ヒットしたのは過去の栄光か!? 一時は人気があったけど生き残れなかった車5選
くるまのニュース / 2020年6月27日 6時10分
多くのクルマは売れなくなるとモデルチェンジか生産終了の判断が下されます。かつて人気があったモデルでも、代を重ねると売れなくなるケースも存在。そこで、一時は人気がありながら生き残れなかったクルマ5車種をピックアップして紹介します。
■さまざまな理由で消えていった、かつての人気車を振り返る
大ヒットを記録したクルマでも、代を重ねると突然売れなくなることもあります。理由はさまざまですが、多くはニーズの変化があります。
また、ある程度の人気があったにもかかわらず、突然、販売を終了したクルマも存在。
そこで、一時は人気がありながら、最終的に生き残れなかったクルマ5車種をピックアップして紹介します。
●日産「ムラーノ」
かなり大柄なボディながらスタイリッシュにデザインされたSUV「ムラーノ」
2004年に発売された日産「ムラーノ」は、大型のクロスオーバータイプSUVです。当初から北米での販売がメインだったので北米では日本に先んじて2002年に発売されました。
ボディサイズは全長4770mm×全幅1880mm×全高1685mmと、当時の国産車ではかなり大きいのですが、そのサイズを上手に使ってスタイリッシュにデザインされていました。
搭載されたエンジンは3.5リッターV型6気筒と2.5リッター直列4気筒をラインナップし、駆動方式は3.5リッター車が4WDと2WD、2.5リッター車は2WDのみです。
発売当初は日本の道では大きすぎるという声もありましたが、ライバルが少なかったことから、このクラスでは異例のヒット作になりました。
そして、2008年に2代目にモデルチェンジをおこない、外観はキープコンセプトながら、よりシャープなフロントフェイスとなり、さらにスタイリッシュに変貌。
しかし徐々に販売は低迷し、2015年で販売を終了しました。北米では継続して販売されており、現行モデルは3代目です。
なお、現在はミドルクラスSUVのエクストレイルが実質的な後継車となっています。
●三菱「シャリオ」
乗用車感覚でドライブできるミニバンの先駆け的存在の「シャリオ」(画像は2代目)
1983年に発売された三菱「シャリオ」は、ステーションワゴンタイプの2BOXボディに3列シートを備えたミニバンの先駆け的モデルです。
デビュー時の駆動方式はFFのみでしたが、後にパートタイム4WDが追加され、その後にはビスカスカップリング式フルタイム4WDへと進化。
国内仕様の「ランサーターボ」と同じ1.8リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載したモデルも存在しました。
1991年には「RVR」と主要コンポーネンツを共有する兄弟車となった2代目シャリオが登場。多彩なシートアレンジなど使い勝手の良さや、ミニバンという呼び名が定着しはじめたこともあり、日常でシャリオを目にすることが増えました。
1995年には、「ランサーエボリューション」と同じ2リッター直列4気筒DOHCターボの4G63型エンジンを搭載した「リゾートランナーGT」が追加ラインナップされました。
最高出力230馬力とランサーエボリューションよりはマイルドでしたが、ミニバンとは思えない鋭い加速を誇りました。
その後、1997年に車名を「シャリオグランディス」に変えフルモデルチェンジ。2003年には「グランディス」となった実質的な4代目となります。
グランディスはワンモーションで構成されるスタイリッシュなフォルムのミニバンでしたが、シリーズで一貫して後席ヒンジドアだったためか、販売面は苦戦が強いられ、2009年に販売を終了。
後継車はなく、三菱のミニバンはデリカD:5のみとなりました。
●ホンダ「ストリーム」
スポーティミニバンとしてヒット作となった「ストリーム」
1994年に発売され、瞬く間にベストセラーミニバンとなったホンダ「オデッセイ」に続き、1996年には「ステップワゴン」が登場し、大ヒットを記録。
そして、ホンダは次の一手としてより低床・低全高で5ナンバーサイズのミニバン「ストリーム」を、2000年に発売します。
