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203万円以上の新車が危険!? 7割の人が好きな新車臭 「シックカー症候群」の正体

くるまのニュース / 2020年9月2日 9時10分

新車を購入した人なら誰でも経験したことのある独特の「新車臭」は、数多くのドライバーに好まれています。実はこのニオイが健康被害に影響をもたらすといいます。どのような健康被害を及ぼすのでしょうか。

■ユーザーの7割近くが「好き」と答える新車のニオイ!実は健康被害も…

 新しいクルマには、新車臭とも呼ばれる独特なニオイがします。普段はあまり感じることのないニオイのため、強く印象に残っている人も多いでしょう。また、ドライバーのなかには、この新車臭を好む人も大勢います。

 過去に、ボルボ・カーズ・ジャパンでは、新車のニオイに関する調査をおこないました。調査対象は、これまで新車を購入したことのある20代から50代の各世代・各性別100名ずつとなる計800名です。

 調査のなかで、「新車のニオイが好きですか」と問われたところ、「とても好き」22%、「どちらかといえば好き」50.3%、「どちらかといえば嫌い」22.3%、「嫌い」5.5%という結果となりました。

 調査対象となる800名のうち、約7割以上の人が新車のニオイを好んでいることが判明しています。

 このように、数多くのドライバーから好まれている新車のニオイですが、実は健康被害が懸念されています。これについて、ニオイの専門家である「におい・かおり環境協会」は、次のように話します。

「新車のニオイに関する不調は、シックハウス症候群の要因とされる『VOC』がおもな原因です。

 揮発性の化学物質からきており、ニオイとは異なる管轄のため、詳しいことについてお答えすることができません」

 ニオイの管轄ではないというのは、一体どういうことなのでしょうか。

 まず、新車のニオイによる体調不良の原因は、住宅問題のひとつとして知られる「シックハウス症候群」の一因である「VOC(揮発性有機化合物)」にあるとされています。

 実際に、日本自動車工業会でも「車室内VOC(揮発性有機化合物)低減に対する自主取り組み」をおこなっています。

 VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)とは、常温で揮発しやすい有機化合物を指し、おもに「トリクロロエチレン」「テトラクロロエチレン」「ホルムアルデヒド」「トルエン」「ベンゼン」「キシレン」といった物質があげられます。

 これらの化学物質は、揮発しやすい(乾燥しやすい)、親油性に優れている(油汚れを落としやすい)といった特徴を活かし、塗料や接着剤などの溶剤として幅広く利用されており、これらの物質が発するニオイにより一部の人ではアレルギー反応を起こすことがあります。

 おもな症状は、頭が痛い、くしゃみが止まらない、頭がボーッとする、関節痛、発疹(痛み・痒みを伴う)、微熱、めまいなどです。

 これらの症状が新車のニオイで起こり得ることについて、一部の専門家の間ではシックハウス症候群に関連付けて「シックカー症候群」という名称でも浸透しています。

 シックカー症候群は、ニオイによる直接的な健康被害ではなく、揮発性有機化合物によるものがベースとなっていることから、ニオイの管轄外とされているのです。

 また、シックカー症候群は、運転中に症状を発症すると、正常な判断ができなくなる可能性が高くなります。

 前述の症状がそのまま進行すると、精神障害、眼科的障害、末梢神経障害、自律神経障害、消化器障害・免疫障害、皮膚炎・喘息、などの障害を引き起こすこともあります。

 したがって、運転中に体調不良や精神の不安定を引き起こすことで、集中力が散漫して万が一の事故にも繋がりかねません。

 さらに、新車以外にもシックカー症候群を起こしかねない状況がいくつかあげられます。

 大阪府立公衆衛生研究所の調べによると、気温が20度以上の狭く密閉された空間は、VOCが揮発しやすい状況を作り出すため、症状があらわれやすいという結果が出ました。

 そのため、気温が上昇する夏場の車内や暖房を効かせた冬場の車内には、くれぐれも注意が必要です。

 また、同研究所によるとシックカー症候群を発症しやすい状態の傾向として、203万円以上の価格帯におよぶ車両は、VOCの濃度が高いという結果が出ているのです。

 一定の価格帯以上のクルマは、内装に高級感を持たせるため、ウッドパネルや革シートなどを用いていることにより、接着剤を多用しており、VOCの含まれる率が高くなる傾向だといいます。

■各自動車メーカーからも、VOC対策への注意喚起が

 シックカー症候群の症状を抑えるためには、どういった対策に取り組むべきなのでしょうか。

 前述のとおり、シックカー症候群のおもな原因は、クルマの揮発性物質によるものなので、車内環境を改善することが重要になります。

 そのためには、「十分な換気をおこなう」「クルマのエアコンのフィルターを掃除して小まめに取り替える」「メーカーなどに使用化学物質について確認する」といった行動が重要です。

 とくに、揮発性の高い接着剤のニオイを取り除くためには、車内を乾燥させるのが効果的だといいます。

 天気のいい日に車内の換気をおこなう以外に、ぬるま湯で濡らしたタオルで車内全体を拭くのもニオイを除去に効果的で、市販されている光触媒スプレーの使用もおすすめです。

塗料や接着剤に含まれているVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)塗料や接着剤に含まれているVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)

 また、シックカー症候群は社会的な環境問題として数あるメディアでも取り上げられていることから、トヨタ・日産・ホンダをはじめとする国内メーカーでも、それぞれVOCへの対策が進められています。

 代表的なVOCの対策について、ホンダは次のように説明しています。

「VOCは、近年シックハウス症候群など人体に影響を及ぼすものとして注目されています。

 社団法人日本自動車工業会は、自主取り組み目標として、厚生労働省が定めたホルムアルデヒドをはじめとする13物質の室内濃度指針値を、乗用車については2007年度発売の新型車から、トラック・バスなどの商用車については2008年度発売の新型車から満たすことにしています。

 ホンダは、内装部品の素材や加工法、接着剤の見直しにより、ホルムアルデヒドやトルエンなどのVOCの揮発量を抑制することに加え、排ガス臭や花粉などの除去性能に優れた『高性能脱臭フィルター』の採用により、車室内の臭いや刺激臭を低減し、空気質を改善しています」

※ ※ ※

 ホンダのVOC対策で取り上げられていたように、厚生労働省でも室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定方法について基準を設けています。

 新車のニオイが気になる場合は、換気を徹底、タオルでの水拭き、光触媒スプレーの利用などにより気軽に軽減できるため試す価値はありそうです。

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