選ぶならアルファ顔? それともジャガー顔? 誰でもレーサーになれるVITA−01とは?
くるまのニュース / 2020年6月12日 11時50分
2010年に鈴鹿クラブマンレースからスタートした新カテゴリー「VITA−01」は、今年10周年。いまやスプリントレースや耐久レースなどに広がりを見せるVITA−01は、プロのレーサーだけでなく、ジェントルマンレーサーやドライビングテクニックを磨きたいスーパーカーオーナーなど、幅広い人達に支持されている。VITA−01の魅力をプロレーサーである富田竜一郎氏に解説してもらおう。
■VITA-01で、気軽に自分でクルマをコントロールする感覚を磨こう!
スーパーGT・GT300クラスに参戦しているレーシングドライバーである富田竜一郎氏に、VITA-01のポテンシャルと魅力について、まずは解説してもらおう。
富士スピードウェイでのタイムは、速いドライバーであれば2分を切ることもあるというVITA−01
VITA-01とは、鈴鹿にあるレーシングコンストラクターWEST RACING CARSが製作、販売を手掛けるシングルシーターのレーシングカーだ。
レーシングカーというと高価でメンテナンスが大変、というイメージを持たれる方が多いと思うが、このマシンは徹底したコストの管理とランニングコストの低減が図られていて、年間のランニングコストもレーシングカーとしては破格の値段で、いま若手からマスターズクラスまで幅広いユーザーに親しまれている。
特徴としてはトヨタ製1.5リッターエンジンをリアミッドに積み、リアを駆動するMRのレーシングカーで、ABSをはじめとするドライビングエイドは一切装着されていない。
そしていまでは少なくなりつつあるHパターンの5速マニュアルと、非常にドライバーの技量が問われるマシンとなっている。
そして、超軽量なボディ(530kg!)と、それなりにハイグリップなタイヤを履くおかげで、コーナリングスピードはちょっとしたフォーミュラカーの領域に入っており、コーナー区間では名だたるスーパーカーを置き去りにするほど。
120−130psのエンジンを搭載しているにもかかわらず、富士でのタイムは2分フラット(速いドライバーであれば2分を切ることも)といえば、そのスピードを理解してもらえるだろう
実際攻め込んでいくと僕たちが乗ってもブレーキをロックさせてしまったり、ちょっとしたことでスライドさせてしまうこともあるぐらい奥が深く、ドライビングテクニックの向上と鍛錬にはもってこいのマシンで、僕自身時折富士や茂木を走り、自身のトレーニングに使用している。
これだけを書くと「そんな難しいクルマ乗れないよ!」と思われる方もいると思うが、その軽さとローパワー、タイヤグリップの高さも相まって、操作性は高く、ある程度のスポーツドライビングの心得がある方ならまったく問題なくサーキットを走ることができるはずだ。
何せ500kg台の車重なので、万が一スピンすることがあっても慣性自体が小さいのですぐに止まってくれるし、コントロールも容易だ。
何より手軽にレーシングドライバーになれてしまうところと風を切ってサーキットを走る感覚は他ではなかなか味わえないだろう。
こうしたところが受け、現在、全国各地の主要サーキットではシリーズ戦がおこなわれ、多いレースでは30台近くのエントリーを数えることもあるカテゴリーに成長した、いまや一番熱いレーシングカーといえる。
現代のスーパーカーでは味わえないすべてを自分でコントロールする感覚を、ぜひこのマシンで味わってほしい。
* * *
富田竜一郎氏の解説で、VITA-01がプロのレーシングドライバーが練習用としてドライビングするくらいのポテンシャルの高さと魅力を持っていることを、分かっていただけたと思う。
では、VITA-01とは具体的にどのような車両なのだろうか。
■モータースポーツの扉を、VITA-01で開いてみよう!
WEST RACING CARSは、1973年に開業したレーシングコンストラクターだ。1991年に日産モータースポーツがワンメイクレースとして開催した「ザウルス・ジュニア・カップレース」を記憶している方も多いだろう。
WEST RACING CARSは、その「ザウルス・ジュニア」を生産していたコンストラクターだ。
大型のメーンロールバーと全方向にバンパーを装備することで安全性も確保されている
現代のスーパーカーは、誰もが気軽に運転できるようになった反面、ドライバーのスキルアップは難しい。ドライビングテクニックを磨くうちに、フェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどのワンメイクのジェントルマンレースに参戦する人もいるが、そこまで本格的ではなくとも、サーキットで自在に自分のクルマを操れるだけのスキルを磨きたいと考えている人は多い。
カートで練習するよりも本格的なサーキットでレーシングドライバーさながらの経験を積みたい、もしくはリアルなモータースポーツを体験したいと思っている人にとって、VITA-01はうってつけのマシンだ。
クルマをサーキット用に仕立てるのも実は非常にコストがかかり、メンテナンスなどのコストも高くつくものだ。
その点、VITA-01は、コスト低減を徹底的に追求して開発されている。車両価格は、新品のエンジン&トランスミッションを搭載したもので376万2000円(消費税込、以下同)、中古のエンジン&トランスミッションを搭載したもので314万6000円だ(ただし、タイヤ・ホイールレス)。
エンジンはヴィッツRSの直列4気筒エンジンで、トランスミッションもヴィッツRSの5速MTとなる。
シャシは大径パイプを使った高剛性セミモノコック+スペースフレームを採用し、大型のメーンロールバーと全方向にバンパーを装備することで安全性も確保されている。
ブレーキは4輪とも4ポッドアルミキャリパーを採用し、Φ280mmのベンチレーテッドディスクなので、530kgの車重のVITA−01には十分過ぎるスペックだ。
現在、フロントカウルは3タイプのフェイスから選ぶことができ、ボディカラーは基本のホワイトに、オプションでブラック/レッド/ブルー/イエローを選択することも可能だ(オプション価格:6万6000円)。最終的なカラーリングモディファイを考慮してボディカラーをチョイスするのがオススメだ。
現在、VITA−01で開催されるワンメイクレースは、鈴鹿サーキット/ツインリンクもてぎ/富士スピードウェイ/岡山国際サーキット/十勝スピードウェイ/オートポリスの各サーキットでシリーズ戦としておこなわれている。
また「VITA トロフィー・カップ」は、ツインリンクもてぎと筑波サーキットで3戦ずつの計6戦でおこなわれている。
VITA−01でドライビングスキルをアップした先には、こうしたレースに参戦して、モータースポーツをリアルに経験することも可能だ。
VITA−01に興味が湧いたなら、まずは鈴鹿サーキット南コースで定期的に開催される体験試乗会に参加してみてはいかがだろうか。
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