緊急事態宣言解除後に交通違反の取り締まり強化!? 移動式オービス増加の実態とは
くるまのニュース / 2020年7月5日 9時30分
「緊急事態宣言」が解除されてから約1か月が経過しました。緊急事態宣言解除後に、交通違反の取り締まりが強化されるという噂がありますが、実際はどうなのでしょうか。取り締まりを担当している交通機動隊員から話を聞きました。
■移動式オービス配備により15km/h未満の速度超過違反が激増
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言は、2020年4月7日に1都1府5県に、4月16日にそれ以外の全道府県にも発令されました。
不要不急の外出の自粛が要請されたこともあり、その間は交通量が激減。交通事故の件数も前年を大きく下回り、4月は約36%、5月は約40%も減少しています。
5月25日をもって全国で緊急事態宣言が解除されましたが、解除後は交通違反に対する取り締まりが強化されるという噂があります。
実際はどうなのでしょうか。交通機動隊のT巡査に話を聞いてみました。
T巡査曰く、「特別に取り締り強化するという話はなく、通常通りに任務をおこなっている」といいますが、やはり強化されている印象は拭えません。
それは、移動式オービスの数が、2019年度の37都道府県から2020年度には44都道府県にまで配備が完了していることからもうかがい知れます。
またSNSなどでは、各地で移動式オービスが設置されているという報告が相次いでいます。
2019年度と2020年度の速度違反の件数は、20km/h未満が37万5957件(2019年度)から34万3023件(2020年度)、25km/h未満が42万2269件(2019年度)から38万7258件(2020年度)に減少。
これらより速い速度域においても、違反は少なくなっている傾向がありますが、逆に15km/h未満の速度違反件数は、2019年度の43件から2020年度の340件と大幅に増加しています(警察庁が発表した道路の交通に関する統計)。
移動式オービスの配備やレーダーパトカー(覆面パトカー)などによって、軽微な速度違反が厳しく取り締まられています。
さらに、高速道路における「通行帯違反」や、一般道では「時間帯別車両進入禁止」、「右折禁止」、「左折信号」による「信号無視」なども重点的に取り締まりがおこなわれているようです。
■コロナ禍で「大幅な速度超過」の交通違反が増加する訳
緊急事態宣言中は交通量が少なくなり、交通違反の取り締まり件数も減ったといわれていますが、実際のところ宣言中と宣言後で何か違いがあるのでしょうか。
暴走行為の取り締まりが強化された首都高(写真:加藤博人)
前出のT巡査は次のようにいいます。
「個人的な意見としてですが、緊急事態宣言中はクルマが少なく、検挙数も少なめだったように思います。ただし、道が空いているため速度が出しすぎてしまうのか、スピード超過の違反が多かった印象です。
なかでも、制限速度を30km/h以上オーバーする速度超過違反が多かった気がします。また、大幅な速度超過が原因となった大きな事故も多く、皆さんにはくれぐれも安全運転を心がけていただければと思います」
4月の事故件数は約36%、5月は約40%も減ったにも関わらず、死亡事故の件数はそれぞれ約19%、約8%しか減っていません。つまり、事故の数に対しての死亡事故の割合はむしろ増えているということになり、T巡査の「大きな事故が増えた」という言葉は数字でも証明されています。
「また意外に多かったのが、追い越し車線をずっと走り続ける『通行帯違反』です。道路が空いていたのでそのまま走行してしまった、というドライバーの方が多かったのですが、あくまで1番右側の車線は追い越しのための車線ですので、やはり普段は走行車線を走行していただきたいです」(T巡査)
また、緊急事態宣言解除後は、交通量はほぼ以前と同じ水準にまで戻りつつあるそうです。
「徐々に交通量は増えており、いまではほぼ元通りになった印象を受けます。速度超過の違反件数も以前に戻った印象です」(T巡査)
スピード違反で捕まった場合、超過した速度の確認や書類へのサインのためにパトカーの車内に入るよう促されることがありますが、マスクをしているとはいえ警官2人と密な空間に入ることになります。
コロナ禍において、そうした行為を嫌がる違反者はいなかったのでしょうか。
「自分が担当したなかでは、そのような感染防止を理由に断られたケースはありませんでした。我々も感染防止のためマスクも常時着用しておりますし、窓を開けて換気も意識しております。ほかにも感染で揉めたとは聞いておりません」(T巡査)
※ ※ ※
もともと2020年の東京オリンピックに向けて、歩行者優先が定着している諸外国からの訪日外国人観光客の増加が見込まれることから、信号機のない横断歩道における歩行者優先などについての啓発や、違反者に対する指導の強化が図られていました。
オリンピックが延期となったいまでは、新しい生活様式として電車ではなくクルマでの通勤が見直されていることなども鑑みると、今後は以前より日常の交通量が増える可能性があります。
交通量が増えれば事故も起きやすくなることから、クルマを運転する人が安全運転を心がけるだけでなく、軽微な違反も注意する慎重な運転が求められているといえそうです。
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