未来は近い!? 2020年道交法改正で注目の自動運転 「ゴール」までの距離はあとどれくらい?
くるまのニュース / 2020年8月29日 18時10分
近ごろCMやニュースで耳にすることが増えた「自動運転」は、自動化されている機能によって6段階のレベルで区別されています。レベル0からレベル5まで、それぞれどんな機能が与えられているのでしょうか。また、2020年4月1日に施行された改正道路交通法は、自動運転とどのような関わりがあるのでしょうか。
■6つのレベルに区分される自動運転の機能
近ごろ、クルマのCMやニュースなどで「自動運転」という言葉をよく耳にします。自動運転というと、SF映画に登場するような完全自動で人間がまったく操作しないで済む乗り物をイメージしがちですが、それはもう少し未来の話です。
現段階の市販車では、技術的にも法的にも緊急時に人間が対応する必要があります。完全自動化されたクルマが発売されるのは5年後とも10年後ともいわれており、技術開発のゴールはまだまだ遠いといえそうです。
自動運転はそんな完全自動を頂点に、搭載されている機能によって6段階に区分されています。
これは米国自動車技術者協会(SAEインターナショナル)が策定した自動運転の定義による区分で、日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)も採用するグローバルスタンダードです。
その区分にはレベル0からレベル5まであるのですが、それぞれの違いはいったい何なのでしょうか。
●レベル0:すべての操作をドライバーがおこなう
アクセルやブレーキ、ステアリングを含めたすべての操作をドライバーがおこないます。前方衝突警告や後方死角検知、ABSなど運転支援をする機能が備わっていても、システム(クルマ)は運転操作自体に関与しないのでレベル0となります。
●レベル1:ステアリング操作、加減速のどちらかをシステムがサポート
車線維持支援システム(LKAS)のようなステアリング補正か、先行車との車間距離を一定に保つアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)のようなスピード調整のどちらか一方をシステムがサポート。
いわゆる安全運転支援機能が搭載されたクルマを指します。
●レベル2:ステアリング操作、加減速の両方をシステムがサポート
ステアリング補正機能(車線維持支援機能など)とスピード調整機能(ACCなど)が連携しながら運転をサポートします。
レベル1は「自動運転」ではなく「運転支援」にカテゴライズされますが、レベル2は「部分自動運転」や「準自動運転」などと呼ばれます。
●レベル3:特定の場所でシステムがすべてを操作、緊急時はドライバーが操作
「条件付自動運転」と呼ばれ、限定的な場所や交通状況において、システムが運転に関わるすべての操作をおこないます。
ただし、緊急時やシステムが作動困難になった場合は人間が対応しなければならいので、ドライバーはいつでも運転できる態勢でいる必要があります。
レベル3のシステムは既にアウディが「A8」用に開発済みで、ホンダもレベル3の自動運転に対応したクルマを2020年年内に発売する見込みです。
●レベル4:特定の場所でシステムがすべてを完全に操作
レベル3同様に限定的な場所や交通状況において、システムが運転に関わるすべての操作をおこない、そのうえで緊急時の対応もおこないます。「高度自動運転」と呼ばれ、システムを利用している状況下ではドライバーによる運転操作は一切不要です。
●レベル5:常にすべての操作をシステムがおこなう
「完全自動運転」といわれるように、ほとんどの状況下でシステムがすべての操作をおこないます。ドライバーの存在が必要なくなり、シートレイアウトなどクルマの在り方が変わっていくでしょう。
■技術だけではNG! 高度な自動運転の導入には法の整備も必要
2020年4月1日に道路交通法ならびに道路運送車両法が改正され、いよいよレベル3の自動運転車が日本の公道を走れるようになりました。
といっても、レベル3、つまり「条件付自動運転」で今回の法改正で明確に許されたのは、高速道路での同一車線内(車線変更を伴わない)の低速走行時という極めて限定的な条件下だけとなっています。
ただし、車線変更や高速走行時の自動運転を禁じているわけでもないため、法解釈の問題ではありますが、そうした機能を持つ自動運転車が市販される可能性はゼロではありません。
現在日本で許可されているレベル3の自動運転は限られた環境のみ。市街地などは含まれない
自動運転において後れを取っているといわれた日本が、世界でいち早くレベル3を認めたことは驚きをもって受け止められました。
この勢いで完全自動化まで一気に進めるべきという声もありますが、やはり新しい技術の導入には多方面の法律が関わってくるため、段階的に関連する法を整備・改正し、新技術の適用範囲を徐々に拡大していくほかないというのが現実です。
たとえば今回、自動運転の実用化に伴い整備された法律のなかには、高速道路の加速車線(入口)・減速車線(出口)の最高速度を本線と同じ速度にするというものがあります。
これまでは一般的に60km/hが制限速度とされていましたが、標識の制限速度を読み込んだ自動運転車が加速車線で十分に加速できないまま本線に合流してしまったり、減速車線に入るやいなや急ブレーキで速度を落としたりする危険を避けるための改正です。
細かい法改正ではありますが、自動運転の導入にはこうしたことの積み重ねが必要です。現状でレベル3のクルマが走る上うえで不安視される法律の改正は、あらかたおこなわれるはずですが、実際に走り始めたら思いもつかないような法のほころびが出てくるかもしれません。
万が一の事故は生死に関わるためトライ&エラーというわけにはいきませんが、やはり法整備にはそれなりに時間がかかりそうです。
※ ※ ※
法の整備が着々とおこなわれている現状ですが、いざというときに対応をドライバーに受け渡すレベル3は中途半端で危険なのではないかという意見もあり、メーカーによってはレベル3をスキップしてレベル4を目指して開発しているといわれています。
法の整備にしても、メーカーの考え方や技術にしても、一筋縄にはいかない自動運転。完全自動化されたクルマの実現はまだもう少し先になりそうな気配です。
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