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20年落ちでも新車価格のアキュラ「NSX-T」は買いか!?

くるまのニュース / 2020年8月20日 19時10分

打倒フェラーリ! ホンダがF1の世界でも熱かった時代に作った、快適かつ速いスポーツカー「NSX」。日本が誇るスーパースポーツの名車、左ハンドル仕様のオークション落札価格はいかに。

■バブル時代に2000万円のプレミア価格もついていた「NSX」

 1989年に発表され、1990年9月に発売されたホンダ「NSX」は、オールアルミモノコックボディを持つミッドシップレイアウトのスポーツカーだ。

「New Sportcar X」からネーミングされたことからもわかるように、このクルマに関するホンダの想いは強く、開発期間は6年以上といわれている。

●北米では「タルガ」仕様が人気

 NSXが発売された当時の日本は、バブル景気のまっただ中だった。BMW E30型3シリーズが「六本木のカローラ」といわれていた時代である。青山や六本木では路上駐車しているフェラーリ「328GTB」や、「348GTB」をよく見かけたものだ。

 そのフェラーリ328GTBが搭載していたエンジンは、270psの3.2リッターV型8気筒だった。これに対抗するためホンダは、「レジェンド」に搭載されていたV型6気筒のC27A型エンジンをベースに排気量を拡大。3リッター化し、SOHCからDOHC化した上で、可変バルブタイミング・リフト機構であるVTECを搭載。280psを発生させるのと同時に、低中回転域での使い勝手の良さも実現している。

 さらにボディは、軽量高剛性を目指して新開発された、アルミモノコックを採用。車重は1350kgとなっているが、これは排気システムをエンジンから離れた位置に置くために、リアオーバーハングを伸ばしたことによる重量増が加わっている。

 しかし、これによってエンジンルーム内の温度上昇を抑えることができ、補記類に対する悪影響を最小限にとどめることが可能となり、結果として現在に至るまでNSXの信頼性は高めるものとなった。

 またこのリアオーバーハングの長さは、高速走行時の走行安定性に大きく寄与している。筆者は当時、取材でNSXと328GTBを乗り比べたことがあるが、横風の強い東名高速道路での走行時、328GTBはふらつきを抑えるためにステアリング操作とアクセル操作に集中する必要があったが、NSXは極端ないいかたをすると鼻歌を謡いながら走れてしまうくらい安定していた。

 当時は、「スポーツカーなのにゴルフバッグが入るトランクがあるなんて」とか、「このスペースを潰せばもっと軽くなるのに」などという意見もあったが、実体験からそのトランクスペースはあくまで付随的なもので、真の狙いは横風対策だったのではないかと、自分はいまでも思っている。

 そんなNSXに1995年3月、追加されたのがタルガトップボディだ。AピラーとBピラーの間のルーフのみを取り外すことができるタルガトップは、ポルシェ911が最初に採用したもので、手軽にオープンエアを楽しむことができるという特徴がある。

 そのネーミングの由来は、タルガ・フローリオ耐久レース。このレースで5連覇を果たしたポルシェが、それを記念して作ったのがこの形式のボディだった。

 日本ではあくまでクーペボディが標準、タルガトップは追加モデルという扱いだったが、北米で販売されていたアキュラNSXは、1995年からタルガトップボディが標準モデル化されている。

 タルガトップ部分の取り外しは、左右のレバー操作のみで可能といたって簡単。また外したルーフは、通常トランクスペースなどに収納するのだが、NSXの場合には、リアキャノピー内部に収められるため、ユーティリティ性を損なわない、という特徴があった。

■走行距離3万kmのアキュラNSX-Tの落札価格は?

 さて、今回紹介するNSXは、RM Sotheby’sのオークションに登場した北米仕様車アキュラ「NSX-T」である。

 2000年式で、その年の65台目とシリアルナンバーがサイドシルに刻まれたこのモデルは、モナコブルーのボディカラーと、ブラックレザーの内装である。

●左ハンドルの6速MTもあり?

姿勢の良さを見れば、しっかりとメンテナンスされていることを容易にうかがい知ることが出来る2000年式アキュラ「NSX-T」姿勢の良さを見れば、しっかりとメンテナンスされていることを容易にうかがい知ることが出来る2000年式アキュラ「NSX-T」

 2000年式ということは、型式はNA2。エンジンはC30A型を3.2リッター化したC32B型が搭載され、トランスミッションは6速MTとなっている。

 当時の日本での新車価格は、消費税別で960万円強であった。この個体は小傷こそあるが、ボディのアンダーコートも美しく、内装のヤレも少なく、ゴム系部品にも劣化が見られないという極上の状態。

 走行距離は1万8491マイル(約2万95800km)と少ない。これまで所有したオーナーは2名ということも含めて、落札価格は6万ドル−7万ドル(邦貨換算約635万円−740万円)と予想されていた。

 しかしいざオークションが始まってみると、最終落札価格は9万3000ドル(邦貨換算約985万円)まで跳ね上がっている。そこには、いま手に入れておかないと、出品車両ほど状態のいいNSXは2度と出てこないではないか、という心理が働いたのではないかと思われる。

 ただ、新車価格を考慮すると、この9万3000ドルという落札価格は、それほど高額でもないともいえる。これがもし、アキュラNSXではなく、新車登録から25年以上経過していたホンダNSXであった場合には、さらに高額な落札となった可能性がないわけではない。

 というのもアメリカでは、JDM(ジャパン・ドメスティック・マーケット)人気が続いているからだ。それまでは現地のエイジアン、あるいはチカーノの一部で人気だったJDMも、映画『ワイルドスピード』によってメジャーとなり、25年ルール(登録から25年以上前のクルマはクラシックカーとして扱われ、排ガス試験の免除などのほか、右ハンドルのままでアメリカ国内を走れる)が適用される「80スープラ」や「R32型スカイラインGT−R」、「S13シルビア」、「FD3S RX-7」などが高額で取り引きされている。

 そのため、この2000年式NSX−Tがもし日本国内仕様車(右ハンドル)だった場合には、25年ルールが適用される2025年まで所有していれば、大幅に価値が高まる可能性があったかもしれない。

 自分で運転して楽しむ、という人にとっては25年ルール以前の右ハンドルのクルマは、公には乗ることができないために価値が低くなるが、投機目的でクルマを買う人にとってJDMで程度のいいクルマは、狙い目となるのだ。

 乗るためにクルマを買うのか、あるいは投機目的でクルマを買うのか。そのどちらが正しいのか、という判断は無意味だ。間違いなくいえることは、販売後20年経った、極上のアキュラNSX-Tを、スポーツカーがなくなりつつあるいま、新車価格と同等の値段で買えるのなら、それは間違いなくありだ、ということだろう。

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