スバルがコロナ影響でニュル24時間レース参戦を見送り それでも2021年復活が不可欠な理由とは
くるまのニュース / 2020年7月4日 16時10分
スバルは2020年6月29日に、第48回ニュルブルクリンク24時間レース(ニュル24時間レース)への参戦見送りを決定しました。新型コロナウイルスの影響が不透明なことで、2021年以降の再参戦も明言されていない状況ですが、今後のスバルのためにニュル24時間レースは不可欠な活動だと筆者(桃田健史)は指摘します。いったいなぜなのでしょうか。
■スバルのニュル24時間レースへの挑戦 2021年は復活なるか?
2020年6月29日の午後2時過ぎ、スバルから「STI NBR CHALLENGEチーム 第48回ニュルブルクリンク24時間レース参戦見送りを決定」の連絡が来て、筆者(桃田健史)は「やはり無理だったか…」と思いました。
そして、2021年以降の活動について、どのような状況も起こり得るような含みを持たせたコメントを発表しましたが、いったいなぜなのでしょうか。
世界一過酷なサーキットとして知られる、ドイツのニュルブルクリンク。毎年5月に、参加台数200台規模のツーリングカーによる24時間レース「ニュルブルクリンク24時間レース」(以下、ニュル24時間レース)が開催されています。
今年は世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、9月24日から27日への開催が延期されていました。
同じくニュル24時間レースに参戦を続けてきたトヨタは5月21日に、2021年の参戦見送りを発表しています。
そうしたなか、トヨタGAZOOレーシングとスバルは5月24日、オンラインでのe-ニュルブルクリンクレースを公開。
冒頭、スバルのモータースポーツ活動をおこなうSTIの辰巳英治総監督は、トヨタの参戦見送りを受けて「(スバルとしては)今年(のニュル24時間レースに)、行く予定をしているが、もう少し様子を見てから、見定めたい」とコメントしていました。
STIのNBR(ニュルブルクリンク)プロジェクトには、スバル本社やSTIの社員のみならず、全国のスバルディーラーのメカニックなども参加します。
また、スポンサーなどさまざまな関係企業との最終調整に追われているのだと、その時の辰巳氏の発言を聞きながら感じました。
なお、現時点では「来年のチャンレンジにご期待ください」とスバルからのリリースに記載はあるものの、リリースの副題では「2021年の再チャンレジを目指す」とコメントするに留めました。
※ ※ ※
モータースポーツの歴史を振り返ると、経済情勢や政治情勢など、社会状況が不安定な時に弱さが露呈します。
これまでも具体的には、オイルショック、アジア通貨危機、リーマンショックなどの影響で、自動車メーカーが直接投資する、いわゆるワークス活動の縮小や撤退、またプライベート参加チームに対する協賛金の減額や協賛そのもの見直しがおこなわれてきました。
今回の新型コロナウイルス感染症についても、モータースポーツの最高峰であるF1を筆頭に、チームのレース運用費用の大幅削減などが検討されています。
そのなかでホンダが先日、2020年F1シーズンプレビューとして、開発状況をメディア向けにオンライン会見をおこない、ホンダ本体事業の刷新を目指す「選択と集中」という厳しい状況下においても、F1事業継続を強く印象付けました。
一方、スバルとしては、事業の主力市場であるアメリカで、新型コロナウイルス感染拡大の第二波への懸念が高まっており、生産現場や販売現場での感染防止はもちろんのこと、今後の販売実績に対する不安が募ります。
こうした状況で、モータースポーツに対する投資に対して慎重に考えていかなければならないはずです。
スバルファンとして、2021年のニュル24時間レース復帰を切望するところですが、今後も社会情勢をしっかりと見極めていく必要があります。
■スバルがおこなってきたニュルでの「クルマづくり」と「人づくり」
ただし、スバルにとってモータースポーツはSTIにおけるブランド戦略としてだけではなく、量産車開発とも強い繋がりがあり、ニュル24時間レースやスーパーGT存続は、スバルにとって極めて重要だと考えます。
辰巳氏は、前述の「e-ニュルブルクリンク」レースの冒頭で、スバルとニュルブルクリンクとの結びつきについてもコメントしています。
それによると、ニュルブルクリンクという存在を知ったのは、1980年代前半。最初は、スウェーデンでのテストの途中にぶらりと寄る程度だったといいます。
1990年代に入り、「(欧州車に対してはもちろんのこと)世界と戦えるクルマとするために」という目的で、ニュルブルクリンクを舞台にしたWRXなどの量産車開発体制が始まりました。
その後、WRC(世界ラリー選手権)撤退を受けて、スバルとして新たなるモータースポーツの場が必要であり、選択肢のひとつがニュル24時間レースだったと、当時を振り返りました。
ニュル24時間レースに参戦するからには、オールスバルで戦うべく、全国のディーラーも巻き込んで「人づくり」にも力を入れてきました。
スバルが2020年後半に発売を予定している新型「レヴォーグ」(写真はプロトタイプ)
「クルマづくり」では、ニュル24時間レースの車両規定が量産車に近い部分もあるため、STI量産車へのフィードバックがあることで、まさに“走る実験室”かつ“走る広告塔”という、モータースポーツ本来の効果が期待できます。
以前のWRC、そしてニュル24時間レースは、スバルとの、そしてSTIとの相性がとても良い。
愚直にニュル24時間レースにチャレンジし続けるスバルの精神は、2020年後半に発売が予定されている、新型「レヴォーグ」を待ち望んでいるスバルファンの心にも響きます。
STI NBR CHALLENGEチームの存続は、スバルユーザーにとって熱い希望なのだと思います。
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