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ルイス・ハミルトンの父が集めたクラシックカーに価値はある!?

くるまのニュース / 2020年8月11日 8時10分

F1パイロット、ルイス・ハミルトン選手の父アンソニー氏がコレクションしていたクルマ18台がオークションに出品された。アンソニー氏が集めていた珠玉のトライアンフをはじめとする英国車たちは、どれくらいの価格で落札されたのだろうか。

■ルイス・ハミルトン親子は、どちらも相当なクルマ好きだった!

 英国「シルバーストーン・オークション」社がオンライン限定で開催したオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、先般VAGUEでも事前の「プレビュー」および事後の「レビュー」にて、1970sスーパーカーの数々をご紹介した「SA-30」カテゴリーのほかにも、ポルシェに特化した「The Stuttgart Collection」など興味深いカテゴリーがいくつも設定されていた。

 そのなかでもとくに話題を呼んだのは、世界タイトルを6回も獲得した当代最強のF1ドライバー、ルイス・ハミルトンMBE(2008年に叙勲)の実父で、元マネージャーでもあったアンソニー・ハミルトン氏が収集してきたクラシックカー/スーパーカーのコレクションが大量出品された「The Anthony Hamilton Collection」カテゴリーだった。

●ルイス・ハミルトン卿の大成功を支えた父

 ハミルトン親子のレースキャリアは、アンソニー氏が1992年のクリスマスプレゼントとして、当時7歳だったルイスに最初のレーシングカートを買い与えたことに始まった。

 そして、息子の夢を支えるために3つの仕事をかけ持ちしつつ、翌年レースデビューを果たしたときから全レースに帯同したという。

 その後、ルイスがマクラーレンの目に留まり順調にキャリアアップしてゆくと、パーソナルマネージャーとして息子を支え、まさに二人三脚でサクセスストーリーを展開してゆくことになる。ルイスが、長らく黄色のヘルメットを愛用していた理由を聞かれると「パパが見つけやすいよう黄色にした」と答えるなど、その蜜月ぶりを隠すことはなかった。

 ところが、初の世界タイトルを獲得した2年後の2010年をもって、父子間でのマネージメントに息苦しさを覚えていたというルイスは、アンソニー氏との契約を解消。ルイスはのちのインタビューに「父との間には、グランドキャニオンのような溝ができていた。」と語ったといわれている。

 しかし2020年2月、ハミルトン親子が10年ぶりの和解を果たしたとの報道が全世界に配信された。彼らは2019-2020年のクリスマス休暇をともに過ごしたことで、すべてのわだかまりを解消。

 今後アンソニー氏がマネージャーに復帰することはないが、家族としての交流は復活することになったそうである。

 ところでルイス・ハミルトン選手といえば、プライベートでもメルセデス・ベンツ「SLS-AMG」やマクラーレン「P1」、「ラ・フェラーリ」とそのオープン版の「アペルタ」、自身のイニシャルを車名に冠したパガーニ「ゾンダ760LH」を所有するなど、スーパーカーの熱心なエンスージアストとしても知られている。

 またAC「コブラ427」やシェルビー「GT500」も所有し、アメリカンV8を搭載したクラシックカーにも熱烈な愛情を披露するなど、現役F1ドライバーのなかでもナンバー1クラスのカーマニアであるようだ。

 一方、父アンソニー氏は1950-1970年代の英国製ライトウェイト・スポーツカーが特にお好みだったようで、「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品される18台の大部分は、イギリスの旧き良きスポーツカーたちであった。

■ルイス・ハミルトン選手の父が集めたクルマとは?

