名作だったのか? それとも迷作!? 日産の珍車5選
くるまのニュース / 2020年6月13日 6時10分
前身の快進社から数えると100年以上もの歴史がある日産は、これまで数多くの名車を生み出してきました。一方で、あまり知られていない珍しいモデルや、ユニークなモデルも存在。そこで、日産の珍車を5車種ピックアップして紹介します。
■日産が誇る珍車を振り返る
日産は前身となる快進社まで遡ると、100年以上もクルマを作り続けている老舗メーカーです。これまでに数々の名車を世に送り出してきました。
その一方で、あまり知られていない珍しいモデルや、ユニークなモデルも存在。そこで、日産の珍車を5車種ピックアップして紹介します。
●アベニールGT4
前置きインタークーラーがカッコイイ「アベニールGT4」
1990年に発売された初代「アベニール」は、ステーションワゴン人気の高まりから発売されたモデルです。
この初代はオーソドックスなスタイルのワゴンでしたが、1998年に発売された2代目では、よりスタイリッシュなデザインに変貌を遂げます。
そして、アベニールには高性能モデルの「パルサーGTI-R」や「シルビア」などに搭載され、名機といわれた「SR20DET型」エンジンと、フルタイム4WDシステム「アテーサ」を組み合わせて搭載した「アベニールGT4」がラインナップされていました。
アベニールGT4のエンジンは2リッター直列4気筒ターボで、最高出力は230馬力を発揮。初代にもSR20DET型が搭載されましたが、2代目では20馬力もパワーアップしています。
ステーションワゴンに高性能エンジンとフルタイム4WDという組み合わせは、スバル「レガシィ ツーリングワゴン」や三菱「レグナム」などを意識していたと思われますが、なぜかトランスミッションは4速ATのみとなっており、スポーティさという点では中途半端な印象です。
ちなみに当時の日産は、SR20DET型エンジンをステーションワゴンの「ルネッサ」、ミニバンの「プレーリーリバティ」にも搭載するなど、高性能グレードを拡充する戦略をとっていました。
しかし、どのモデルも後の車種整理によって消滅し、後継車では高性能版は設定されなかったため、いまとなってはかなり貴重なモデルです。
●プレーリー
現在のミニバンの元祖といわれる「プレーリー」
1982年に日産は革新的なパッケージの5ドアワゴン「プレーリー」を発売しました。最大の特徴はセンターピラーレス構造の後席両側スライドドアで、左右ともに前後ドアを開くと、広大な開口部から室内にアクセスできたことです。
室内のバリエーションは、回転対座セカンドシートが備わる3列シート8人乗り、折り畳み式後席の2列シート5人乗り、豪華な固定式後席の採用で快適性を重視した2列シート5人乗りを設定。
また、リアサスペンションのレイアウトを工夫することにより室内の低床化を実現し、さらにバッグドアがバンパーごと開口する構造で、荷物の積みおろしがしやすい4ナンバー登録の商用バンもラインナップされました。
プレーリーは現在のミニバンの元祖といえる存在ですが、最大のセールスポイントのセンターピラーレス構造や、バックドアの開口部を大きくしたことにより、ボディ剛性が低いと評されてしまいます。
さらに、最高出力100馬力の1.8リッターと85馬力の1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンでは、多人数乗車時の動力性能が低いとの指摘もありました。
そのため販売台数は低迷し、1988年に2代目へとバトンタッチした際にはセンターピラーのある構造に改められました。
後にトヨタやダイハツ、ホンダがセンターピラーレス構造のスライドドアを採用しているため、プレーリーのコンセプトは間違っていなかったといえますが、出るのが早すぎたのでしょう。
●ラングレー
完全に「ジャパン顔」の初代「ラングレー」
高性能なイメージで人気となった「スカイライン」は、代を重ねるごとにファンを増やしていきましたが、主力グレードは価格が高く、若者が簡単に買えるものではありませんでした。
そこで、1980年にはフロントデザインがスカイラインにそっくりなエントリーモデル「ラングレー」が登場。
ラングレーは当時のコンパクトカー「パルサー」とプラットフォームや多くの部品を共用した3ドアハッチバックで、発売当初は1.4リッター直列4気筒OHVエンジンを搭載したFFレイアウトを採用したことで、広い室内空間が特徴でした。
ラングレーは、広告のキャッチコピーもスカイラインに寄せて「愛のラングレー」とされ、2代目では「ポールとポーラの新ラングレー」、3代目ではレーシングドライバーで、スカイラインのCMにも出演していた鈴木亜久里氏を起用し、若者に訴求します。
また、3代目で追加された4ドアセダンには、完全にスカイラインを模した丸型4灯テールライトとなっていて、まさに「スカイラインズ・ミニ」といえるモデルとなっていました。
■日産がつくっていたドイツ車とは!?
●サンタナ
ドイツ車らしい質実剛健さが感じられる「サンタナ」
1980年代の初頭、日産とフォルクスワーゲンは業務提携契約を結び、その事業の一環で日産はフォルクスワーゲンのグローバルセダン「サンタナ」を日本でノックダウン生産し、日産ディーラーでも販売することになりました。
1984年に発売されたサンタナは5ナンバー枠に収まるボディサイズに改変され、エンジンは2リッター直列5気筒と、1.8リッター直列4気筒、1.8リッター直列4気筒ディーゼルをラインナップ。トランスミッションは5速MTと3速ATが設定されました。
ボディサイズは全長4530mm×全幅1690mm×全高1395mmと、前述のとおり5ナンバーサイズですが全長は比較的長く、欧州車らしい6ライトウインドウのデザインが高く評価されます。
しかし、フォルクスワーゲン・ブランドながら日産製ということが、当時の輸入車を買う層には受け入れられなかったのか、発売当初は一定の人気があったももの徐々に販売台数が低迷し、1990年に生産を終了。
同年、日産とフォルクスワーゲンの提携自体も終了しますが、1992年まで日産のディーラーで「パサート」の販売が続けられました。
●クエスト
当時としてはかなり巨大なミニバンの「クエスト」
1992年に発売された日産「クエスト」は、北米専用の7人乗り大型ミニバンとして開発されました。
生産はオハイオ州の工場でおこなわれ、1995年にはオーテックジャパンが輸入するかたちで、左ハンドルのまま日本でも販売されました。
ボディサイズは全長4835mm×全幅1870mm×全高1770mmと、当時のミニバンとしてはかなり大きく、現在の「エルグランド」クラスです。
搭載されたエンジンは150馬力を発揮する3リッターV型6気筒のみで、フロントタイヤを駆動するFFを採用。
外観はボリュームのある丸みを帯びたフォルムで、サイズ感とともにアメリカナイズされています。
実際の人気はというと、左ハンドルのみで、リアのスライドドアが右側だけだったためか、ヒットには至らず、1999年に販売を終了。いまでは稀代の珍車です。
なお、北米ではその後もクエストは代を重ねて販売され、2017年に販売を終え、ラインナップから消滅しました。
※ ※ ※
冒頭に日産は100年以上の歴史がある老舗メーカーと書いてありますが、実際に80年前から90年前につくられた「ダットサン」は、数多く現存しています。
神奈川県座間市の「日産ヘリテージコレクション」が所蔵しているだけでなく、個人で所有しているクルマもあるほどです。
それほどまでに現存している理由としては、小型車ばかりだったため比較的生産数が多かったことと、小さいゆえに納屋などに置いていたユーザーがいたということが挙げられます。
また、それほど愛されていたということでしょう。
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