全長4550mm×全幅1695mm×全高1590(1605mm)のコンパクトなボディは、狭い道が多い都市部の住宅地でも取り回しがよく、発売からわずか10か月で10万台以上を販売するヒット作になりました。
また、パワートレインが特徴的で、トップグレードには新開発の2リッター直列4気筒DOHC i-VTECを搭載。最高出力153馬力を発揮し、クラス初の5速ATが組み合わされ、優れた動力性能を誇りました。
そして、ストリームは「2000年-2001年 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を得ます。
ところが2003年1月にコンセプトやボディサイズが同様のモデル、トヨタ「ウィッシュ」が登場すると、スポーティミニバン市場を席巻。
ホンダは2003年9月にストリームをマイナーチェンジしてテコ入れを図り、テレビCMでは「ポリシーは、あるか」というキャッチコピーで挑発するも、トヨタの販売力にはかないませんでした。
2006年に2代目ストリームが登場し、よりスポーティになり人気を盛り返しましたが、低全高、後席ヒンジドアのミニバンのニーズは低下していったため販売は低迷。2014年に生産を終了し、実質的な後継車は「ジェイド」です。
■「選択と集中」によって生き残れなかった軽トラの名車とは
●スバル「サンバー」
惜しまれつつ生産を終えた軽商用車の名車「サンバー」
スバル「サンバー」は、1961年に発売され、一貫してリアエンジン・リア駆動のRRを採用してきた軽商用車です。
RRを採用したことで重量物が車体後部に集中したため、空荷時でもトラクションが保たれ、農道などの未舗装路でも走破性が高いと評されました。
そして、1990年に発売された5代目からは、軽商用車ながらも直列4気筒エンジンの採用と、上位グレードではスーパーチャージャーが搭載されます。
1999年に発売された6代目のスーパーチャージャー仕様は、中低速域のトルクを重視したセッティングで最高出力58馬力を発揮。
4輪独立サスペンションと相まって「農道のポルシェ」の愛称で親しまれました。
また、サンバーは軽貨物運送業向けに特化して改良された、通称「赤帽サンバー」が設定されるなど、プロからも絶大な信頼を得ていました。
2011年にはバンとトラックを合わせて約6万台が販売されていたサンバーですが、スバルは登録車の開発に注力するために、2012年に軽自動車市場からの撤退を決め、サンバーの生産を終了。
現在は、スバルが販売する軽自動車のすべてがダイハツからOEM供給されています。
●ダイハツ「エッセ」
シンプルなベーシックカーとして秀逸なモデルだった「エッセ」
ダイハツは2005年に、「エコロジー」「エコノミー」を追求したスタンダードな軽自動車「エッセ」を発売しました。
外観は安定感のある台形スタイルを基本とし、水平基調のボンネットデザインで車両感覚がつかみやすくし、Aピラーの角度を立たせて乗降性を良くするなど、「イージードライブ」をコンセプトにしています。
内装ではインパネ上に配置したセンターメーターと、ドアやピラーのトリムを省いて外装色の鉄板をむき出しにしたことが特徴で、シンプルながらもポップな印象です。
搭載されたエンジンは58馬力を発揮する660cc直列3気筒自然吸気のみとされ、トランスミッションは5速MT、3速AT、4速ATを設定。
価格はもっとも安価な「ECOグレード」(5速MT)では68万2500円(消費税込)と、戦略的な価格設定となっていました。
エッセは大ヒットとまではいきませんでしたが、コンスタントに年間3万台から4万台を販売しており、一定の人気を保っていましたが、よりエコなスタンダードモデルの「ミライース」にバトンタッチするかたちで、2011年に販売を終了します。
※ ※ ※
一般的に販売終了となるクルマは、極端に売れなくなって、市場でのニーズも低下したモデルです。どのクルマも月販目標が設定されているので、ひとつの目安になります。
ただし、サンバーやエッセのように決して人気が無くなったわけではなく、メーカーの戦略によって生産終了が決まることもありますが、非常にレアなケースです。
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