北米や欧州で大ヒットの偉業! 海外で人気となった日本車5選
くるまのニュース / 2020年6月17日 6時10分
1970年代頃から、日本車は海外でも販売するグローバル化が一気に進みました。そうしたクルマのなかには、北米や欧州で大ヒットを記録したモデルも存在。そこで、海外で人気となった日本車を5車種ピックアップして紹介します。
■日本でのヒットだけでなく、海外でも人気となったクルマを振り返る
国産メーカーは1960年代に海外進出を果たし、1970年代には日本車のグローバル化が大きく前進しました。
とくに自動車大国であるアメリカや欧州で販売することによって、日本車の性能は飛躍的に向上し、世界の名だたるメーカーと肩を並べる存在になります。
そんな海外進出したクルマのなかには、大ヒットを記録したモデルも存在。そこで、海外で人気となった日本車を5車種ピックアップして紹介します。
●ユーノス「ロードスター」
世界に多大な影響を与えたマツダ「MX-5」
1989年にマツダは、軽量なオープン2シータースポーツカーのユーノス「ロードスター」を発売。
「ファミリア」などに搭載された既存のエンジンを流用することで、開発期間とコストを抑えつつ、マツダのエンジニアたちが目指した「人馬一体」を実現したことで、2シーターという用途が限られているモデルながら異例のヒットを記録しました。
そして、アメリカではマツダ「MX-5ミアータ」、欧州では「MX-5」の名で販売されると、日本と同様にヒットし、自動車専門誌などのメディアからも高い評価を得ます。
とくに欧州では、運転を純粋に楽しむライトウェイトスポーツカー市場を活性化させ、各欧州メーカーからロードスターと同様なコンセプトのクルマが続々と発売されたほどです。
また、アメリカでは純粋に走りを楽しむ「カーガイ」だけでなく、初めてクルマを買ってもらう高校生や大学生からも圧倒的な支持を得て、現在も幅広いユーザーから愛されています。
●トヨタ「ヴィッツ」
新たなコンパクトカーのベンチマークとなったトヨタ「ヤリス」
1999年に発売されたトヨタ初代「ヴィッツ」は、それまでの「スターレット」に代わるトヨタのエントリーモデルとして開発された新世代のコンパクトカーです。
コンパクトなボディながら、大人4人が快適に過ごせる室内空間と荷室を実現した優れたパッケージングと、高い基本性能、そしてスタイリッシュな外観のデザインによって日本で一躍ベストセラーとなります。
発売当初は最高出力70馬力の1リッターエンジンを搭載し、海外では「ヤリス」の名で販売され、なかでも同様なコンパクトカーが多数存在する欧州に勝負を挑みました。
すると、その独自のパッケージングと経済性が高く評価され、2000年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
ヤリスはコンパクトカーのベンチマークとして、欧州メーカーにも影響を与える存在となり、いまに至ります。
●日産「フェアレディZ」
日本を代表するスポーツカーとしてアメリカで大ヒットしたダットサン「240Z」
日産はアメリカ市場でのニーズに適合した新しいスポーツカーとして、1969年に初代「フェアレディZ」を発売しました。
欧州の高級GTカーにも負けないスペックと、ロングノーズショートデッキでファストバックスタイルの、スポーツカーの見本のようなフォルムで、国内ではまたたく間に人気となります。
軽量ボディに高性能なストラット式4輪独立懸架サスペンション、スムーズに吹け上がる直列6気筒エンジンは、多くの若者を魅了しました。
そしてアメリカにはダットサン「240Z」として輸出されると、「Z Car」と呼ばれ日本以上の人気を獲得。
軽量ボディに高性能なストラット式4輪独立懸架サスペンション、スムーズに吹け上がる直列6気筒エンジンは、多くのアメリカ人を魅了し、240Zがあまりにも売れていた影響で、イギリスのスポーツカーメーカーがアメリカから撤退することを余儀なくされたほどです。
ちなみに、アメリカでは年間4万台以上をコンスタントに販売していたため、製造台数のほとんどはアメリカ向けに輸出されたといいます。
1974年にはリアシートを備えた4シーターモデルが発売され、2.6リッターエンジンを搭載した「260Z」が登場。1975年には2.8リッターの「280Z」が発売されるなど、よりアメリカのニーズにマッチした仕様へと変化しました。
1978年に2代目へバトンタッチされますが、初代の人気は別格で、アメリカではいまも数多くの愛好家が存在し、全米にオーナーズクラブが結成されています。
■日本で人気の軽自動車がアメリカでもヒットした!?
