いまやSUVに隠れる存在!? ステーションワゴンは下火になった? 現存モデルの特徴とは
くるまのニュース / 2020年7月10日 10時10分
かつて国産メーカーは、多種多様なステーションワゴンをラインナップしていました。しかし、現在ではその数が減少傾向にあります。現在販売されているステーションワゴンにはどのような特徴があるのでしょうか。
■ステーションワゴンは売れない?
かつての国内市場では、各メーカーが必ずといっていいほどラインナップしていたのがステーションワゴンでした。しかし、近年ではその役目をSUVに奪われる形で減少傾向にあります。現存するステーションワゴンには、どのような特徴があるのでしょうか。
国内市場では、1989年にスバル「レガシィツーリングワゴン」が登場したことで人気に火が付きました。セダンのような乗り心地とバン(現在のミニバンなど)に劣らない積載力から大人気となったのです。
その後、トヨタでは、「カルディナ」、ホンダは「エアウェイブ」、日産は「ステージア」「ウィングロード」「アベニール」、三菱「レグナム」「リベロ」など、多くのメーカーから多種多様なステーションワゴン単体モデルがラインナップされていました。
また、セダンモデルをベースとしてトヨタ「クラウン」、ホンダ「アコード」、日産「セドリック/グロリア」、三菱「ランサー」の派生車となるステーションワゴンも存在。現在のSUV並のラインナップを誇っていたのです。
2020年7月現在、ステーションワゴン単体としてラインナップされているのは、ホンダが「シャトル」と「ジェイド」ですが、ジェイドは同月末で生産終了となるほか、スバル「レヴォーグ」は同年秋頃にフルモデルチェンジを控えるため、オーダーストップとなっています。
また、セダンなどをベースとしたモデルとしては、トヨタ「プリウスα」、「カローラツーリング」、マツダ「マツダ6(ステーションワゴン)」、などが現在も販売されています。
セダンとステーションワゴンを設定するカローラについて、トヨタ販売店スタッフは以下のように話します。
「トヨタではカローラシリーズとして、ステーションワゴンモデルの『カローラツーリング』を販売しています。ツーリングは、同シリーズのセダンタイプである『カローラ』よりも売れている印象です。
ターゲットとなるユーザーが異なり、セダンタイプは年配層、ツーリングは若年層が購入されることが多いです。ツーリングを購入される人は、おもにアウトドア用品を運べる収納力を決め手にされています」
※ ※ ※
なお、カローラとカローラツーリングのボディサイズは、全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm(カローラ)、1460mm(ツーリング)と長さと幅は共通しています。
一方で、マツダにセダンとステーションワゴンとしてラインナップされるマツダ6は、ボディサイズが全長4865mm×全幅1840mm×全高1450mmのセダンに対し、ステーションワゴンでは全長4805mm×全幅1840mm×全高1480mmとセダンのほうがやや長いサイズです。
マツダ6ではセダンとステーションワゴンのどちらが人気なのでしょうか。マツダの販売店スタッフは以下のように話しています。
「マツダ6はステーションワゴンタイプのほうが人気です。他ブランドも同じかと思いますが、セダンというカテゴリ自体が売れなくなってきています。とくに小さいモデルでその傾向が顕著です
ただ、はっきりとグレードを決めずに来店したお客さまが、試乗を機にステーションワゴンでは無くセダンを購入されることもあります」
また、別のマツダ販売店のスタッフによれば「ステーションワゴンはセダンに比べて車体後方が把握しやすい」とも話します。
ステーションワゴンは、セダンのように独立したトランクルームを持たないため、リアガラスがそのまま車体後端部となることから、後端部の位置を把握しやすいのです。
■輸入ステーションワゴンの現状は?
国産メーカーのステーションワゴンは年々減少傾向にありますが、輸入車メーカーにはまだまだラインナップされていることが多いです。
メルセデス・ベンツは、「ステーションワゴン/シューティングブレーク」、BMWは「ツーリング」、アウディは「アバント」、フォルクスワーゲンは「ヴァリアント」などそれぞれの名称で設定しています。
ステーションワゴンモデルについて、メルセデス・ベンツの販売店スタッフは以下のように話しています。
「ステーションワゴンのほうが人気が高い印象です。小さなお子さんがいるとベビーカー、趣味ではゴルフバッグなど、日常的に大きな荷物を収納することがある人はステーションワゴンを選ばれます。一方、セダンは年配層が選ばれることが比較的多いと感じます。
また、単純な販売台数では、ステーションワゴンやセダンよりも、やはりSUVのほうが優勢ではあります。
一方で、駐車場の制約などから全高の高いSUVでは不便だという人も少なくありません。とはいえ、荷物を多く積載したいというニーズは変わらないので、結果としてステーションワゴンが選ばれることになります」
メルセデス・ベンツなどの輸入車メーカーではステーションワゴンの販売比率が高い傾向にある
日本で展開される機械式駐車場では、基本的に全高が1550mmという制限があります。ほとんどのSUVは全高1550mm以上であるため、駐車が制限されてしまいますが、ステーションワゴンであればルーフレールなどを装着しない限りはこの高さを超えることはないです。
なお、アウディ「A4」や「A6」でステーションワゴンタイプのアバントが設定されていますが、アウディの販売店スタッフによると、その2タイプでは7対3以上の割合でアバントが人気だといいます。
※ ※ ※
かつてほどの盛り上がりは無いものの、ステーションワゴンはSUVの影に隠れながら堅調な販売動向のようです。
そのなかで、前出のプリウスαは、先代プリウスをベースとしていることでモデルが古くなっていることや、後発で登場したカローラツーリングにはハイブリッドモデルもラインナップされており、ステーションワゴンを検討するユーザー層が流れていることなどで、存在が危ぶまれています。
今後、プリウスαがどうなるかは未定ですが、数少ない国産ステーションワゴンが残り続けるのかに注目です。
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