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国内初設置から90年「信号機」どう進化? 新型信号機はなぜ薄型ボディを採用したのか

くるまのニュース / 2020年8月20日 9時10分

毎年8月20日は、交通信号設置記念日です。1931年のこの日に、東京の銀座4丁目交差点をはじめとした34か所に、3色灯の自動信号機が設置されたことが由来とされています。普及が進み始めて約90年となりますが、近年では従来とは違う薄型の信号機の普及が進んでいます。最新の信号機は、どのような進化を遂げているのでしょうか。

■厚みが全然違う! 信号機が薄型になるメリットとは

 8月20日は、交通信号設置記念日です。1931年のこの日、東京の銀座4丁目交差点や京橋交差点など34か所に、3色灯の自動信号機が設置されたことが由来とされています。

 日々、円滑な交通と安全を支え続けている信号機ですが、近年は従来と異なる形の信号機が登場するなど、進化を遂げています。いったい、信号機の最新事情はどのようになっているのでしょうか。

 信号機の歴史は、クルマが普及する前から始まっていました。ダイムラーやベンツがガソリン自動車を制作した1880年代より前の1868年に、イギリスで馬車の交通整理のために設置されたものが、世界初の信号機とされています。電球ではなくガスを光源とする仕組みでした。

 その後、1918年にはアメリカのニューヨーク5番街に、世界初となる電気式の自動交通信号機が設置されました。

 日本で最初に自動信号機が設置されたのは1930年で、東京の日比谷交差点に設けられたとされています。

 その翌年の1931年に前述のとおり34か所の交差点に自動信号機が設置され、日本でも信号機が普及していきました。

 それから90年近くが経った2020年8月現在、信号機は大きな進化を遂げています。

 最近、街で見かけるのが「薄型フラット信号機」です。従来の信号機が奥行きのある形をしているのに対し、薄い板のような形をしていて、ひさしがついていないことも特徴となります。

 信号機の製造を手掛けるコイト電工は、次のようにコメントします。

――薄型フラット信号機の特徴はなんですか。

 従来の信号機の形は、電球を入れるスペースを確保するために奥行きがありました。薄型フラット信号機はLEDを採用しているだけでなく、従来の形の名残であった奥行きをなくしたのが特徴となります。

 メリットとしては、軽量なことや施工性が向上すること、設置前の保管場所が省スペースで済むこと、フードレス(ひさしがない)設計によって強風(台風)や豪雪などの自然災害にも強いことなどが挙げられます。

――今後、どのような場所で設置される見込みですか。

 薄型フラット信号機は、現在警察庁が設置を推奨する信号機となっています。このため、設置ペースは各地域の予算によってまちまちだと思いますが、基本的には全国各地で設置が進められると思います。

※ ※ ※

 近年、台風やゲリラ豪雨などの強風を伴う自然災害が多発していることから、薄型フラット信号機の導入は街の安全面を保つ点においても十分に価値があるといえます。

■信号機が不要に? 導入進む「ラウンドアバウト」とは

 信号機自体の進化が注目されるなか、信号機を設置することなく車両整理をするための仕組みも日本で導入されつつあります。その例が「ラウンドアバウト」です。

 ラウンドアバウトとは、中央に円状の島(中央島)を設置し、その周囲に「環道」と呼ばれる一方通行車線を設け、そこに接続された各方向の道から進入、退出ができるようになっているものを指します。信号による停止・発進の指示はありません。

 ラウンドアバウト自体の歴史は古く、1960年代にイギリスを中心としたヨーロッパで広く普及していましたが、日本で導入されたのはここ数年のことです。

 以前から存在した円形の交差点となるロータリー交差点とは別のものである「環状の交差点における右回り通行」として、2013年6月14日に第43号改正道路交通法によってラウンドアバウトが定義されました。そして、2014年9月1日より本格的な運用を開始し、全国で19か所のラウンドアバウトが導入されました。

静岡県焼津市のラウンドアバウト静岡県焼津市のラウンドアバウト

 国土交通省はラウンドアバウトの導入効果として、交差点流入速度の低下や交錯か所の減少による安全性の向上をはじめとしたメリットがあると説明していますが、2020年3月に静岡県内で初めて複数の環状交差点を導入した、静岡県焼津市の担当者は次のように話します。

――環状交差点を導入された経緯を教えてください。

 国道150号バイパスが整備されるなど、周辺の道路環境が変わるなかで、主道路の交通量が以前と比べて減少しています。また、交差する従道路の交通量は主道路に比べ、さらに少ない状況にあります。

 そして、主道路は見通しの良いほぼ直線の道路であることから、通行車両の速度が高くなる傾向があり、交通事故が発生した場合には、重大事故につながる恐れがあります。

 これらのことから、主道路の通行車両の速度を抑制し、路線全体の安全性の向上を図るとともに、信号停止による待ち時間を削減し、交差点の円滑性の向上を目的として導入しました。

――事故率の変化などの効果はあったのでしょうか。

 最初に整備した「山の手環状交差点」においては、利用者から交差点の通過速度低下により、安全性が向上したという意見も多くいただいています。また、事故についても、重大な事故がなくなるなどの効果が確認されています。

※ ※ ※

 新たに交差点が建設されるタイミングで導入されることの多いラウンドアバウトですが、通常の交差点より広大な面積が必要となることから、都市部では土地の確保が難しいことがネックです。また、交通量が多すぎる交差点では渋滞の原因となることも懸念されます。

 今後も信号機は、交通社会の安全を保つうえで重要な役割を担う存在であり続けるでしょう。

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