高性能車が次々と登場したスゴい時代!? 懐かしのスポーティFF車5選
くるまのニュース / 2020年6月24日 6時10分
国内市場では、1970年代の始めから小型車のFF化が本格的に始まりました。その後、広い室内と安定した走りが可能なFF車は一気に普及し、高性能なモデルも登場。そこで、1980年代に次々と登場した懐かしのスポーティなFF車を5車種ピックアップして紹介します。
■各メーカーが競い合っていたころのFFスポーツ車を振り返る
車体のフロントにエンジンを搭載して前輪を駆動するFF車の歴史は古く、100年以上前には実用化されていました。
日本では1970年代初頭に小型車からFF化が本格的に始まりましたが、当初は操縦性にクセがあるなどの理由で採用するクルマは少なかったものの、改良が進むにつれて広い室内空間を実現できることや、走行安定性の高さから一気に普及します。
そして1980年代には小型車はFFが主流になり、高性能なモデルが次々と発売されました。そこで、1980年代に登場した懐かしのスポーティFF車を5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラFX」
セダンと合わせてシリーズ初のFF高性能モデル「カローラFX」
1984年にトヨタ「カローラ」の派生車として発売された「カローラFX」は、高性能な「AE86型 カローラレビン」がFRだったのに対し、スポーティな2BOXのFF車として登場。
トップグレードの「GT」には、最高出力130馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCの「4A-GELU型」エンジンが搭載されました。
走りを重視するカローラファンはレビンを推しましたが、ライバルのホンダ「シビックSi」という速いFF車の台頭から、カローラFXも欧州のハッチバック車のような洗練されたスタイルで、FF派から人気となります。
1983年に発売された5代目カローラセダンと共通のシャシで、サスペンションは4輪ストラットの独立懸架を採用。コーナリング性能も高められ、スポーティな走りを実現しています。
そして1987年に6代目カローラが全車FFとなると、レビンとともにカローラFXも高性能化が進みました。
●いすゞ「ジェミニ イルムシャー」
ドイツチューナーとの合作「ジェミニ イルムシャー」
1974年にいすゞ「ベレット」の後継車としてデビューした「ジェミニ」は、1.6リッターエンジンを搭載するFR駆動の4ドアセダンと2ドアクーペがラインナップされていました。
そして、1985年に2代目が登場すると時代の流れからFF化され、1.5リッターエンジン搭載車を主力商品とした、4ドアセダンと3ドアハッチバックの構成になります。
発売当初は先代の高性能グレード「ジェミニZZ」が併売されていたことから、スポーティさを前面に出すことはありませんでした。
しかし、FFジェミニが発売された時点で、すでに市場では高性能なFF車が登場して人気を集めており、それに追従するために、1986年に最高出力120馬力を誇る1.5リッター直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載した「ジェミニ イルムシャー」を発売。
足まわりはドイツのイルムシャー社が監修したセッティングがおこなわれ、優れたコーナリング性能を実現。さらに専用デザインの前後バンパーやフラットなホイールキャップなど、外観もイルムシャー流にカスタマイズされていました。
ほかにもRECARO社製シートを装備するなどヨーロピアンテイストにあふれたイルムシャーは高い人気を誇り、1988年には「ジェミニZZ ハンドリング・バイ・ロータス」が登場すると、イルムシャーとの二枚看板でジェミニは大ヒットします。
●ホンダ「バラードスポーツCR-X」
軽さが武器のローラースケートGT「バラードスポーツCR-X」
ホンダ「バラード」は、1980年に「シビック」の姉妹車として発売された4ドアセダンです。
1983年にシビック、バラードのフルモデルチェンジに先駆けて、派生車の「バラードスポーツCR-X」が登場。セミリトラクタブルライトのフロントフェイスとリアを断ち切ったデザインの3ドアハッチバックで、軽快なスポーツカーらしさあふれるスタイルが印象的でした。
トップグレードに搭載されたエンジンは110馬力を誇る1.5リッター直列4気筒で、SOHCながら高回転域まで気持ちよく吹け上がることが特徴です。
走りについてはシャシを共有するシビックに比べ180mmも短いホイールベースにより、コーナリングはよりクイックな挙動で、シビックとは異なる性格が与えられました。
さらに、CR-X専用として外装の多くに樹脂パーツを採用したことで、車重がわずか800kg(5速MT)に抑えられ、優れたコーナリング性能と低燃費を両立しています。
■スーパーカー世代には「ドストライク」なスポーツコンパクトとは!?
●「シャレード デ・トマソターボ」
イタリアンブランドてんこ盛りだった「シャレード デ・トマソターボ」
1977年に発売されたダイハツ「シャレード」は、1リッター直列3気筒SOHCエンジンを横置きにした、同社の新世代コンパクトカーとして登場。
軽自動車をわずかに上まわるだけの価格設定と、低燃費なエンジンを搭載したことで、オイルショックという時代背景もありヒット作となりました。
そして、1981年に開催された東京モーターショーで、ダイハツと提携契約を結んだイタリアのデ・トマソがチューニングした「シャレード デ・トマソターボ」が参考出品されました。
デ・トマソといえば、フォード製V型8気筒エンジンを搭載したスーパーカー「パンテーラ」が有名で、当時は広く認知されていたメーカーです。
シャレード デ・トマソターボは市販されることはありませんでしたが、1983年に2代目となったシャレードをベースに、「シャレード デ・トマソターボ」が1984年に登場します。
ターボ化された1リッター直列3気筒エンジンは最高出力80馬力を発揮し、700kg弱の軽量なボディには十分過ぎるパワーで、クラスを超えた走りを実現。
外装には専用デザインのエアロパーツが装着され、イタリアブランドのカンパニョーロ製マグネシウムホイールにピレリ製タイヤ、MOMO製ステアリングなどが採用されて、一躍人気車となりました。
●三菱「ミラージュ サイボーグ 16V-T」
ターボエンジンならではの大トルクが魅力の「ミラージュ サイボーグ 16V-T」
1978年に発売されたコンパクト2BOXカーの三菱「ミラージュ」は、FFレイアウトを活かした室内空間の広さと、欧州テイストのスタイリッシュな外観デザインで大ヒットを記録します。
そして1982年には最高出力105馬力を発揮する、1.4リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した「ミラージュIIターボ」が登場。
ミラージュが他社に先駆けてターボ化されたことから、これをきっかけにコンパクトカーのパワー競争が勃発することになります。
そして、1987年にモデルチェンジされた3代目では、1.6リッター直列4気筒DOHCエンジン「4G61型」にターボを装着し、最高出力145馬力を誇るスポーティモデル「サイボーグ 16V-T」が登場。
1989年には160馬力までパワーアップされ、過激なハイパワーFF車(4WD車もあり)として高い人気を誇りました。
ちなみに、4代目以降のミラージュは、高性能グレードが自然吸気エンジンにシフトされたため、大トルクの過激なモデルはこの3代目限りです。
※ ※ ※
今回、紹介した5車種のような高性能なFFコンパクトカーは、若者を中心に大人気となり、各メーカーが数多くラインナップしていました。
現在は、ほとんどが淘汰されてしまったか大型化しているため、高性能なFFコンパクトカーは貴重な存在です。
各メーカーともベースとなりそうなモデルはありますが、この先、高性能なFFコンパクトカーの復活は難しいでしょう。
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