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小さいクルマが熱かった! 一時代を築いた軽ホットハッチ5選

くるまのニュース / 2020年7月19日 6時10分

人気の高い軽自動車ですが、現在の軽スポーツモデルはホンダ「S660」やダイハツ「コペン」のようなオープンスポーツと、スズキ「アルトワークス」を残すのみとなってしまいました。しかし、かつてはさまざまなメーカーがこぞって渾身のモデルを登場させた「軽ホットハッチ」というジャンルが人気でした。今回は、一時代を築いた軽ホットハッチの名車を紹介します。

■64馬力で楽しめる、かつての軽ホットハッチ

 日本独自の規格である軽自動車は、高い経済性とコンパクトなボディで、いまやもっとも売れ筋のカテゴリーです。

 もともとは排気量が360ccからスタートした軽自動車は、1976年に550ccに拡大され、1990年には660ccを上限とした規格に変更されました。

 古くからハッチバックのボディに強力なエンジンを搭載してスポーツモデルに仕立てた「ホットハッチ」というジャンルは存在していましたが、軽自動車の規格変更がおこなわれた1990年前後は各メーカーでハイパワー競争が繰り広がれていた時代でもあります。

 そこで軽自動車のパワー競争に最適な解決策として「ホットハッチ」をうたうスポーツモデルが多数登場しました。

 軽自動車の最高出力は64馬力に自主制限されていますが、この規制枠いっぱいの高出力エンジンを軽量なボディに搭載した「軽ホットハッチ」は、当時の若者を中心に大人気になったものです。

 今回は、軽ホットハッチの名車を5台紹介します。

●スズキ「アルトワークス」(3代目)

 現在軽自動車界で貴重なピュアスポーツモデルとして歴史を積み上げてきたマシンが、スズキ「アルトワークス」です。そして、この「アルトワークス」の登場で軽ホットハッチというジャンルが誕生したといっても過言ではありません。

 1970年代のスズキの軽自動車「フロンテ」の商用版として登場した「アルト」ですが、1979年のデビュー当時のセールスポイントは、ヒーター以外をほぼオプション化することで実現した「47万円」という徹底した低価格路線でした。

 その後1984年には2代目へフルモデルチェンジ。バブル景気を迎えつつあり、軽自動車も装備の充実化と高性能化(ハイパワー)が求められる時代になりました。

 そんな時代背景を受けて、1987年に追加されたアルトワークスは、当時の軽自主規制枠を超える64馬力を達成。このハイパワーな550cc3気筒ターボエンジンを搭載した初代の速さを受けて、軽の自主規制は64馬力までになったといわれています。

 その後、1988年に3代目、1994年に4代目へとアルトがフルモデルチェンジするたびに、アルトワークスも登場していますが、そのなかでも最強モデルとして現在も語り継がれているのが3代目アルトワークスです。

 競技のベース車両を念頭に開発されていたアルトワークスは、無駄な装備を極限まで削ぎ落としています。

 ベースのアルト(4代目)が少し丸みを帯びたデザインになったのに対し、アルトワークスは丸目2灯の2代目のデザインを受け継ぎ、全長3295mm×全幅1395mm×全高1380mmのボディサイズに660cc3気筒DOHCターボエンジン「K6A」を搭載していました。

 64馬力の最高出力と低回転域から盛り上がるトルクで、わずか650kgという軽量ボディと相まって、日本のワインディングでは速さを、競技では無敵の強さを誇り、多くの若者から支持されました。

●ダイハツ「ミラTR-XX」(3代目)

 軽自動車の2大メーカーといえば、スズキとダイハツです。スズキにアルトがあるように、ダイハツには「ミラ」があります。

 そして軽ホットハッチでは、スズキのアルトワークスに対抗すべく開発されたライバルが、ダイハツ「ミラTR-XX」です。

 ライバルであるアルトワークスが競技車両を念頭に開発されたのに対し、ミラTR-XXはオンロードでのスポーツ走行を念頭に開発されたといえます。

 なかでも1990年にデビューした「ミラTR-XX」(3代目)は、5速MTに加え、軽自動車初の4速ATを採用。

 熾烈な軽のハイパワー競争時代にあって、ボンネットのエアスクープやリアウインドウを覆うような独特のリアウイングを装備して、スポーツ性能を誇示しつつも2トーンボディやボディ同色アルミホイールの採用、ピレリタイヤの装着などからもオンロード志向での扱いやすさも大切にしていたことが分かります。

