「レガシィ」のトラックや純正「ワンビア」がある!? 海外専用ボディの車5選
くるまのニュース / 2020年6月19日 6時10分
現在、国産メーカー各社はグローバルでクルマの販売をおこなっており、数多くの海外専用車をラインナップしています。一方で、国内でもおなじみのクルマながら、日本で売っていないボディが存在。そこで、海外専用ボディのクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■海外向けにはユニークなボディのクルマがある!?
近年、国産メーカー各社は世界中でクルマを販売しています。かつては日本で売っているクルマを、海外向けに仕立て直して販売していましたが、現在は数多くの海外専用車が用意されています。
一方、国内で売っているクルマと同じ車種でも、日本の仕様と異なるボディのモデルが存在。
そこで、これまでに海外で販売されたクルマのなかから、独自のボディとなったモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●日産「240SX」
これが純正の「ワンビア」だ! 北米仕様の「240SX」
日本で1988年に発売された日産5代目「シルビア」は、美しい2ドアクーペボディに高性能なエンジンを搭載したことで、大ヒットしました。
1989年には、5代目シルビアのコンポーネントを流用した3ドアハッチバックの「180SX」を発売し、同じくヒット作となります。
そして、北米でもこの2台に2.4リッターエンジンを搭載した「240SX」を投入。
ハッチバックのデザインは180SXのままでしたが、クーペのデザインが日本仕様とは異なり、ボディはシルビアでフロントフェイスは180SXと同じになっており、まるで180SXのノッチバック版です。
北米ではシルビアと180SXは同一車種という設定だったことと、当時、スポーツカー=リトラクタブルヘッドライトというイメージがあったため、両モデルとも180SXの顔に統一したということでしょう。
なお、次世代の240SXは国内の6代目シルビアと同じボディとなり、3ドアハッチバックは廃止されました。
また、実際にシルビアと180SXのフロントセクションは互換性があり、日本でも双方を入れ替えた「シルエイティ」や「ワンビア」と呼ばれる『顔面スワップ』がおこなわれています。
●ホンダ「アコード ハッチバック」
日本では販売されなかったスタイリッシュなモデル「アコード ハッチバック」
初代ホンダ「アコード」は1976年に発売され、当初のボディタイプはハッチバックのみでしたが、後にセダンが追加されます。
そして、1985年に登場した3代目の国内仕様では、従来の3ドアハッチバックが廃止され、代わりにステーションワゴンタイプの3ドアモデル「アコードエアロデッキ」とセダンをラインナップしました。
一方、北米などではエアロデッキは販売されず、セダンと一般的なハッチバックを販売。
フロントフェイスは国内と同じリトラクタブルヘッドライトを採用したスポーティな印象です。リアは直線基調のリアゲートとなっており、デザインのバランスが秀逸で、非常にスタイリッシュな外観をつくり出しました。
当時、海外仕様のハッチバックが日本で紹介されると「日本でも売ってほしい」という声があがったほどです。
その後、1989年に4代目アコードが登場した際に、セダン、クーペ、ステーションワゴンのラインナップとなったため、3ドアモデルは消滅しました。
●トヨタ「エコー」
日本では古くに絶滅した2ドアセダンの「エコー」
1999年に発売されたトヨタ初代「ヴィッツ」は、次世代のコンパクトカーとして日本だけでなく欧州でも大ヒットを記録します。
また、同じシャシを使った派生車であるトールワゴンの「ファンカーゴ」と、4ドアセダンの「プラッツ」も登場。
このプラッツは北米でも「エコー」という名で販売されており、4ドアだけでなく2ドアセダンも設定されていました。
日本でもかつては「カローラ」や日産「サニー」に2ドアセダンが設定されていましたが、1980年代には消滅。
一方、アメリカでは「セクレタリーカー」(主に働く女性が通勤などで使うクルマと定義)として、2ドア小型車のニーズがあったため、ラインナップされたようです。
エコーの2ドアモデルは、ヴィッツの3ドアハッチバックに短いトランクを付けたようなイメージで、かなり無理矢理感があり、スタイリッシュとはいえませんでした。
なお、北米での販売はプラッツと同様に2005年で終了しています。
■短命だったけど、カッコいいトラックがあった!?
●スズキ「ディザイア」
スタイリッシュなコンパクトセダンの「ディザイア」
スズキのコンパクトカー「スイフト」は、日本のみならず海外でも販売される世界戦略車です。
そして、スイフトの派生車として、主にインドと新興国で販売されているセダンが「ディザイア」で、もともとは「スイフト ディザイア」の名で販売されましたが、2017年に発売された現行モデルではディザイアに改められました。
スイフトの後部をハッチバックからトランクに作り変えてセダン化されており、全体の佇まいも違和感はありません。
フロントフェイスも専用デザインのバンパーとグリルが装着されるなど、スイフトとの明確な違いを主張しています。
エンジンは国内のスイフトと同じ1.2リッター直列4気筒自然吸気ですが、ガソリンの品質を考慮して91馬力から83馬力にデチューンされており、トランスミッションは5速MTと、スズキ独自のAMTである5速AGSを設定。
なお、同様なコンパクトセダンは新興国を中心に人気があるため、ホンダや日産など、ほかのメーカーも販売しています。
●スバル「バハ」
アメリカならではの企画で誕生したピックアップトラック「バハ」
スバル初代「レガシィ」は1989年に発売され、オールマイティに使える「ツーリングワゴン」として大ヒット。国内に、ステーションワゴンブームをもたらしました。
そして、1993年に登場した2代目では、派生車としてツーリングワゴンをベースにSUVテイストを盛り込んだ、「レガシィ グランドワゴン(後に『ランカスター』へ改名)」が登場。
レガシィ ランカスターは北米では「アウトバック」の名で販売され、2003年にはアウトバックの荷室上部を取り去ったピックアップトラックの「BAJA(バハ)」が発売されました。
ピックアップトラックの人気が高い北米ならではのモデルとして開発され、荷台部分はコンッパクトながら5名乗車が可能な「ダブルキャブ」となっています。
バハはスタイリッシュなボディとパワフルなエンジンを搭載したピックアップトラックとして、マリンスポーツやアウトドアレジャーの愛好家から人気となります。
しかし、発売からわずか3年後の2006年に生産を終了。その後のアウトバックに、設定されることはありませんでした。
※ ※ ※
冒頭にあるとおり、現在はたくさんの海外専用車が販売されていますが、それが可能となったのは、海外の工場で生産されているという背景があります。
国産メーカーで初めて海外生産を開始したのはホンダで、1982年に2代目「アコード」が第1号車です。
1970年代から拡大していた貿易摩擦に対しての対策ということでしたが、そのおかげでホンダはアメリカ専用車を早くからつくっており、いまも現地のニーズに応えた車種を数多くラインナップしています。
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