大型リアウイングは高性能の証! 第1世代の完成形 三菱「ランエボIII」とは
くるまのニュース / 2020年8月8日 11時10分
すでに生産が終了した絶版車のなかでも、三菱がラリーで勝つために誕生させた「ランサーエボリューション」は初代から最終モデルまで幅広く人気の高いクルマです。今回は、第1世代と呼ばれる4代目「ランサー」ベースの完成形である「ランサーエボリューションIII」を紹介します。
■大開口のフロントバンパーや大型リアウイングを装備
1992年に誕生した三菱の本格スポーツ4WDセダン「ランサーエボリューション」は、生産が終了したことで逆にカルト的人気を誇るモンスターマシンとなりました。
今回は、1995年に登場した「ランエボ」シリーズの第3弾、「ランサーエボリューションIII」について紹介します。
1992年登場の「ランエボI」、1994年誕生の「ランエボII」に続き、さらなる勝利を目指して1995年に進化を果たしたのが「ランエボIII」です。
ランエボII自体が初代の問題点を洗い出し、改良が施されているのですが、ランエボIIIはさらなる戦闘力のアップを目指した改良が加えられ、第1世代の完成形ともいえる内容になっています。
基本的な車体構造はランエボIIから変更せず、エンジンの冷却性能や空力性能を向上させるための技術の熟成といったほうが正しいでしょう。
比較的地味な見た目だったランエボIやランエボIIとは明らかに違う、いかにもハイスペックモンスターらしい無骨な見た目となったランエボIIIですが、これもレースでの戦闘力アップを狙ってのものでした。
フロントバンパーの大きな開口部はより多くの空気を取り込み、インタークーラーやラジエーターの冷却性能を高め、さらにフロントエアダム(フロントバンパー下部に装着されたリップスポイラー状のもの)もエアダクトを設けてブレーキとトランスファーの冷却性能を向上。またサイドエアダム、リアスポイラー&リアウィッカーまでを一新しています。
それでいて、全長4310mm×全幅1695mm×全高1420mmというボディサイズは、ランエボIIと同じ数値内に留められ、コンパクトなままです。
さらに揚力の低減を狙って大型リアウイングを装着。当時はこの大型リアウイングが大流行しており、ライバルであるスバル「インプレッサWRX STi」なども採用していました。
搭載される「4G63型」エンジンは、インタークーラーやターボチャージャーなどはそのままに、マフラーの排圧低減、エキゾーストのフロントパイプ径をアップ、圧縮比を8.5から9.0に高めることなどの細かい改良で、ランエボIIに対して10馬力のパワーアップを実現し、最高出力は270馬力まで向上しています。
2リッターの排気量からここまでのハイパワーを絞り出すクルマは当時あまりなく、5ナンバー車としては別次元の速さを実現していました。
■念願のWRCでタイトルを獲得! 現在でも高人気
ランエボシリーズも3台目ともなると、ホモロゲーション取得分の2500台は楽に完売してしまうほどの知名度と人気を手に入れました。
三菱「ランサーエボリューションIII」
また既存の4色のボディカラーに加えて「ダンデライオンイエロー」という専用色も用意。ド派手なエアロフォルムがより際立つカラーとして人気になったのです。
ここまで完成度を高めたランエボIIIですが、WRC(世界ラリー選手権)でも大活躍します。1995年の第4戦から参戦したランエボIIIは、1996年シーズンの世界ラリー選手権(WRC)グループAカテゴリーで9戦中5勝をあげる活躍をみせ、エースドライバーのトミ・マキネン選手が自身初のドライバーズタイトルを獲得。
さらにグループNカテゴリーでもグスタポ・トレレス選手が王座を獲得するなど、名実ともに成功を収めます。
気になるランエボIIIの中古車ですが、15年も前のクルマのため、流通するタマ数はかなり少なめ。しかしWRCのチャンピオンズカーであり、ランエボ第1世代の完成形とあって「ネオクラシックカー」としての価値が非常に高いと評価されています。
まれに150万円前後の中古車もありますが、コンディションが良好な個体やメンテナンスが行き届いた車両では、250万円から430万円前後までハネ上がります。
完全なプレミア価格で、おいそれと手が出しにくい価格になってしまっていますが、それだけの価値がある証拠でもあります。
※ ※ ※
第1世代のランエボが販売されていた当時は、レースの成績が人気と直結していた時代でした。
現在のように環境性能への関心は高くなく、まだまだハイパワーと速さを純粋に求めていた時代で、その愚直なまでの速さを追求したスタイルだからこそ、いまだに多くの人たちから愛され続けているのでしょう。
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