突然の豪雨で道路が冠水!? 対策は万全? 道路管理者に聞いてみた!
くるまのニュース / 2020年6月30日 9時10分
近年、ゲリラ豪雨が多発するのに比例して、道路の冠水被害も多発しています。道路を管理する国や県はどのような対策をおこなっているのでしょうか。
■大雨の冠水被害!道路管理者側はどのように対策してるの?
例年、6月から7月にかけて、雨の多くなる季節は道路の冠水被害が多発します。近年では、全国各地で道路冠水被害が多発していますが、その原因は地球温暖化が大きく関係しているという説もあります。
気温が上昇すると空気が膨らみ、空気中に含むことができる水蒸気の量も増えることで、一気に大量の雨を降らす減少が起こるのです。
一般的に、下水道管や道路側溝の水路は、1時間あたり50ミリメートルまでの水量に耐えるよう設計されています。
しかし、温暖化による雨水の増加により、多い時では1時間に100ミリメートルを越える強い雨を観測することから、水路が耐えきれず冠水被害が多発しているのです。
道路管理者側は、こうした冠水被害についてどのように対策をしているのでしょうか。東京建設局道路管理部の担当者は、以下のように話します。
「一般的に、冠水しやすいとされるアンダーパスには、排水設備を設置しています。水を集めて誘導し、ある1箇所に集めて下水や河川に流すという仕組みです。
排水する場所がない場合は、ポンプを設置して溜まった水を汲み上げ、下水や河川に流します。通常の道路も同様に、窪んで水が溜まりやすい場所では、こうした対策に取り組んでいます」
アンダーパスとは、主要幹線道路や鉄道の下をくぐる道路です。周囲の道路に比べて低い場所に設計されており、大雨の日は冠水被害に見舞われるケースが多発しています。
そのため、国土交通省でもあらゆる取り組みをおこなっています。国土交通省道路局環境安全防災課の担当者は、以下のように話します。
「アンダーパスは、2017年4月1日時点で、全国に約3500箇所が存在します。冠水対策としては、排水ポンプを設置しています。
ポンプの排水能力を超える大雨になった場合は、事前に通行規制を実施し、設置された情報版による注意喚起や道路利用者に情報提供をおこなっています」
アンダーパスの冠水対策を強化する背景には、2016年に愛知県で発生した台風による大雨が関係しています。
総務省によると、当時愛知県内ではアンダーパスでクルマが冠水し、運転者が死亡するという事故が多発しました。
また、2018年にも愛知県・岐阜県で冠水被害が多発したことから、事故防止対策の推進が求められる状況となったのです。
アンダーパスの注意喚起の具体的な施策については、総務省は5つの取り組みをおこなっています。
1つ目は、アンダーパスの手前に「注意喚起表示板」を設置することです。なかには、アンダーパスが登場するかなり手前の道路に設置するケースも増えているようです。
2つ目は、「冠水情報表示板」の設置です。水位に応じてセンサーが反応、自動的に通行規制を表示し、ドライバーへの注意喚起します。
3つ目は、「物理的な通行禁止措置」です。アンダーパスへの進入を防止するため、工事現場などで使用されるバリケードを設置するといった取り組みです。
4つ目めは、アンダーパス内に「水位表示」を設けることで、注意喚起や進入回避を目的として、側面や路面上に水位を表示しています。
5つ目は「連絡先表示」です。冠水現場を発見した際や、自分のクルマが水没してしまったときに素早く通報できるよう、警察、消防、道路管理者などの連絡先を表示しています。
※ ※ ※
では、道路の冠水被害について、私たちが身近にできる対策は何かあるのでしょうか。
まず、道路の集水桝に溜まっているゴミを取り除くことです。集水桝とは、雨水や排水を受ける入り口です。
ここに、落ち葉やゴミが溜まると雨水の流れが悪くなり、道路に水が溢れて冠水の原因になります。集水桝のゴミを取り除き、水の通りを作ることで、冠水対策に繋がります。
続いて、雨水タンクの設置です。これは、雨水を蓄える貯水タンクとなっており、小さなダムのように浸水を防ぐ効果を発揮します。溜まった雨水は、草木の水やり、洗車、災害時の防水用水などにも利用可能です。
料金は、3000円から10000円程度で、ホームセンターやインターネットでも購入可能です。自治体によっては、購入費用や設置費用を含む上限1万円から5万円の助成金を支給している地域もあるため、各制度を調べて有効に活用しましょう。
最後に、敷地内の下水道管や枡の定期点検を心がけることです。下水道管の流れが悪くなる原因は、ゴミなどの詰まりのほかに、地盤沈下による勾配の変化もあげられます。
まずは、定期的な点検や清掃をおこない、詰まりを確認したときは水道トラブルの業者に問い合わせましょう。
温暖化の影響により、近年の大雨は降水量も増えているため、道路の冠水被害が多発しています。こうした問題に取り組むため、国土交通省をはじめとする道路管理者は、あらゆる対策を徹底しています。
■冠水道路に侵入… クルマから脱出することはできる?
大雨時には、運転中の視界が著しく悪くなります。その結果、意図せずに冠水している道路に進入する可能性も出てきますが、クルマが冠水道路にハマった場合、脱出することはできるのでしょうか。
JAFのユーザーテストでは、水深何センチの冠水ならクルマから脱出できるのかについて、水深30cmから120cmの間で「後輪が浮いている状態」と「完全に水没した状態」に分けて実験をおこなっています。
その結果、セダンは水深60cmから、ミニバンは水深90cmから後輪が浮き始めました。
「後輪が浮いている状態」では、車外の水位が高くなったことで外から強い圧力がかかり、水深60cmに到達するとセダン・ミニバンともに水圧でドアを開けることはできませんでした。
一方、「完全に水没した状態」は、車内外の水位差が小さくなり、ドアは重たいものの、開くことは可能で、セダン・ミニバンともに、時間はかかったものの全水深でドアを開けることに成功しています。
なお、車両の後輪が浮いている状態では、水圧の影響を受けづらい後部座席のドアから脱出を試みることもできます。
JAFがおこなったテストの様子
万が一、車内に閉じ込められてしまった場合のためには、脱出用のハンマーを車内に常備しておくことが大切です。
また、シートベルトがなかなか外れない場合は、シートベルトを切断できる機能がついた商品もあるので、備えましょう。実際に窓を割るときは、四隅を意識して叩くと効率よく割ることができるとのことです
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