派手さはないけど、みなぎるパワー! シブさが光る高性能セダン5選
くるまのニュース / 2020年8月28日 6時10分
現在、人気の低迷から数を減らしつつあるセダンですが、かつては各メーカーから数多くのセダンが販売されていました。そこで、外観は地味ながらもハイパワーなエンジンを搭載した高性能なセダンを、5車種ピックアップして紹介します。
■スポーツカー並の心臓を持つ高性能セダンを振り返る
近年、SUVやミニバンの人気が高まったのと逆に、販売台数が落ち込んでしまったのがセダンです。生産を終えたモデルも数多く、国内のセダン市場から撤退してしまったメーカーもあります。
一方、2000年代の初頭くらいまでは各メーカーがセダンをラインナップし、なかには高性能なモデルも数多く存在。
そこで、いまが狙い目なちょっと前の高性能セダンを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「マークX 350RDS」
惜しまれつつ消えてしまったスポーティセダンの「マークX」
スポーティさと上質さを併せ持つトヨタのミドルクラスセダンである「マークX」は、残念ながら2019年に生産を終了してしまいましたが、数少ないFRセダンとしての伝統を守ってきたクルマです。
最終モデルは2009年に登場した2代目で、エンジンは203馬力を発揮する2.5リッターV型6気筒と、トップグレードの「350RDS」には318馬力を発揮する高性能な3.5リッターV型6気筒自然吸気を搭載。全グレードとも6速ATが組み合わされます。
外観は精悍な印象のフロントマスクに、均整の取れた流麗なサイドビューが特徴です。
足まわりではフロントにダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクを採用し、前後重量配分をフロント54:リア46の理想的なバランスにすることで、FR特有の俊敏なハンドリングや卓越したコーナリング性能を高めていました。
2019年3月に限定350台が発売された「マークX GRMN」(第2弾)では、エンジンはスタンダードな3.5リッターですが、トランスミッションは6速MTを搭載し、サスペンションのチューニングと専用の外装パーツが装着されるなど、トヨタ謹製のチューニングカーとなっており、現在、中古車はプレミア価格で販売されています。
●日産「スカイライン 370GT」
大排気量自然吸気エンジンの魅力あふれる「スカイライン 370GT」
現行モデルの日産「スカイライン」は2013年に発売された13代目にあたり、2019年のマイナーチェンジではハイブリッドモデルにハンズオフ機能を採用した「プロパイロット2.0」が搭載され、シリーズ最高の405馬力を誇る「400R」が追加されるなど、先進性とスポーティさを併せ持つセダンとなりました。
そのひとつ前の世代である2006年に登場した12代目では、シリーズ最大排気量の3.7リッター自然吸気エンジンを搭載したモデルが存在。
2008年のマイナーチェンジで、それまでの3.5リッターV型6気筒エンジンを、「フェアレディZ」などと同じ3.7リッターV型6気筒エンジンに換装し、最高出力は330馬力を発揮。
出力の増大とともにアクセルに対してエンジンのレスポンスも向上させ、大排気量自然吸気ならではの豪快な加速が味わえます。
外観はフロントからリアまで流れるようなシルエットを採用し、質感の高い内装と相まって、スポーティかつプレミアムなセダンを演出。
足まわりはフロントにダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクを採用し、サスペンションアームやリンク類にアルミ素材を多用するなど、高い運動性能と優れた乗り心地を両立。
なかでも「Type S」グレードにはスポーツチューンドサスペンションを設定するなど、スカイラインの伝統であるスポーティセダンという一面を高めた仕様となっています。
●ホンダ「アコード ユーロR」
ホンダの真骨頂である高回転高出力エンジンを搭載した「アコード ユーロR」
1976年に3ドアハッチバックとしてデビューしたホンダ初代「アコード」ですが、後にセダンが追加され、代を重ねていくとアコード=セダンというイメージが定着しました。
そして、2002年に登場した7代目では6代目に続き、高性能な「ユーロR」がラインナップされ、新世代の「i-VTEC」エンジンを搭載。
2リッター直列4気筒エンジンは、最高出力220馬力を8000rpmという高回転で発揮するなど、当時のホンダエンジンの真骨頂である高回転・高出力な自然吸気を継承していました。
組み合わされるトランスミッションは6速MTのみとされるなど、硬派なモデルです。
