外の出費として、自賠責保険料も挙げられます。クルマを運行するには必ず加入する義務があり、通常は継続車検と併せて自賠責保険料を納めます。

 新型コロナウイルスの対応としては、まず車検期間(自動車検査証の有効期間)が数回にわたり伸ばされました。いまは2020年7月1日までに継続車検を受ければ良いことになっており、これにともない、自賠責保険料の納付も先送りされました。

 ただし車検期間の伸長措置は、コロナ禍に基づくユーザーの経済的な困窮に配慮したものではありません。運輸支局が3密(密閉/密集/密接)に陥るのを避けて、感染拡大を防ぐことが目的です。

 そのために車検期間と自賠責保険期間の伸長も、税金のように1年間ではなく、2020年7月1日になるわけです。

 クルマの車検整備費用は経済的な負担が大きく、伸長期間を長くしたい気持ちも分かりますが、先送り期間が長引くと運行上の危険も生じます。このバランスが難しいです。

 自賠責保険料の納付は、もっと先送りしても危険は生じません。そこで保険継続の手続きは車検期間と同じく7月1日までの猶予ですが、自賠責保険料の払い込みについては、2020年8月1日まで伸長しました。

 それでも車検期間の1か月先では、伸長期間が短い印象も受けます。自賠責保険料と税金は根本的に異なりますが、ユーザーの申請を受け付けて、保険料の払い込みも柔軟に対応すべきでしょう。

■ガソリンの販売価格の半分以上は税金!? 本当に必要?

 そしてもうひとつ、隠れた大問題が燃料に含まれる税金です。

 ガソリン1リッターには、揮発油税+地方揮発油税の53.8円、石油税の2.8円が上乗せされています。

 しかも消費税は、ガソリン本体価格+揮発油税+地方揮発油税+石油税の10%として課税されます。揮発油税などの税金にも消費税を掛ける二重課税です。

ガソリン価格の半分以上は税金ガソリン価格の半分以上は税金

 ちなみにレギュラーガソリン1リッターの価格を、2020年6月上旬の相場に沿って130円とすれば、揮発油税+地方揮発油税+石油税の合計は56.6円で、二重課税の消費税が11.82円です。

 税金の合計額は68.42円になり、ガソリン小売価格の130円に占める割合も53%に達します。ガソリン価格の半額以上が税金で占められるのです。

 小売価格が130円の場合、本体価格は61.58円ですから、仮にコロナ禍対策で揮発油税+地方揮発油税+石油税を非課税にすれば、ガソリンの小売価格は、本体価格の61.58円に10%の消費税を加えた67円です。

 新型コロナウイルスで困窮しながら商売をしている人達にとって、レギュラーガソリン価格が1リッター当たり67円まで下がれば、とても有り難いでしょう。ディーゼルの燃料となる軽油にも、同様に税金が含まれています。

 しかも燃料に含まれるこれらの税金と、自動車重量税、環境性能割の前身だった自動車取得税は、課税する法的な裏付けを失っています。

 なぜなら、これらの税金は、もともと道路建設費用をまかなうための道路特定財源として徴税を開始したからです。

「道路の恩恵を受けるのは、おもにクルマのユーザーだから、道路建設費用も負担すべき」という考え方に基づいていました。

 ところが道路特定財源制度は、2009年に廃止されています。

 そうなれば当然に自動車重量税、自動車取得税、燃料に含まれる税金も廃止すべきですが、いまでも徴税が続いて一般財源(普通の税金)として使われています。クルマのユーザーは、不当に多額の税金を納めさせられているのです。

 さらに新型コロナウイルスの影響もあって新車を購入できず、初度登録(軽自動車は初度届け出)から13年を超える車両を使い続けていると、自動車税、軽自動車税、自動車重量税が増税されます。

 納税期間が猶予されたとしても、少なくとも1年後には、増税された高額な税金を納めねばなりません。

 クルマがあれば、高齢になって体力が弱っても、自分で通院や買い物に出かけられます。クルマは弱い人達の味方になる素晴らしいツールです。それなのにクルマを取り巻く制度は、弱い人達にとても意地悪です。

 新型コロナウイルスで、その悲しい現実が、ますます赤裸々になってきました。

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