コロナ禍でドアバイザー装着率に変化あり? 車移動で注目の換気手段
くるまのニュース / 2020年8月8日 9時30分
かつてより装着率が減少傾向にあるといういわれるのがクルマのドアバイザーです。しかし新型コロナウイルスの影響で、車内換気の重要性も見直されています。雨の日でも窓を開けて換気することのできるドアバイザーの装着率にも影響を与えているのでしょうか。
■ドアバイザーの装着に変化はあったのか?
新型コロナウイルスの影響で、車内換気の重要性も見直されていますが、雨の日でも窓を開けて換気することのできるドアバイザーの装着率にも影響を与えているのでしょうか。
ドアバイザーとは、クルマのサイドウィンドウ上部に取り付けられている樹脂製のカバーで、車内の換気の効率をよくするためのパーツとしておもにディーラーオプションで用意されているパーツです。
車時に窓の隙間をカバーするため防犯効果も期待できるほか、雨天時でも雨の侵入を防ぐ雨除けの役目を果たしてくれるので、天候を気にせず窓を開け車内の換気をすることができます。
一方でクルマ本来の外観を損ねる、走行時の風切り音の原因、洗車時に邪魔になる、といった理由から近年では敬遠されることも多くなってきたようです。
ドアバイザーの生産をおこなうメーカーは、次のように話します。
「ドアバイザー装着率の推移に関して、具体的な数字ではありませんが、2010年から2017年の変化は約6%減です。
昔は車内でたばこを吸われる人も多く、ほとんどのクルマに装着されていましたが、ドアバイザーは機能性の商品であることから、(喫煙者の減少により)最近では減ってきている傾向にあります」
また、輸入車の販売店スタッフは、「最近のクルマは換気機能が良くなっているということもドアバイザーを装着しない理由ではないかと思います」と話しています。
このようにドアバイザーの装着が減ってきた理由には、車内空調をコントロールするエアコンの性能が以前にも増して向上していることや、喫煙者が減ってきたことで外気の入れ替えを行う必要性が減ってきたことも影響しているようです。
しかし、現在は新型コロナウィルスの影響から人々の生活は一変しています。コロナ禍のなかでは、不特定多数の人との接触を避けるためにクルマでの移動が再注目されています。
とはいえ、クルマ移動でも感染のリスクがないわけではありません。むしろ、同乗者との距離が近く密閉された空間となるため、定期的な換気が必要です。
エアコンの外気導入機能でも車内の空気の入れ替えはおこなえますが、入れ替えられる空気の効率を考えると、やはり一番効果的なのは窓を開けることが最善といえます。
このとき、雨天時には、雨が車内に侵入してしまうという問題が起こりますが、ドアバイザーがあることにより、天候に左右されずに窓を開けることが可能になることから換気に役立つドアバイザーは、コロナ禍において再度、注目されているアイテムなのです。
そんなドアバイザーですが、新型コロナウイルスの影響を受けて装着状況に変化はあったのでしょうか。自動車販売店の店員は次のように話します。
「最近になってドアバイザーの装着希望が特別増えたという印象はありません。ドアバイザーは後付けできるものでもありますが、既存のお客さまから装着の依頼を受けたという話もあまり聞きません。
ただ、新型コロナウイルスの影響がまったくないとは思いません。ドアバイザーは多くの場合ディーラー装着のパッケージオプションに含まれているので、実際の装着率はかなり高いです。
見た目にこだわるお客さまのなかにはあえてドアバイザーを外すことがありますが、そうした人の割合が減っているのは、新型コロナウイルスの影響なのかもしれません」
※ ※ ※
スポーツカーや輸入車などデザイン性を重視する車種でなければ、ドアバイザーは多くの場合で基本的なパッケージオプションとして装着するユーザーが多いようです。
また、新型コロナウイルスの影響で、日常の移動手段としてクルマの購入を検討する機会も増えており、そうしたユーザーはどちらかというとデザイン性よりも機能性を重視することから、当然のようにドアバイザーを装着することが多いようです。
■ドアバイザーは意識しないで装着している?
従来のドアバイザーは、雨天時でも窓を開けて車内の換気をできることがメリットであることから、愛煙家などに重宝されてきました。
しかし近年では、愛煙家そのものが減少していることや電子タバコが普及してきたことから、「タバコを吸うからドアバイザーをつける」という明確な需要は減りつつあるようです。
一方で、愛煙家の減少とドアバイザーの装着率の減少は必ずしもリンクしないようです。
前述のように、2010年から2017年にかけてドアバイザーの装着率はおよそ6%減少したといいますが、JTの調査では、同時期の喫煙者の減少率はおよそ23%であり、ドアバイザーよりも大きく変化していることがわかります。
この要因は、ドアバイザーの販売構造にあります。先述の販売店のコメントにもありましたが、ドアバイザーの多くは[磯田1]、フロアマットやETCと合わせた基本的なオプション品をまとめたパッケージのなかのひとつとして販売されます。
多くの場合、こうしたパッケージオプションは数万円の範囲内であり、新車購入時の予算に占める割合はわずかです。
徹底的にコスト削減を求めるユーザーは、あえてパッケージオプションを選択せずに、自動車用品店などで汎用品を購入する場合もありますが、多くのユーザーはパッケージオプションを選択するでしょう。
ドアバイザーが装着されていない仕様のホンダ「N-VAN」
また、ドアバイザーをはじめとするディーラーオプションは、販売店にとっても利益率を高めるためにも積極的に販売したいもののひとつとされています。
もちろん、ユーザーにとって不利益になるものをすすめることはありませんが、ドアバイザーのようなベーシックなオプションは、パッケージ化することで、必需品として見せたいというねらいもあるようです。
このように、新型コロナウイルスの影響でにわかに注目を浴びているドアバイザーですが、意外にもドアバイザー単体での装着率はまだ大きな変化を見せてはいないようです。
※ ※ ※
ドアバイザーは、新車販売時にパッケージオプションのひとつとして装着されることが多いという特徴から、意識して装着するかしないかを判断することは少ないのかもしれません。
一方で、新型コロナウイルスの影響によってクルマ移動および車内の換気に注目が集まるなかで、「あえてドアバイザーをつけたい」というユーザーも増えてくるのではないでしょうか。
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