事故多発で取り締まり強化! 歩行者優先でも車が一時停止しない実情
くるまのニュース / 2020年9月9日 9時10分
交通違反全体の件数は減少傾向にあるものの、最近「横断歩行者等妨害等違反」という違反は増加しています。歩行者妨害とは、どのような行為なのでしょうか。増加している現状と、違反として取り締まりを受けた場合の罰則などを紹介します。
■歩行者がいる横断歩道で9割以上のドライバーが一時停止していない!?
交通事故や交通違反は全体的には減少傾向にありますが、ここ数年急増しているのが「横断歩行者等妨害等違反」です。そして、横断歩道を渡っている歩行者が犠牲となる交通事故が増えています。
横断歩行者等妨害等違反とは、歩行者優先の状況でクルマが先に走行して歩行の妨げになると判断された交通違反です。
警察庁のウェブサイトによると、2015年から2019年の5年間で、クルマと歩行者の衝突による死亡事故は5931件発生し、そのうちの約7割にあたる4278件は歩行者が横断中に発生しています。また2923件は横断歩道以外での場所を横断していたケースでした。
これを受けて、横断歩行者等妨害等違反の取り締まりが強化されており、取り締まり件数は、9万9763件だった2015年と比較して2019年は22万9395件と約2.3倍に増加しました。
過去にJAF(日本自動車連盟)がおこなった、信号機がない横断歩道における歩行者優先道路の実態調査(全国94か所)によると、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場面で「一時停止」したクルマは全体のわずか8.6%という結果になりました。
都道府県別での停止率にはかなりの差があるものの、約9割のクルマはしっかり一時停止していないという実態が明らかになっています。
歩行者が横断歩道を渡ろうとしているのにクルマが止まらない理由としては、「自分が停止しても対向車が止まらず危険だから」(44.9%)や「後続車が来ておらず、自分のクルマが通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから」(41.1%)「横断歩道に歩行者がいても渡るかどうか判断できないから」(38.4%)といった回答が寄せられています(JAF「ドライバーの意識のネットアンケート結果」)。
信号のない横断歩道付近は危険な場所だという認識はありつつも、自分のクルマを早く通過させたい気持ちを持つドライバーが多いことがわかりました。
信号のない横断歩道で歩行者との交通事故を起こしてしまった場合、クルマ側の歩行者への妨害行為が認められると、クルマの過失が100%となるケースが多く、横断歩道でなくてもクルマの過失は70%と判断されるそうです。
また、最近マナーの悪さが目につく自転車の横断や歩行者の無理な横断に対しても、2015年に道路交通法が改正されたとはいえ、クルマほど取り締まられるケースは少なく、事故になってしまった場合はクルマ側に不利な状況になってしまうようです。
■違反すると罰金&違反点数が科せられる
最近取り締まりが強化されている歩行者妨害行為ですが、道路交通法ではどのように定められているのでしょうか。
横断歩行者等妨害等違反は罰金と違反点数が科せられる
横断歩行者等妨害等違反については、道路交通法の第三章第六節の第38条「横断歩行等における歩行者等の優先」に明記されています。
要約すると、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、運転手は横断歩道の手前でクルマを一時停止して、歩行者の通行を妨げないようにする義務があるということです。
細かい部分では、歩行者がいないことが明らかな場合を除き、横断歩道手前の停止線で止まれる速度で走行(徐行)する必要があり、手前30mでは追い越しや追い抜きは禁止と記載されています。
横断歩道において横断歩行者等妨害等違反で取り締まられると、ほかの違反と同じく、違反点数と反則金が科せられます。
反則金は大型車が1万2000円、普通車が9000円、二輪車が7000円、小型特殊自動車/原動機付自転車が6000円です。
違反点数は2点ですが、酒気帯び(0.25mg以下)の場合では14点、酒気帯び(0.25mg以上の場合)では25点となります。
実際の道路状況では「一時停止」の標識がある停止線では前方の状況を把握できないケースも多く、また目視した限りで歩行者もいないだろうとそのまま進みがちかもしれませんが、一時停止を守って歩行者優先を心がけた運転が必要です。
また、歩行者として横断歩道を渡るときは、周囲の安全を確認し、横断する意思表示を周囲のドライバーに分かるようにすることも大切だといえます。
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