●ホンダ「シビック」
アメリカにおけるエコカーの代名詞的存在のホンダ「シビック CVCC」(北米仕様)
1972年にホンダは、新発想のコンパクトカーの初代「シビック」を発売しました。ボディの四隅にタイヤを配置して広い室内空間を実現し、前後を切り詰めたデザインによる斬新な大衆車として大ヒットします。
そして、排出ガス規制の強化が進むなか、1973年にホンダが開発したCVCCエンジンは、パスすることが不可能とまでいわれていた、アメリカの排出ガス規制、通称「マスキー法」の規制値を世界で最初にクリアしました。
当時は、排出ガスの浄化に複雑なシステムが必要といわれていましたが、排出ガス対策をエンジン本体の改良だけで実現したことは快挙でした。
こうしてCVCCエンジンを搭載したシビックは、1974年にアメリカへ輸出されると、燃費がよくクリーンなクルマとしてヒットします。
シビックはすでに1973年にアメリカに上陸していましたが、アメリカのビッグ3がつくる巨大なボディと大排気量のクルマとは対極にあり、最初は人気が出ませんでした。
しかし、折しも第1次オイルショックが起こったためシビックへ注目が集まり、ヒットにつながったのです。
それまでオートバイメーカーとして有名だったホンダが、自動車メーカーとして認められる存在になり、シビック=エコカーというイメージが定着し、ホンダの本格的な北米進出の足がかりとなりなりました。
その後、シビックの販売は北米市場がメインとなり、いまも「アコード」や「CR-V」と並んで高い人気を誇っています。
●スズキ「ジムニー」
コンパクトなクロカン4WD車として欧米で大ヒットしたスズキ「サムライ」(イギリス仕様)
現在、軽自動車で唯一無二のクロスカントリー4WD車であるスズキ「ジムニー」は、2代目から本格的な海外進出を果たしました。
1985年にスズキ「サムライ」と名付けられ、北米や欧州に輸出が始まり、それまで見たことがないコンパクトなクロスカントリー4WD車として注目されます。
なかでも、アウトドアレジャーが盛んなアメリカで、若者を中心に大ヒットを記録。前述のロードスターのように、高校生や大学生が乗るクルマとして人気となりました。
フレームや車体はジムニーと共通ですが、エンジンは1.3リッターを搭載し、後に「ジムニー1300」としても販売され、現在の「ジムニーシエラ」の元祖といえるモデルです。
こうして高い人気を誇っていたサムライですが、1980年代の終わりに「転倒事故が多い」と告発され、リコール騒動にまで発展。
結局、サムライに構造上の欠陥は無く、路面状況や運転方法が原因の転倒と証明され、事なきを得ましたが、安全規制の強化などがあり1995年には北米市場から撤退してしまいました。
その後もジムニーは欧州やインド、南米などで販売され、現行モデルは開発当初から左ハンドル仕様が設定されるなど、海外でも再び注目されています。
※ ※ ※
いまでは、世界中で販売されている日本車ですが、これまで順風満帆だったわけではありません。とくにアメリカ市場では、初期の日本車は性能や居住性など酷評されてしまいました。
その流れを変えたのが日産3代目「ブルーバード」といわれています。
3代目ブルーバードはダットサン「510」の名で1967年にアメリカに上陸し、高性能ながら安価な価格で大ヒットを記録。それまでの日本車のイメージを完全に払拭しました。
このブルーバードの成功があってこそフェアレディZのヒットがあり、そして日本車の海外進出の礎になったということです。
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