なぜ出した? 販売わずか1年のクルマ!? 短命だった車5選
くるまのニュース / 2020年8月26日 6時10分
新型車の開発には莫大な時間とお金がかかります。そのためメーカーとしては、なるべく長く、たくさんの台数が売れることが理想ですが、なかなかそう簡単にはいかないものです。そこで、短命だったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
■短命なのは想定どおり!? そうでもなさそうなモデルもあり?
近年は世界的にモデルチェンジのサイクルが長い傾向があります。しかし、かつては4年というのがモデルチェンジのサイクルとして一般的でした。現在は、6年から8年、長いクルマでは10年以上もフルモデルチェンジされません。
新型車の開発には莫大な時間、労力、お金がかかるので、メーカーとしては、なるべく長く売りたいというのが本音でしょう。
しかし、長く売り続けると商品としての魅力が低下していくため、いつかはモデルチェンジや販売終了という選択に迫られます。
そこで、いろいろな事情で短命に終わったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「ライフ」
短命になるとわかっていて開発された2代目「ライフ」
1971年に発売されたホンダ初代「ライフ」は、大ヒットした「N360」の後継車としてデビューした、360cc時代の軽自動車です。
その後、ホンダは一旦軽自動車の製造から撤退しますが、1985年に550ccの初代「トゥデイ」を発売することで、軽自動車市場に復活。そして、1997年に2代目となる「ライフ」を発売します。
2代目ライフは2代目トゥデイとシャシやエンジンなど、主要なコンポーネンツを共有したトールワゴンタイプのモデルでしたが、わずか1年半ほどで生産を終了するという、異常なほど短命に終わります。
しかし、決して売れなかったわけでなく、1998年に軽自動車規格が変わり、ボディサイズが大きくなったため、短命となることは想定されていました。
そして1998年には新規格に対応した3代目が発売されたので、販売が途切れることはありませんでしたが、この1年半というわずかな期間のために、多くの部品を新規で開発したことは、驚かされます。
●ダイハツ「ソニカ」
志は高かったものの売れなかった「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツの新世代軽スペシャリティカー「ソニカ」は、すでに軽自動車市場ではトールワゴンが主流だったにも関わらず、1470mmに抑えられた低い全高によるスタイリッシュなフォルムが印象的なモデルです。
ターゲットを若い男女に設定して開発され、これまでにない軽スペシャリティカーを実現するために、ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減させる技術を採用することで、静粛性が高められています。
また、ドアの解錠や施錠、エンジンの始動と停止が可能なキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、装備も充実。
走りを重視した結果、搭載されたエンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみで、トランスミッションはCVTが組み合わされました。
パワーに余裕がある走りと、低い全高による低重心ボディ、ロングホイールベース化などにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立。
発売当時、実際にソニカの走りや品質は高く評価されましが、市場にはすでに軽スペシャリティカーのニーズが無く、販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に生産を終了し、後継車はありませんでした。
●トヨタ「ヴォルツ」
アメリカでは好評だったものの、日本では振るわなかった「ヴォルツ」
2002年に発売されたトヨタ「ヴォルツ」は、アメリカの若い世代をターゲットに開発された、クロスオーバータイプのSUVです。
トヨタとGMが共同開発し、生産もアメリカでおこなわれ、日本では輸入車として販売されました。
クーペとハイトワゴンを足したようなボディは、フロントバンパーからフロントフェンダー、サイドアンダーパネル、リアバンパーがボディ色とは異なるグレーに塗装され、SUVらしさを表現。
搭載されたエンジンは2種類の1.8リッター直列4気筒DOHCで、どちらも「セリカ」に搭載されていたスポーティなユニットです。
「Z」グレードには、最高出力190馬力を誇る「2ZZ-GE型」エンジンが積まれ、トランスミッションは4速ATに加え、6速MTも用意されていました。
アメリカでのセールスは好調でしたが、日本ではトヨタ車らしからぬデザインが受け入れられなかったのか、販売は低迷。発売からわずか1年8か月で販売を終了しています。
■いまとなっては激レアなモデルだが、見た人は多い?
●三菱「プラウディア/ディグニティ」
稀代のレア車ながら目撃例は多い「ディグニティ」
大ヒットしたわけではないのに知名度の高い三菱のセダンといえば、初代「デボネア」です。1964年に発売され、1986年まで1度もフルモデルチェンジされることなく22年間も販売された超ロングセラーとしても有名でした。
一方、三菱のマイナーなセダンとして頂点に君臨しているのが、「ディグニティ」と「プラウディア」です。
2000年に初代が発売され、ディグニティがショーファードリブンのリムジン、プラウディアが高級パーソナルセダンと位置付けられていました。
搭載されたエンジンは4.5リッターV型8気筒と3.5リッターV型6気筒の2種類で、ディグニティは4.5リッターのみを設定。
両車の多くは、三菱や関連会社の役員向けに販売され、一般のユーザーが購入したケースは非常に稀だったといいます。
そのため、わずか1年ほどで生産を終了。2012年に復活しましたが、日産「シーマ」と「フーガ」のOEM車でした。
一方でディグニティは宮家の公用車に採用されているため、非常に珍しいクルマにも関わらず、テレビのニュース映像などで見たことがある人は多いのではないでしょうか。
●スズキ「X-90」
ほぼコンセプトカーそのままのスタイルで登場した「X-90」
モーターショーに出展されたコンセプトカーが、ほぼそのままのデザインで販売されるケースがあります。
多くは来場者から好評だったことから販売に至ったといわれますが、実際はもともと販売する予定だったモデルがほとんどでしょう。
スズキ「X-90」も、ショーモデルがそのまま販売されたクルマでした。
1993年に開催された第30回東京モーターショーのスズキブースに、X-90というコンセプトカーが展示され、2年後の1995年に市販化を実現。
市販モデルの車名はそのままX-90で、同社のSUV、初代「エスクード」のラダーフレームに、Tバールーフの2シーターボディを架装して作られました。
ボディ形状はボンネット、キャビン、トランクとも、丸みを帯びた2ドアセダンのようなユニークなスタイルでしたが、エスクードがベースということもあり、SUVに分類されています。
搭載されたエンジンは1.6リッター直列4気筒のみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。駆動方式はパートタイム式4WDを採用しています。
X-90は海外でも話題になり、欧州などに輸出されましたが、日本では使い勝手が良くない2シーターSUVのニーズがなく、発売からわずか2年ほどで販売を終了。
さすがにスズキもX-90が大ヒットするとは考えていなかったと予想できるため、2年間のみの販売も想定内だったのかもしれません。
※ ※ ※
現在、日産「GT-R」と「フェアレディZ」は、どちらも発売から10年以上経過したロングセラーです。
フェアレディZはすでに新型が出ることを示唆する映像が公開されていますが、GT-Rについては新型登場の噂は、まったく聞こえてきません。
こうしたモデルが難しいのは、イメージが固まってきていることが挙げられます。
いい換えると、GT-Rは日本を代表するスーパーカーとして、フェアレディZはスタイルがアイコン化されているということです。
もし新型GT-Rを販売するとなれば、現行モデルのように再び世界が驚くような性能を実現する必要があり、フェアレディZも大きくスタイルを変えることなく、新しさを表現しなければなりません。
これは、ロングセラーならではの悩みでもあるのです。
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