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【知ってますか】中古車選びで聞く「タイミングベルト」って何? 切れるとマズい理由とは

くるまのニュース / 2020年8月2日 16時10分

クルマの部品で、エンジンのなかにある「タイミングベルト」は重要なパーツのひとつです。中古車選びの際にもよく聞きますが、いったいタイミングベルトとは何で、破損するとどのようなことが起きるのでしょうか。

■走行中に切れたら大変! タイミングベルトの重要性

 中古車情報サイトを閲覧していると、個体によって「タイミングベルト交換済み」などの表記をよく見かけます。

 交換したほうがいいモノだとなんとなく理解できるものの、交換しなければどういうことになるのか、知らない人も多くいます。タイミングベルトが劣化すると、おもにどんな不具合が発生するのでしょうか。

 タイミングベルトはゴムでできており、劣化によって切れることがあります。寿命はエンジンや車種、使い方によってさまざまですが、10万キロごとを交換時期としている車種を多くみかけます。

 実際に切れるとどうなるかというと、まず、エンジンが動かなくなります。

 切れた場合の修理もベルトを交換すれば直るエンジンもありますが、多くはエンジン内部にもダメージを受け、大掛かりな部品交換が必要になり、エンジンまるごと載せ替えたほうが早いというほど損傷することも多々あります。

 一方で、最近の新車の傾向として、タイミングベルトではなく金属のタイミングチェーンを使っているクルマが多数派となっていることもあるほか、電気自動車はエンジンを搭載していないのでタイミングベルトを必要としません。

※ ※ ※

 タイミングベルトがどのような部品なのか説明すると、一般的な自動車のエンジンは4ストローク(4サイクル)エンジンとなっていて、吸入/圧縮/燃焼(爆発)/排気の行程を2回転に1回繰り返すことでエンジンは動いています。

 そのため混合気(燃料)を燃焼室に吸い込ませるときと、燃焼後のガスを排気するに開くバルブが必要になります。

 そこで、エンジンの回転に同期して、バルブを開け締めするカムシャフトを回すために、滑らないように歯が付いたベルトが使われます。これがタイミングベルトです。

 ベルトを使う理由はエンジン重量軽量化や機械騒音の低減のためで、1980年代後半から2000年代まで多くの国産車でも、芯線をナイロン樹脂やゴムで覆ったタイミングベルトが幅広く使用されてきました。

 もし、切れた場合は燃焼室に燃料を送り込むバルブが動かないのでエンジンが動きません。そして、ビストンの上下とバルブの開閉タイミングが連動しなくなり、多くのクルマはバルブとピストンが当たり、エンジン内部が大きく損傷します。

 たとえ切れてもバルブとピストンが干渉しないように、ピストン上部にバルブの「逃げ」のために削られている窪み「バルブリセス」を設けて、切れてもベルトの交換だけで修理が済むクルマも過去にありました。

 しかし、その場合圧縮比を高くできず、燃費や出力などエンジンの性能を追求していかなければならない現代では、採用されにくくなっています。

 一方で、同じベルトでも発電するためのオルタネーターやエアコンのコンプレッサーを駆動する「Vベルト」と呼ばれるベルトと混同する人もいます。

 こちらはタイミングベルトとはまったく別のもので、交換もはるかに安価で容易で、仮に切れたとしてもすぐにエンジンが停止したり、部品が大きく損傷するような事態とはならないものです。

※ ※ ※

 エンジンの重要な部品であるタイミングベルトが切れてしまう(破断する)とどうなるのでしょうか。メーカー系のディーラーに勤務していた人に聞きました。

――タイミングベルトが切れるとどうなるのでしょうか。

 確実にエンジンは止まります。

 エンジンが止まるのですから、エンジンの動力によって作動しているブレーキの倍力装置が効かなくなり、クルマを止めるには通常時に比べて大きな踏力が必要です。また油圧式パワーステアリングの場合も機能しませんので、ハンドル操作も重くなります。

 走行不能になるだけではなく発電もできませんので、バッテリーの電力を使い切ったらヘッドライトやハザートランプも点きません。夜間では後続車による追突の恐れもあります。

――走行中に切れてしまった場合、修理はどのくらいかかるのでしょうか。

 タイミングベルト破断によるエンジンの損傷ですが、車種にもよりますが、修理するとなるとかなりの高額な出費となります。

 走行中の破断であればピストン、インテークバルブ/エキゾーストバルブは交換となりますし、カムシャフトやバルブを動かすロッカーアームなどもダメージを受けることがあります。損傷の度合いによってはエンジンすべてを載せ換えなければならないこともあり、その場合は車種によりますが軽自動車でも50万円を超えることもあります。

 こういったことから、メーカーが推奨する交換時期よりも早いタイミングでの交換をおすすめしています。

――切れていない場合、タイミングベルト交換の費用はどのくらいかかるでしょうか。

 破断前のタイミングベルトの交換であれば、メーカー系ディーラーなら車種ごとにタイミングベルト交換に要するメーカーの標準工賃での作業となります。

 工賃はケースバイケースですが、作業効率が良いクルマでタイミングベルト交換のみであれば、工賃は5万円程度と比較的低価格ですが、V型エンジンや水平対向エンジンではベルトが長くなるなど構造も複雑になり、部品代と共に作業工賃も高くなります。

 さらにエンジンまわりの多くの補器類を脱着する必要のある車種や、エンジンを降ろして交換しなければならない車種では、工賃だけでも高額になります。

■「タイミングベルト交換済」の中古車は安心か?

 重要な部品であるタイミングベルトですが、とくに中古車ではタイミングベルト交換済ということに注意しておくと安心なのでしょうか。

タイミングベルトの消耗度合いはプロでないと確認できないタイミングベルトの消耗度合いはプロでないと確認できない

――タイミングベルト交換済みの中古車は安心でしょうか。

 中古車情報サイトなどを閲覧していると、年式の割に走行距離が多い車両で「タイミングベルト交換済み」という記載を見ることもありますが、交換時期や実施場所もさまざまですので鵜呑みにしてしまうのは危険です。

 検討する際は明確な作業記録の有無について確認したほうが良いでしょう。

――タイミングベルトの消耗度合いは一般ユーザーが確認できるのでしょうか。

 タイミングベルトはエンジンの内部部品でカバーされているので、一般のドライバーがボンネットを開けても目視でタイミングベルトの状態を確認できるものではありません。

※ ※ ※

 切れるとたいへんなことになるタイミングベルトですが、通常の使い方であれば、推奨交換時期から余裕をもって整備していれば問題はなさそうです。

 そして、中古車選びの際は、走行距離や交換時期を考慮せず、交換歴の有無の表記だけに頼るのはやめておいたほうがよさそうです。

 なかには、タイミングベルトではないタイミングチェーンのクルマでも「タイミングベルト交換済み」と表記がある中古車や、構造的にタイミングベルトのないマツダのロータリーエンジンのクルマにまでタイミングベルト交換済みを謳う中古車も見られ、クルマの状態をきちんと確認していないことを露呈するような店もあります。

 ひどいものでは、2度目の交換時期が迫っているにも関わらず、1度目の交換をもって「交換済」とする業者もいます。

 もし、自分のクルマのタイミングベルトが心配な場合は、信頼できて技術のある整備工場などに相談するとよいでしょう。きちんと確認してアドバイスをもらえば安心できるかもしれませんし、そもそもタイミングベルトがない車種かもしれません。

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