外観では小ぶりな前後アンダースポイラーが装着されるに留まり、派手さはありませんが、内装ではレカロ製バケットシートを装備するなど、スポーティさを主張しています。
足まわりには前後ダブルウイッシュボーンを採用し、1390kgと比較的軽量なボディと相まって、高い運動性能も発揮。
ハイパワーなエンジンながら気難しさは皆無で、使い勝手のよい高性能モデルでしたが、この代を最後にユーロRはラインナップから消滅し、以降の国内仕様では高性能モデルは設定されていません。
ちなみに、6代目アコードのユーロRは、欧州では「アコード タイプR」として販売されていました。
■惜しまれつつ消えたセダンの最後を飾った高性能モデルとは
●スバル「レガシィB4 2.0GT DIT」
最後の高性能モデルとなってしまった「レガシィB4 2.0GT DIT」
2009年に登場したスバル5代目「レガシィB4」は、北米市場を意識してボディの大型化が話題となり、スポーティさよりも高級感のあるセダンへと変貌を遂げました。
一方、レガシィの伝統である高性能グレードも設定されており、「レガシィB4 2.5GT Sパッケージ」がラインナップされました。
搭載されたエンジンは最高出力285馬力を発揮する2.5リッター水平対向4気筒ターボで、トランスミッションは6速MTと5速ATが設定され、上質なハイパフォーマンスセダンに仕立てられています。
さらに、2012年にはシリーズ最強の最高出力300馬力を誇る2リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンを搭載した、「2.0GT DIT」が登場。
トランスミッションはリニアトロニック(CVT)を採用し、駆動方式はAWDで、ドライビングスタイルに応じて走行モードが選択可能な「SI-DRIVE」を標準装備。
足まわりはフロントがストラット、リアにマルチリンクを採用し、ビルシュタイン製ダンパーが装着されるなど、さまざまな路面状況でも安定した走りを実現しています。
なお、2014年に発売された6代目は、よりコンフォートな仕様となったため、ハイパワー車はこの5代目が国内で最後のモデルです。
その6代目も2020年6月22日をもってオーダー受付をストップし、レガシィB4は国内での販売を終了することになりました。
●三菱「ギャランフォルティス ラリーアート」
「ランエボX」のデチューン版ともいえる「ギャランフォルティス ラリーアート」
2007年に発売された三菱「ギャランフォルティス」は、高性能モデル「ランサーエボリューションX」のベースとなったセダンで、過激すぎないスポーティグレードの「ラリーアート」が設定されていました。
搭載されたエンジンは最高出力240馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボで、トランスミッションは「ツインクラッチSST」(DCT)を採用。
駆動方式はフロントヘリカルLSD+「ACD」(アクティブセンターディファレンシャル)+リア機械式LSDで構成される、3つの走行モードを選択可能としたフルタイム4WDのみです。
これはランサーエボリューションXと変わらない仕様ですが、よりコンフォートなテイストにセッティングされていました。
外観は空気抵抗の低減を図った専用フロントバンパーを採用しながらも、派手なエアロパーツは装着されておらず、まさに大人のためのスポーティセダンとなっています。
足まわりはフロントがストラット、リアがマルチリンクとされ、高いロードホールディング性能を発揮。
ランサーエボリューションXの影に隠れたかたちで目立たない存在でしたが、ポテンシャルが高いスポーティセダンとして評されました。
しかし、2015年に販売を終了し、ギャランの歴史も幕を閉じました。
※ ※ ※
現在、セダンとともに人気が低迷してしまったのがステーションワゴンです。しかし、2020年5月にはトヨタから170馬力を誇る2リッターエンジンを搭載した「カローラツーリング 2000リミテッド」を500台限定で発売すると、すぐに完売。
さらに、177馬力を誇る新開発の1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボを搭載したスバル新型「レヴォーグ」が、2020年内に発売予定となっているなど、ステーションワゴン復権に向けて動き出しました。
使い勝手が良く、セダンと変わらないドライビングプレジャーを有するステーションワゴンが、再び注目されそうです。
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