見た目を裏切るオフロード車があった!? 悪路もこなす4WDコンパクトカー3選
くるまのニュース / 2020年7月22日 16時10分
現在、世界的に人気となっているSUVですが、主流となっているモデルはオンロード性能に特化したクロスオーバータイプです。一方、かつては本格的なオフロード4WD並の走破性をもつコンパクトカーが存在。そこで、悪路走行を得意としたコンパクト4WD車を3車種ピックアップして紹介します。
■クロスカントリー4WD車に近いコンパクトカーを振り返る
近年、世界的に高い人気を誇るクルマといえば、SUVです。直近でも続々と新型モデルが登場するなど、まだまだ人気に陰りは見えません。
そんなSUVのなかでも、オンロード性能を重視したクロスオーバータイプが主流で、オフロード走行が得意なモデルは限られています。
一方、かつては本格的なオフロード走行が可能なコンパクトカーが存在。そこで、悪路走行を得意としたコンパクト4WD車を3車種ピックアップして紹介します。
●フォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」
軍用車もつくっていたシュタイアプフと共同開発された「ゴルフ カントリー」
フォルクスワーゲンの偉大な大衆車である「タイプ1(ビートル)」の後継車として、1974年に初代「ゴルフ」が発売されました。
いまでこそゴルフはプレミアムコンパクトカーに位置していますが、本来は大衆車として開発されたモデルです。
1983年に2代目ゴルフが発売されると、1986年にシリーズ初の4WD車「ゴルフ シンクロ」を追加。ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDシステムを搭載し、雪道などの走破性が向上していました。
そして、1990年にゴルフ シンクロをベースにした派生車として「ゴルフ カントリー」が登場。
ゴルフ カントリーは最低地上高が210mmまで上げられ、フロントにスチール製のグリルガードや下まわりを保護するスキッドプレート、リアにはスペアタイヤキャリアが装着されるなど、見た目は完全に本格的なオフロード車でした。
また、シャシも強化され、タイヤはブロックパターンのオフロードタイヤが標準装備されるなど、実際にオフロード走行に対応していました。
生産は、現行モデルのメルセデス・ベンツ「Gクラス」やトヨタ「スープラ」の製造をおこなっている、オーストリアのシュタイアプフ(現、マグナシュタイア)が担当。4WDシステムの開発もシュタイアプフです。
ゴルフ カントリーは1991年に日本にも正規輸入されましたが、販売的には成功したといえず、いまではかなりのレアモデルとなっています。
●フィアット「パンダ4×4」
庶民のクルマながら本格的な悪路走破性を持っていた「パンダ4×4」
いまもフィアットのエントリーモデルとして販売されている「パンダ」は、1980年に初代が誕生。デザインは巨匠ジウジアーロが担当しました。
優れた経済性と積載性を両立することを目的として開発された初代パンダは、当時のフィアットの財務状況から開発費や製造コストを抑えることが要求され、外装ではウインドウとボディ外板は可能な限り平面とすることで対応。
また、内装も極限までシンプルにデザインされており、ハンモックをモチーフとした簡素な「ハンモックシート」を採用。安価に作られていながらも絶妙なデザインによって、安っぽく見えない工夫が施されました。
エンジンは当初650cc空冷直列2気筒と900cc水冷直列4気筒を搭載。日本には1982年から900ccモデルのみが輸入されます。
その後、1983年には前述のゴルフ カントリーと同じくシュタイアプフが開発した4WDモデル「パンダ 4×4」を追加ラインナップ。横置きエンジンの小型車では世界初となる4WD車でした。
4WDシステムは手動で切り替えをおこなうパートタイム式で、5速MTの1速ギアは高い駆動力を発揮するスーパーローに設定され、通常走行時は2速発進が推奨されていました。
また、リアサスペンションは強化されたリーフスプリングのリジッドアクスルで、シャシも強化されるなど、オフロード走行をこなせる実力がありました。
