1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

バブル時代「小ベンツ」と呼ばれた「190E」のホモロゲモデルが熱い! なんと「エボ2」は2500万円!!

くるまのニュース / 2020年8月9日 19時10分

1980-1990年代にモータースポーツで人気の高かった「グループA」。このカテゴリーに参戦するためのホモロゲーションモデルは、クルマ好きにとって憧れであった。なかでもメルセデス・ベンツの「190」シリーズは、いまなお人気が高いモデルである。この190の歴代ホモロゲーションモデルの現在の価格を最新オークションの動向から調べてみよう。

■レースで活躍することを期待された小ベンツ「190」のスポーツモデルとは

 英国「シルバーストーン・オークション」社がオンライン限定で開催したオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、バラエティに富んだクラシックモデル、あるいはヤングタイマーたちが数多く出品され、あらゆるジャンルに属するクルマたちのマーケット現況をかいま見ることができた。

 今回は、クラシックカーの分野でも人気の高いメルセデス・ベンツ。なかでも1980-1990年代に一世を風靡した「190E2.3-16」と、その派出モデル「エボリューションI/II」が一斉に競売に掛けられるという、メルセデス愛好家でなくともちょっとワクワクさせてくれそうなオークションの「レビュー(事後リポート)」を届けよう。

●メルセデス・ベンツ190Eコスワース:1985年

4万8375ポンド(邦貨換算約671万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.3-16」、通称「190コスワース」(C)SILVERSTONE AUCTIONS4万8375ポンド(邦貨換算約671万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.3-16」、通称「190コスワース」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 現在では「ヤングタイマー時代」と呼ばれる1980年代のドイツでは、高性能スポーツサルーンが流行の兆しを見せていた。

 そのかたわら、国際自動車連盟(FIA)が新たなモータースポーツの規格として「グループA」を1982年シーズンから施行。

 1955年のル・マンにおける大事故以来長らく遠ざかっていたレースシーンへの復活を模索していたダイムラー・ベンツ社(当時)は、2500cc以下で競われるグループAディビジョン2カテゴリーへの参入を目指して、この時代の最小モデル「190」に、4気筒DOHC16バルブ2.3リッターのエンジンを搭載したスポーツサルーンを開発した。

 このモデルの正式名称は「190E2.3-16」なのだが、エンジンチューンを担当したレーススペシャリスト「コスワース」の母国であるイギリスでは排気量拡大版の190E2.5-16ともども「190コスワース」と呼ばれることも多いようだ。

 今回の「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品された190E2.3-16は、英国仕様の右ハンドル車で新車時からの走行距離は1万2427マイル(2万512km)という、年式を考えれば相当なローマイレージ車である

 ここ数年、190コスワースのマーケット相場価格は、後述の「エボ」たちの人気に引っ張られるかたちで高騰していたようだが、今回の出品車両に設定されたエスティメート(推定落札価格)は5万−6万ポンド(邦貨換算約684万円−821万円)と、近年の人気を物語るような強気な価格だった。

 実際のオークションでは、エスティメートにこそ到達しなかったものの、4万8375ポンド(邦貨換算約671万円)という、このモデルとしては上々ともいえる価格で落札された。

 ちなみにこのオークションでは、同じアストラルシルバーにペイントされた1990年型「190E2.5-16」も出品されていたのだが、こちらは1万8000−2万2000ポンドのエスティメートに対して2万813ポンド(邦貨換算約290万円)で落札されている。

 走行距離が12万kmを超えていたこともリーズナブルな価格の要因のひとつと推測されるが、同じ190コスワースでも「2.3-16」に比べると「2.5-16」は生産期間・台数ともに大きく上回ることが、もっとも大きな違いと見るべきだろう。コレクターにとって、希少価値はとても重要なものなのだ。

■「190」といえば「エボ2」、その驚きのプライスは?

