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日常、ときどき冒険 Jeep3兄弟をオフロードでガチ試乗!

くるまのニュース / 2020年8月16日 11時50分

タウンユース志向の「なんちゃってSUV」が巷に溢れている昨今だが、JeepブランドのSUVは都会的な外観にも関わらず、オフロード性能は本格的。そこで、「レネゲード」、「チェロキー」、「グランドチェロキー」というJeepのエントリーから中核を担う3車種の実力をオフロードで試してみた。

■コスパ最高のエントリーモデルでも悪路走破性に抜かりなし!

 世界最強の悪路走破性を持つクルマの1台が、Jeep「ラングラー・ルビコン」であるのは紛れもない事実であろう。悪路と向き合って80年近い歴史は伊達じゃない。その間に培った技術と経験が余すところなく注ぎ込まれた、ブランドとしてのトップエンドなのだから。

 でも、「そこまでハードコアじゃなくてもいいかな」という人が少なくないのも事実。Jeepはそうした人達のためにSUV風味の強いモデル達をいくつかラインナップしているのだが、それぞれの持ち味をそのままに、ルビコンを除く「ラングラー」とかなり近いオフロード性能を持たせたグレードを用意している。

「トレイルホーク」というサブネームが付けられ、Aピラーの根本に「TLAIL RATED」の文字が刻まれたバッジがマウントされているモデル達だ。

 TRAIL RATEDのバッジは、いかにJeepブランドの4WDモデルが優れた悪路走破性を持っているといえど、簡単に与えられるものではない。駆動性、渡河性能、機動性、接地性、地上高などに関する、開発陣が自らハードルを上げに上げた厳しくも過酷な、そして高度なオフロードでのテストをクリアできる性能を確保できたモデルのみが、そのバッジをつけることが許されるわけだ。

 唯一ラングラーのみ「トレイルホーク」の名を持つグレードが設けられていないが、それは全グレードがそのテストをクリアしていて、すべてのクルマにTRAIL RATEDのバッジがつけられているから。そんなところから察せられるだろうが、TRAIL RATEDモデルはJeepのなかでも別格的な存在なのである。

「フツーここにクルマで入ろうとは思いもしないよね」と苦笑いを浮かべてしまうような場所に、「レネゲード」と「チェロキー」のトレイルホーク、そしてTRAIL RATEDモデルではないけどかなり高度な4WDシステムを備える「グランド・チェロキー」の3台で踏み込んできた。

●レネゲード・トレイルホーク

エントリーモデルといえども悪路走破性も侮れない「レネゲード・トレイルホーク」エントリーモデルといえども悪路走破性も侮れない「レネゲード・トレイルホーク」

 レネゲードはJeepブランドのラインナップのなかでもっともコンパクトな、末っ子といえるモデル。ラングラーに通じるところもある丸目のヘッドランプとボクシーなスタイリングではあるが、醸し出している雰囲気は、まるでフレンチブルドッグ。愛嬌があるのだ。

 搭載するのは1.3リッターマルチエア直列4気筒ターボ。レネゲードは同じFCAグループのなかにあるフィアットのクロスオーバーSUV、「500X」の姉妹車であり、エンジンもフィアット・パワートレイン・テクノロジーズ社が開発したもの。

 眠たいエンジンを嫌うイタリアンの血が混じってるわけで、「ファイアフライ」と呼ばれる最新型のこのユニットは、ヒュンヒュンと元気よく吹け上がる。シャシの方もよく調律されていて、オンロードでは乗り心地も悪くないし、思いのほかスポーティに走ることもできる。

 エントリーモデルという位置づけと愛らしいルックスから、オフロード性能は一般的な4WDモデルに近いと思われがちだけど、それはとんでもない誤解だ。

 路面状況に応じて任意に5種類のモードを選べるオンデマンド式のセレクテレインと呼ばれるシステムと、並み外れた悪路で必要になる超低速ギアレシオが使えるアクティブドライブローの組み合わせは、素晴らしく頼もしかった。

 斜度にしてもぬかるみ具合にしても自分の足では絶対に踏み込みたくない登り坂も鼻歌まじり、濡れた草に足を取られそうな下りもヒルディセントコトロールのスイッチを押せば、まったく難はない。

 凄まじく厳しい悪路でも走ろうと思わない限り、4WDモデルとしてのパフォーマンスも充分以上だ。物凄く優秀。ヤンチャに見えるけど、できる末っ子なのだ。

 400万円を切る価格帯の4WDモデルのなかでは、おそらくもっとも高いオフロード性能を備えたクルマ。Jeepブランドのなかでもコストパフォーマンスはピカイチ、といっていいだろう。

■街乗りメインなら、チェロキー&グラチェロは賢者の選択

 スマートなスタイリングやインテリアの雰囲気からも想像できるように、チェロキーはJeepブランドのなかでもっとも街乗りに適したSUVだ。

 ミッドサイズではあるがなかなか居心地のいい上質な車内空間を持っているし、乗り心地だって快適といえる部類。単にアンダー500万円のSUVとしてだけ考えても、なかなか満足感の高いモデルといえる。