 また、アルトワークスに対抗するため4WDモデル「TR-XX X4」を追加。車両重量はわずか660kgであり、加速性能はアルトワークスに負けない韋駄天ぶりでした。

 さらに当時としてはまだ珍しい、パワステやエアコンの標準装備化をしたスポーティなターボモデルが設定されるなど、根強い人気を誇っていた1台です。

■弾丸のような加速が魅力だった軽ハッチバック

●三菱「ミニカ ダンガンZZ」

 軽ホットハッチが全盛だった1980年代後半から1990年代前半のアルトワークスとミラ TR-XXは、速さと人気で突出していました。そこで三菱が、3匹目のドジョウを狙って投入した軽ホットハッチが「ミニカ ダンガンZZ」です。

 もともと三菱初の軽自動車として1962年に登場した「ミニカ」は、それまでは軽自動車らしい実用性をメインにしたグレードで展開していたハッチバックでしたが、バブル景気の好調さを受けて1989年に6代目へと進化した「ミニカ」もどんどんバリエーションを拡大していきます。

三菱「ミニカ ダンガン」三菱「ミニカ ダンガン」

 ミニカシリーズのハイトールワゴン「ミニカ トッポ」も、このタイミングでデビューしています。

 そんな6代目ミニカシリーズのスポーツモデルとして当時三菱が力を入れていた高性能ターボのエンジンを搭載した軽ホットハッチでした。

 当時の三菱は「パジェロ」や「ギャラン」など、少し無骨なデザインと高性能ターボ、先進のメカニズムをいち早く採用するメーカーとして認知されていました。

 そんな三菱が作る軽ホットハッチのミニカ ダンガンZZには、軽自動車初の550cc直列3気筒5バルブDOHCターボエンジンを搭載。エアダクトを配置したボンネットや2トーンボディに、3本出しマフラーなどで高性能モデルをアピールしました。

 その名のとおり、軽ホットハッチ2強に負けない、弾丸のような加速性能が自慢でした。

●スバル「ヴィヴィオ RX-R」

 軽ホットハッチを語る上でもっとも輝かしい記録を残したモデルといえば、スバル「ヴィヴィオRX-R」です。

 WRC(世界ラリー選手権)で軽自動車ながらクラス優勝(総合12位)という実績を記録したモデルとして有名です。

 スバルの軽自動車「レックス」に代わって1992年に登場した「ヴィヴィオ」は、安さが優先された当時の軽自動車に、普通車のような質感をプラスしてデビューしました。

 また助手席を縮小し運転席のスペースを拡大するなど、限られた車内空間でドライバーを優先させる設計になっていたのも特徴です。

 ヴィヴィオのスポーツグレードである「RX-R」は、自主規制枠いっぱいの64馬力を叩き出すスーパーチャージャー付き4気筒エンジンを搭載。

 いまの軽自動車ではありえない話ですが、ニュルブルクリンクでテストを敢行し、好タイムを記録したことも話題になりました。

 またWRCだけでなく数多くの競技に参戦するベース車両でもあり、本格的なスポーツモデルとして走りを追求していました。

 しかし巷の人気は軽ホットハッチから軽ハイトワゴンへと移行したように、ヴィヴィオは、1998年にハイトワゴンの「プレオ」へとその座を譲り、生産が終了しました。

●ホンダ「トゥデイ Xi」(2代目)

 1985年にボンネットバンとしてデビューしたホンダ初代「トゥデイ」は、当時大ヒットしていたリッターカー「シティ」をほうふつとさせる丸目2灯と、低く伸びやかなフォルムが特徴の3ドアハッチバックボディを採用した軽自動車です。

 軽自主規制枠の64馬力を求めライバルたちが次々とターボエンジンを搭載していましたが、当時はF1での活躍もあり、高回転型NAエンジンでパワーを稼ぐスタイルがホンダ流でした。

 その影響もあり、第2世代のトゥデイのスポーツグレード「Xi」にはターボは設定されず、自然吸気エンジンが搭載されました。

 しかしそこは「世界のホンダ」ですから、ライバルたちのハイパワー競争に「MTREC」と呼ばれるツインマップ燃料噴射制御と3連独立スロットルを組み合わせた吸気システムを採用。

 軽オープンスポーツ「ビート」譲りのエンジンでしたが、高回転化で64馬力のパワーを絞り出したセッティングのビートに対し、トゥデイ Xiは低速トルクを重視したセッティングを採用したことで、最高出力は58馬力にとどまっています。

 ターボエンジンのような爆発的な加速がない代わりに、ビートよりも80kgも軽量な車体に5速MTを上手に操って走らせる楽しみを追求していました。現在でも、運転して楽しい軽ホットハッチとして評価されています。

※ ※ ※

 1990年代はバブル景気が弾け、不景気といわれた時代ですが、そこで手軽にスポーツ走行が楽しめるモデルとして軽ホットハッチに注目が集まった側面もあります。

 現在の軽自動車はスーパーハイトワゴンが主流になっていますが、軽ホットハッチをあえていま乗ることで、パワーを上手にやりくりして走らせる楽しみを再発見できるかもしれません。

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