 当時人気を高めていたツーリングカーレース、ドイツ「DTM」選手権において、宿敵BMW「M3」との戦いを有利に展開すべく誕生したのが、今回「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品された「190E2.5-16エボリューション」である。

●メルセデス・ベンツ190E 2.5-16エボリューション I AMG POWER PACK:1989年

8万1000ポンド(邦貨換算約1120万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.5-16エボリューション」、通称「エボ・ワン」(C)SILVERSTONE AUCTIONS8万1000ポンド(邦貨換算約1120万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.5-16エボリューション」、通称「エボ・ワン」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 190E2.3-16は、そのデビュー直後から欧米、あるいは日本のツーリングカーレースでも大活躍を見せるものの、BMWが1986年初頭に送り出したM3の登場により、その栄光は脆くも崩れ去ってしまう。

 そこでメルセデスは、同じくコスワース製DOHC16バルブヘッドを持ち、排気量をレギュレーション一杯の2.5リッターまで拡大した190E2.5-16を1988年に投入。ところが、BMWが同じ1988年に製作した「M3エボリューション」に行く手を阻まれ、失地挽回には至らなかった。

 宿敵M3の台頭に対してメルセデス・ベンツは、1990年のFIAレギュレーション変更により、500台のエボリューションモデルの製作が許可されたことに伴って、1989年に「190E2.5-16エボリューション(通称エボ1)」を限定生産。

 このモデルは、エンジンのショートストローク化によって、レースチューンに適した特性を持たせるとともに、前後のエアロパーツを大型化。さらなる戦闘力を確保していた。

 このオークションに出品された個体には、当時1万8000ドイツマルク(ユーロ移行前の通貨)で装着できた「AMG Power Pack」オプションが組み込まれ、スタンダードでは202bhp(英馬力)だったパワーは30bhp上乗せされているとのこと。このオプションを装備したエボ1は、30台だけといわれているので、希少価値の点でも申し分のない1台である。

 しかしエスティメートは、数年前と比べるとリーズナブルな印象もある8万−9万ポンド(邦貨換算約1095万円−1230万円)に設定されていた。

 そして迎えた2020年8月1日の競売では、エスティメートに届く8万1000ポンド(邦貨換算約1120万円)で無事落札。全盛期ほどではないといえ「エボ」人気が健在であることを示した。

●メルセデス・ベンツ190E 2.5-16エボリューション II:1992年

18万ポンド(邦貨換算約2490万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.5-16エボリューションII」、通称「エボ・ツー」18万ポンド(邦貨換算約2490万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190E2.5-16エボリューションII」、通称「エボ・ツー」

 今回の「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」における、メルセデス190コスワース勢の真打ちというべき出品車両が、この車両である。

 BMWが排気量を2.5リッターに拡大した「M3スポーツ・エボリューション」に対する最終兵器として開発され、わが国のメルセデス・ファン、あるいはグループAツーリングカー・ファンの間でも、「エボ2(エボツー)」の愛称とともにカリスマ的な支持を受けている「190E2.5-16エボリューションII」である。

 コスワース製4気筒DOHC16バルブのエンジンは、前掲の「エボ1」ではオプションだった「AMG Power Pack」がスタンダード化されたことで235bhp/7200rpmをマーク。しかし、そのエンジン以上にエボ2を神格化させたのが、ツーリングカーレースにおける覇権のために施された、超絶的なコスメチューニングである。

 大きく張りだした前後オーバーフェンダーと、巨大な前後バンパースポイラー、そしてルーフに届かんばかりの高さにそびえるリアウイングなど、旧来の良識的なメルセデス・ファンならば、眉をひそめかねないほどのエアロチューンがメーカー純正で施されているのだ。

 今回のオークション出品車両は、世界限定500台のシリアルナンバー255。新車としてデリバリーされて以来、28年間の走行距離は、2万6056マイル(4万1934km)という、こちらも相当なローマイレージ車だった。

 そしてエスティメートは、16万5000ポンド−19万5000ポンド(邦貨換算約2260万円−2670万円)という、依然として強気なもの。はたして8月1日のオークションでは、18万ポンド(邦貨換算約2490万円)で落札されることになった。

 肝心のグループAツーリングカーとしては、DTM選手権で宿敵M3の牙城をついに攻略することに成功したものの、掟やぶりの4WDモンスター、アルファロメオ「155V6TI」の登場によって、その野望も潰えてしまう。

 しかしこのボディがもたらすカリスマ性と、基本はメルセデスのセダンであることから得られた実用性との完全両立。あるいはギャップ感の魅力も相まって、この先も「エボツー」の人気が衰えることは、まずないであろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください