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日産「マーチ」は初代が最強か!? 世界で成功したコンパクトカーを振り返る

くるまのニュース / 2020年7月22日 14時10分

日産を代表するコンパクトカーのマーチは、2020年7月16日に一部改良がおこなわれました。1982年に初代がデビューし、グローバルカーとして世界中で愛されたマーチを振り返ってみます。

■新世代のコンパクトカーがデビュー

 1970年代になると、室内空間の広さや安定した走りを実現できるFF車が世界的に注目され始め、日産は1970年に同社初のFF車として「チェリー」を発売しました。

 その後、チェリーは後継車の「パルサー」へとバトンタッチしましたが、もっとコンパクトなエントリーカーのニーズが高まり、1982年にすべてが新しい次世代の小型車、初代「マーチ」がデビュー。

 発売前年となる1981年の東京モーターショーに、コンセプトカー「NX-018」として出展されました。

 市販予定車として車名を一般公募するキャンペーンがおこなわれ、この新しいクルマの名前はマーチに決まります。

 ボディサイズは全長3760mm×全幅1560mm×全高1395mmとコンパクトで、外観のデザインはフォルクスワーゲン初代「ゴルフ」や、フィアット初代「パンダ」を手掛けた、巨匠ジウジアーロが担当。

 ボディタイプは3ドアと5ドアハッチバックが設定され、飽きのこないシンプルな外観が高い評価を得ます。

 発売当初に搭載されたエンジンは52馬力を発揮する1リッター直列4気筒SOHCのみで、トランスミッションは5速MTと4速MT、3速ATが組み合わされました。

 いわゆる「リッターカー」と呼ばれるカテゴリーに属し、すでに強力なライバルがいましたが、優れたデザインを武器に行動的な女性を中心に人気を獲得していきました。

 内装はエントリーらしくシンプルなデザインで、装備も簡略化することで価格は60万円台からと戦略的な価格に設定。

 また、装備の簡略化は軽量化にも寄与して700kg未満の車重を実現し、その恩恵で52馬力とアンダーパワーながらもキビキビとした走りが可能でした。

 初代マーチは開発段階からグローバルカーの使命が課せられ、とくに欧州での販売が重視されました。

 そして、1983年には車名を「マイクラ」に改め欧州デビューを果たし、1985年にはカナダへと上陸。とくに強豪なライバルが数多い欧州でヒットし、もっとも売れた輸入車として高く評価されます。

※ ※ ※

 こうして、順調なすべりだった初代マーチは、その後バリエーションの拡大と、「パイクカー」という新たなジャンルのクルマの登場、そしてハイパワー化への道を歩み始めます。

■いまでは伝説級のモデルが、続々と登場!

 女性ユーザーを中心に人気を獲得した初代マーチですが、さらなるユーザー獲得のため、バリエーションの拡充を進めました。

ツインチャージャーエンジンを搭載した「マーチスーパーターボ」ツインチャージャーエンジンを搭載した「マーチスーパーターボ」

 まずは1983年にメインユーザーである女性に向けた仕様の「マーチ コレット」を追加。コレットは当時の最上級グレード「G」をベースに、チェック柄のシートや、フロント両席バニティミラーなど、よりおしゃれなテイストをプラス。

 後にこのコレットにはルーフ部分を開口部の大きいソフトトップとした「マーチ コレット キャンバストップ」が加わり、コンパクトカーでネックとなる開放感をアピールします。

 そして、1979年に同社のアッパーミドルクラスセダン「セドリック/グロリア」に、国産車初のターボエンジンが搭載されると、ターボ化の波はコンパクトカーへと波及します。

 1985年のマイナーチェンジで、3ドアハッチバックに最高出力85馬力を発揮する1リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した「マーチターボ」を追加。

 外観にはフォグランプを内蔵するエアロバンパーやリアスポイラーを装備し、2本出しのマフラーとするなど、特別な外観に仕立てられました。

 高性能化はこれに留まらず、1988年にモータースポーツベース車両の「マーチ R」を発売します。

 モータースポーツのレギュレーションの関係から排気量を987ccから930ccにダウンサイジングし、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類の過給機が装着された、日本初のツインチャージャーエンジンを搭載。

 最高出力110馬力を絞り出し、低回転域ではスーパーチャージャーによる過給でレスポンスの良い瞬発力、高回転域ではターボチャージャーの過給により余裕のあるパワーを発揮することで、上位クラスにも負けない走行性能を獲得。

 実際にクラス最強のマシンとして、ラリーをはじめモータースポーツシーンで活躍しました。

 1989年にはマーチRと同じエンジンを搭載し、普段使いできるように装備が充実した「マーチ スーパーターボ」が登場。パワーステアリングも設定されない、かなりのじゃじゃ馬ぶりが、いまも語り継がれています。

 また、この初代マーチのコンポーネントを使って、3台の特別なクルマがつくられました。その第1弾が1987年にデビューした「Be-1」です。

 クラシカルでユーモラスなデザインの内外装のBe-1は、東京モーターショーに出展されると注目を浴び、限定1万台が販売されると争奪戦が繰り広げられ、たちまちプレミア価格の中古車が売られたほどです。

 パイクカー第2弾は1989年に期間限定で発売された「パオ」です。パオのデザインは古いフランス車をイメージさせるもので、キャンバストップも設定され、シックなカラーリングと相まって大ヒットを記録。

 そして、第3弾が「フィガロ」で、1992年に発売。一見すると2シーターに思えましたが、2+2の4シーターで、ルーフからリアウインドウまでが開くオープンカーでした。

 パイクカーシリーズ初のターボエンジンを搭載し、内装のデザインもかなり凝っていて、メーターのフォントや、オーディオのコントロールボタンなど、すべてがクラシカルでした。

 後にフィガロはイギリスで注目され、いままでに数多くの中古車がイギリスへと渡っています。

※ ※ ※

 初代マーチは1992年に2代目にバトンタッチして、生産を終えました。当時のモデルチェンジサイクルは4年というのが定番でしたが、初代マーチは10年間も販売されました。

 さらに、歴代マーチのなかでも初代のバリエーションの多さは突出しており、それほど日産の期待も高かったということでしょう。

 近年はライバルに対して販売面で苦戦しているマーチですが、基本的なコンセプトは初代からぶれておらず、安価なベーシックカーとしてこれからも歴史は続くでしょう。

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