 今回の「The Anthony Hamilton Collection」の出品リストを見ていると、アンソニー氏が今や消滅して久しいブランド「トライアンフ(4輪)」の熱心なエンスージアストだったことが良くわかるだろう。

 彼のコレクションは、トライアンフの人気モデルの大部分を網羅しているのだ。

●アンソニー氏の珠玉の英国車コレクション

アンソニー氏が「トライアンフ(4輪)」の熱心なエンスージアストだったことがよくわかるコレクションだ(C)SILVERSTONE AUCTIONSアンソニー氏が「トライアンフ(4輪)」の熱心なエンスージアストだったことがよくわかるコレクションだ(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 まずは1950年代から1970年代にかけて、トライアンフの代名詞だった「TR(Triumph Roadster)」から。1957年に「TR3」と「TR3A」の折衷版として少数が作られた「TR3/3A」(推定落札価格2万5000~3万ポンド)は、2万7563ポンド(邦貨換算約382万円)で落札。

 1960年型TR3A(推定落札価格3万5000~4万ポンド)は、3万7688ポンド(邦貨換算約523万円)でハンマーが落とされた。

 また、彼のトライアンフ・コレクションの白眉ともいうべき1台、TR3Aをベースにイタリアのミケロッティが少数(試作車含めて330台)のみ製作し、のちの「TR4」のプロトタイプにもなった1960年型「イタリア2000」は、12万−14万ポンドの推定落札価格に対して13万1000ポンド(約1820万円)で落札された。

 TR4に6気筒エンジンを搭載した後継車ながら、生産台数の少なかった「TR5」は、1968年型が8万−9万ポンドの推定落札価格に対して、8万6250ポンド(約1200万円)で落札となった。

 さらに、アンソニー氏のトライアンフ愛の強さは、熱心なファン以外にはいまいちウケの悪かったモデル、例えば3万4785ポンド(邦貨換算約482万円)で落札された1977年型スタッグMkIIIなども、美しいコンディションで維持されていたことからも感じられる。

 また、長らく「トライアンフTRの駄作」と称されていた「TR7」をオープン化し、ローバーV8エンジンを搭載した、いまや希少性から評価が急上昇している「TR8」も出品されたが、こちらは3万5000−4万ポンドの推定落札価格に対して3万1500ポンド(邦貨換算約437万円)で落札という、少々残念な結果に終わった。

 一方ハミルトン・コレクションには、現役時代にトライアンフのライバルだった「MG」も含まれており、このオークションでは少数のみ製作されたMGAのDOHCエンジン搭載モデル、1959年型「MGAツインカム」も出品。5万5000−6万5000ポンドの推定落札価格に対して、5万6250ポンド(邦貨換算約780万円)という上々の成果を得た。

 ほかにも、旧ビルマ総督マウントバッテン卿が初代オーナーだったという、1965年型モーリス「ミニ・トラヴェラーDX」は、2万3675ポンド(邦貨換算約328万円)で落札、スポーティで好ましい雰囲気にレストアされた1968年型モーリス「ミニ・クーパーS」は、3万3500ポンド(邦貨換算約465万円)と、それぞれエスティメートに届く金額で落札された。

……と、ここまでは英国製クラシック・スポーツカー愛好家のである父アンソニー氏のコレクションとしては、いわば典型的なモデルたちだったのだが、どちらかといえば息子ルイス・ハミルトン卿の好みそうな近現代のスーパーカーや、アメリカ製スポーツカーも出品されたことが、筆者にはなぜかとても意味深に感じられた。

 2006年型メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン」は、エスティメート17万5000−20万ポンドに対して18万2250ポンド(邦貨換算約2530万円)で落札。

 2006年型フォード「GT」はエスティメート25万−28万ポンドに対して、24万1875ポンド(邦貨換算約3350万円)で落札。そして、1957年型シボレー「コルベットC1」は、7万5000−9万ポンドのエスティメートに対して、7万8750ポンド(邦貨換算約1090万円)で、それぞれ新しいオーナーが決定した。

 これらの3台は、もしかしたら息子ルイス卿のものだったのか……? あるいは父子に溝があった時期に入手したものを、和解を機に潔く放出しようとしたのか……?

 そんな妄想が掻き立てられる、実に興味深いオークションであった。

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