新車購入は現金・ローンどっちが良い? 販売店スタッフの意外な本音とは
くるまのニュース / 2020年8月1日 14時10分
クルマを購入する際に販売店ではローンの利用をすすめることが多いとされています。一方で「借金をつくらない」という主義から現金一括払いを選ぶユーザーもいますが、販売店が現金一括払いを嫌がる理由にはクルマの販売をめぐるビジネスモデルの変化がありました。
■「現金一括よりはローンの方が…」
どんなクルマを買おうかと考えている時間は意外と楽しいものですが、いざ購入するとなると、「どのように買うか」という点が頭を悩ませます。現金一括とローン(リース)では、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
かつては、現金一括払いと分割払い(ローン)がほとんどでしたが、近年では「残クレ」と呼ばれる残価設定型クレジット、すなわち最終支払い時の買い取り額を保証するタイプのローンや、車検やメンテナンス費用が一体化した個人向けリースなどさまざまな購入方法があるため、その選択肢の多さがユーザーを悩ませるのです。
それぞれの購入方法にはメリットとデメリットがあります。ローンの基本的なメリットは、手元に現金がなくてもクルマを購入できることですが、一方で、身の丈以上の金額のローンを組んでしまうと、支払いが追いつかなくなってしまう可能性もあります。
ローンを組めることと支払いができることは、必ずしも一致しないということは覚えておかなければなりません。
個人向けリースのメリットとデメリットも、ローンの場合とおおよそ同じですが、加えて、月々の支払額のなかに車検費用やメンテナンス費用も含まれているため、クルマに関わる不慮の出費の可能性が少なくなるメリットがある一方で、大きなトラブルがない限りは、逆に割高であるというデメリットもあります。
このように購入者にとって選択肢が増えるのはうれしい一方で、その複雑さに嫌気がさしてしまうユーザーも少なくないようです。また、そもそもローンやリースは「借金」であるため、絶対に借金はしないという主義を持つ人もいます。
こうしたユーザーは、現金一括による購入を選択することになりますが、販売店側は積極的にローンやリースをすすめてくることが多いようです。販売店からすれば、現金一括は避けてほしいものなのでしょうか。
現金一括でのクルマの購入は避けてほしいのか、ある国産メーカーの販売店営業スタッフは次のように話します。
「営業スタッフ個人の立場からすれば、現金一括よりはローンを組んでいただきたいというのが本音です。
ローンを組んでいただいたほうが、自身の評価が上がる仕組みとなっているからです。しかし、無理にローンを押し付けて不快な思いをさせてしまい、クルマの購入自体が取りやめになってしまっては元も子もないので、現金一括での購入を露骨に避けたりすることはありません。
ローンを組んでいただくことが販売店にとって利益になるのは否定しませんが、お客さまにとってもメリットがあると考えています。
一括購入できるだけの現金がある人でも、ローンを組むことで、手元の現金残すことができます。災害などもしものときのために、手元に現金をできるだけ残したいというニーズもありますので、そうしたお客さまにはローンをおすすめすることがあります」
■なぜ販売店はローンを組ませようとする?
営業現場からすれば、ローンを組んでもらいたいというのが本音のようですが、なによりもまずクルマを売ることが最優先であることから、現金一括での購入を嫌がるということはないようです。
ではなぜ販売店はローンを組ませようとするのでしょうか。
それは、販売店のビジネスモデルが以前と比べて変化しているという背景があります。
これまでは、新車を販売する際の利益をおもな収益源とすることで販売店ビジネスが成立してきました。しかし、ライバルメーカーとの過当な競争や、少子高齢化による新規顧客の減少などから、販売店は新たな収益源の確保が必要でした。
そこで、販売店はローンを組ませることで新車購入をうながし、なおかつ信販会社から支払われる手数料によって長期的な利益を捻出するという方向を目指すことになったのです。
新車購入時はグレード・オプション・支払い方法などさまざまなことで悩む
このように、販売店がローンをすすめる背景には、各営業スタッフの評価に関わるという理由と、販売店自体のビジネスモデルが変化しつつあるという点にあります。一方、輸入車販売店では少々事情が異なるようです。ある業界関係者は次のように語ります。
「輸入車の場合、クルマそのものに付加価値があるため、基本的には新車を販売することで十分な利益を得ることができます。
一方で、輸入車は国産車に比べ嗜好品的な要素が強いため、あこがれの対象にはなっても、現実的に購入するとなるとハードルが高いと感じる人が少なくありません。
そこで、低金利のローンを用意することで、購入のハードルを下げるという手法が採られています。この場合、利益は手数料ではなく、あくまで車両本体から発生しています。
実際に、ある輸入車ブランドでは『無金利ローン』が実施されていますし、それ以外でも1%から2%前後の低金利となっていることが多いです。そういう意味では、輸入車ブランドは現金一括でも大歓迎なのではないでしょうか」
※ ※ ※
クルマは高い買い物であるため、その買い方も頭を悩ませます。現在ではさまざまな選択肢が用意されていることから、ユーザーは事情に合わせた最適な選択をする必要があります。
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