なお、2代目と現行モデルの3代目パンダ 4×4(パンダクロスもあり)も、悪路走破性の高さを受け継いでいます。
■都会的なボディに本格オフロード車の性能を注入
●スズキ「エスクード」
スタイリッシュながら本格オフローダーにも負けない悪路走破性能だった「エスクード」
1988年に発売されたスズキ初代「エスクード」は、全長3560mm×全幅1635mm×全高1665mmのコンパクトサイズながら、直線基調のデザインやブリスターフェンダーによって力強さを表現した3ドアのSUVです。
シャシは本格的なクロスカントリー4WD車と同様なラダーフレームにボディを架装する構造で、サスペンションはフロントにストラット、リアにリジッドアクスルを採用することで、悪路走破性を高めています。
搭載されたエンジンは、デビュー当初が82馬力の1.6リッター直列4気筒で、後に100馬力に向上。さらに2リッターの直列4気筒ディーゼルやV型6気筒、最終的には2.5リッターV型6気筒を搭載するなど、ハイパワー化しました。
4WDシステムは手動切り替えのパートタイム式で、現在の「ジムニー」などと同様な4WD時に「ハイ」と「ロー」の2速副変速機が採用されています。
1990年にはソフトトップの後部をハードトップ化した「レジントップ」、全長を415mm延長した5ドアの「ノマド」が追加されるなど、幅広いニーズに対応。
乗用車的かつ都会的なデザインの、シティユースも悪路も走れるオールラウンダーとして、初代エスクードは国内外で高い人気を誇りました。
※ ※ ※
近年、国産クロスカントリー4WD車は激減してしまいました。RVブームが去ったことによる影響ですが、やはりクロスカントリー4WD車は燃費や乗り心地の悪さは拭えなかったため、普段使いには適していなかったということでしょう。
日本でトヨタ「ランドクルーザー」や、ジムニーがフルに性能を発揮するシーンはほとんどありませんが、本物の道具が放つオーラは魅力的で、両車とも長い歴史を刻んでいる理由といえます。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
コンパクトSUVのおすすめ車種はどれ? 室内空間や荷室、燃費など選び方別ランキングTOP3
MōTA / 2024年7月19日 19時0分
-
三菱が新型「コンパクト“ミニバン”」実車公開! 全長4.4m級ボディの「3列7人乗り」仕様! SUV並みの“走行性能”有する「エクスパンダー」タイで実車展示
くるまのニュース / 2024年7月10日 8時25分
-
ホンダとスズキ、最新ツアラーモデルを徹底比較 CRF1100Lアフリカツイン対GSX-S1000GXは何が違うか
東洋経済オンライン / 2024年7月3日 10時0分
-
スズキの超ハイルーフ「背高SUV」がカッコいい! 悪路走破性は「現行ジムニー」超え!? アウトドアで大活躍の「斬新クロカン」に反響集まる!
くるまのニュース / 2024年7月1日 12時50分
-
スズキ製!? 斬新「ミニ Gクラス」登場!? 高級オフロードSUV風デザインだけど… 違和感“無さ過ぎ”な正体とは
くるまのニュース / 2024年6月27日 17時10分
ランキング
-
1エアコンから嫌なニオイがします……原因と対処法が知りたいです【家電のプロが回答】
オールアバウト / 2024年7月25日 21時25分
-
2国立大「学費値上げ」議論過熱 物価高騰、私大からも「格差是正のため150万円に」の声
産経ニュース / 2024年7月25日 19時32分
-
3テレビ離れの小中高生にバカ受け…「27時間テレビ」で視聴率急伸した"5つの時間帯"の芸人とタレントの名前
プレジデントオンライン / 2024年7月26日 10時15分
-
4「高血圧の薬」高齢者ほど飲むのをやめていい理由 「飲みきれない量の薬」服用する人に伝えたい解決法
東洋経済オンライン / 2024年7月25日 20時0分
-
5「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか ワクチンを打っている人、打ってない人の違い
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)