●チェロキー・トレイルホーク

「チェロキー」はオシャレなタウンユースのイメージだが、「チェロキー・トレイルホーク」となるとルックスもハード仕様だ「チェロキー」はオシャレなタウンユースのイメージだが、「チェロキー・トレイルホーク」となるとルックスもハード仕様だ

 そういう意味では、普段は街で遊び、ときどき野山に繰り出るようなライフスタイルにピタリとはまるクルマ。何せ全車オンデマンド式の4WDシステムを備えているのだ。

 このトレイルホークではそれに加え、セレクトレインのモード切り替え式に4WDローのレンジ、リアデフのロック機構まで備えている。

 スイッチをプッシュすると設定した9km/hまでの速度で自動的に坂を登るヒルアセントコントロールや坂を下るヒルディセントコントロールのシステムも与えられている。手間もいらないし、難しいことを考えることもなく、力強く悪条件の坂を登り、危なげなく下っていけるのだ。

 というと何だか大したことない悪路だったかのように思われるかも知れないが、走ったのは並みの4WDモデルでは分け入れといわれたら躊躇うし、大抵の人なら諦める場所。そこを涼しい顔でサラリと、けれど力強く走破していく。これにはほとほと感心させられる。

 大きすぎず小さすぎずの車体のサイズ感や洗練された乗り心地なども含めて考えると、このクルマがもっとも日常的に使いやすいスーパー万能選手といえるかも知れない。

●グランドチェロキー・リミテッド

「グランドチェロキー」は、プレミアム系フルサイズSUVのなかで、もっともコスパに優れている「グランドチェロキー」は、プレミアム系フルサイズSUVのなかで、もっともコスパに優れている

 グランドチェロキーは、チェロキーの兄貴分であり、Jeepブランド唯一のフルサイズSUV。そのスタイリングは威風堂々というべき風格を見せ、インテリアもアメリカンな香り漂うラグジュアリーなしつらえ。装備類にも足りないものが思い浮かばないほどの至れり尽くせりだ。

 ただし、おかげで車重はおよそ2.2トン。重さというのは駆動の味方になってくれるし安定性を稼いでくれることもあるけれど、同時に重いモノほど登りにくいし落ちやすいという性質も持っている。足元が悪ければなおのこと、だ。

 だから、このクルマがレネゲードやチェロキーと同じようにドロドロの急な勾配を登り、濡れて滑りやすい草原の斜面を下れる様子には、驚きすら覚えてしまう。しかもオンロードでは快適至極のエアサスペンションが備わるおかげで、悪路での乗り心地だって他のどのモデルより素晴らしい。

 4WDシステムは、クォドラトラックIIというアクティブ制御のフルタイム4WD式。タイヤの空転をセンサーが感知すると、瞬時に駆動力をキープしている車軸に100%のトルクを送り込む仕組みだ。

 もちろん5つの走行モードを任意に切り替えられるセレクテレインも備わるし、ヒルアセントコントロールもヒルディセントコントロールも与えられている。それら各部の制御も、かなり細かく正確に働いてるようにも感じられる。

 そのうえ、フロア下のクリアランスが気掛かりなときには、エアサスペンションで地上高を持ち上げることだってできる。ゴージャスなSUVながら、悪路での走破性は間違いなく本物。この上にTRAIL RATEDバッジをつけたトレイルホークが存在することが不思議に感じられるくらいだ。

 ゴージャスなSUVというのは数多ある。それらのほとんどは、主戦場を街中に据えている。が、グランドチェロキーはちょっと違う。街中でも充分に戦えるし、荒野に出ても戦えるのだ。

 何ひとつ不満のない快適さ、不自由のなさ、そして望外なオフロード性能。もっともゴージャスな仕様ですら750万円を下回るという価格を考えると、これは世界でもっともコストパフォーマンスが高いプレミアム系フルサイズSUVなのだと思う。

* * *

 確かにラングラー・ルビコンは、行きたい場所へどこにだって行けるモデルだ。オフロードでのパフォーマンスは、驚愕といえるほど。それに現行のJL型は、オンロードでの乗り心地もだいぶよくなっている。

 けれど、最強の悪路走破性を稼ぎ出すために必須であるラダーフレーム+リジッドアクスルという構造は、どうあっても街中メインで考えられているモノコック構造のクルマと同じ乗り心地は得られない。

 ラフロードを走るのを最大の趣味としている人だったり、その姿や伝統と一緒に暮らしたい人であれば、ラングラーを選ぶのがいいかも知れない。けれど、街中は当たり前のように快適に過ごしたいし、野山にはたまにしか行かないという人なら、ラングラー以外のJeepを選ぶのが正解だと思う。これらのJeep達だって、わりと荒唐無稽に思える結構なところまで走っていけるのだ。

 日常、ときどき冒険。そういうスタイルだってたっぷりとJeepならではのロマンを堪能できるのだから。

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