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「EVはまだ早い?」 日産「リーフ」月間1600台を販売 他社も猛攻勢のEV市場の現状

くるまのニュース / 2020年9月5日 7時30分

日本では「電気自動車=日産・リーフ」という印象があり、徐々に普及しています。しかし、それでも「電気自動車はまだ早い」という声も未だにあるようです。では、リーフをはじめとする電気自動車の現状はどうなっているのでしょうか。

■リーフ登場から10年。 日本のEV市場の現状とは

 初代モデルの発売から約10年が経とうとしている日産「リーフ」。現在でも、日本では電気自動車(EV)のインフラ整備や利用環境が整っているとはいえません。

 それでも、2019年では月間平均で約1600台を販売しており、従来のガソリン車やハイブリッド車と同じくコンスタントに売れているのです。どういったユーザーが購入するのでしょうか。

 リーフは、前述のとおり2010年に販売開始され、日本とアメリカを皮切りに欧州や中国市場でも展開されるグローバルモデルです。

 2019年には電気自動車として史上初となるグローバル累計販売台数40万台を達成するなど、発売した2010年から今日に至るまでEV市場を牽引し続けています。

 しかし、日本国内で電気自動車は決して広く普及しているとはいえません。

 国土交通省と経済産業省が発表した「xEV普及の考え方」によると、2018年時点でEVおよびFCVの国内での普及は1%未満と、まだまだ発展途上のジャンルです。

 また、2017年度の電気自動車全体での新車販売台数は2万4000台、従来車とそのほかの次世代自動車を合わせた割合では、全体の0.55%に留まっています。

 加えて、国内にある充電器の台数は、普通・急速を合わせて2万9971基となっており、中国の21万3000基、アメリカの4万5000基と比較すると、国の面積やクルマの台数の違いなどはありますが、大きく下回っている状況です。

 そのような状況下においてもリーフは堅調な販売台数を記録しています。

 日本自動車販売協会連合会によると、2019年には年間で1万9789台、月間平均で約1600台を販売。2020年は7月までに6963台(月間平均約1000台)を販売しており、コロナ禍においても健闘しています。

 では、まだまだ電気自動車の普及が発展途中の日本において、どのようなユーザーがリーフを購入しているのでしょうか。日産の販売店スタッフは以下のように話しています。

「販売台数には反映されませんが、試乗を希望されるお客さまは非常に多くいらっしゃるため、購入に関わらず電気自動車自体に関心をお持ちのお客さまは多いです。

 私もオーナーですが、バッテリー容量が小さいモデルでも、満タンまで充電すれば280kmを走行することができる点は評価でき、この点はお客さまからもご好評です。

 また、最近ではSA・PA以外でも商業施設やコンビニ、スーパーなどに急速充電機が設置されているので、以前よりも長距離ドライブでの不安が減っています。

 加えて、V2Hシステムを利用することによって、リーフに充電した電力を家の電気として使用することができます。

 これにより、災害時の停電にも対応できるため、関心を持たれるお客さまは年々増えている印象です」

※ ※ ※

 リーフには、バッテリー容量が40kWhと62kWhのモデルが設定されています。売れ筋は40kWhだといい、普段使いが多いのであれば容量が小さくてもこちらで十分だというユーザーが多いようです。

 また、販売店スタッフのコメントにもあった「V2H(Vehicle to Home)システム」も人気の要因だとしています。

 V2Hシステムとは、電気自動車、プラグインハイブリッド車が蓄えた電気を、家で使えるシステムのことです。

 利用するには、V2H専用機器の「EVパワーコンディショナー」を経由して、家のコンセントから電気出力する必要があります。

 このEVパワーコンディショナーは日産純正のもの以外にも、コンデンサを取り扱う企業からも購入することができます。

 日産によると、一般的な家庭の消費電力であれば、62kWhモデルのリーフで2日から4日分の電力がまかなえるとしています。

 仮に災害が発生して、ライフラインが途絶したとしても、リーフがあれば復旧まで問題なく電力を使用することが可能です。

 近年では、災害時の電源確保の用途として、日産をはじめトヨタやホンダなどが電気自動車やハイブリッド車、PHV車を被災地に貸し出す動きも見られ、電気自動車への関心も高まっています。

 しかし、電気自動車は購入時の車両価格がガソリン車やハイブリッド車よりも高額になるほか、出掛け先での充電時間を懸念するユーザーも多いです。

 従来のガソリン車やハイブリッド車であれば、燃料の給油に5分くらいで完了しますが、電気自動車の場合車種によるものの急速充電であれば、30分で80%という時間を要します。

 これらの車両価格や充電時間、前述の充電スポットの設置状況といった課題が日本での電気自動車の普及の妨げになっているのです。

■ホンダe、MX-30、アリア続々登場する新型EV。 2021年はどうなる?

 これまで国産メーカーの電気自動車を購入しようとすると、リーフか三菱「i-MiEV」しか選択肢がありませんでした。

 そういった電気自動車としての競合車が少なかったことも、リーフが支持されてきた要因のひとつです。

 しかし、2020年10月30からホンダ「ホンダe」という電気自動車が発売されます。

 同年8月27日から予約受付を開始していますが、ホンダeの登場はリーフの販売に影響するのでしょうか。日産の販売店スタッフは以下のように話しています。

「ホンダeは発表から日が浅いということもあり、お客さまから比較などのお話をまだいただいていません。しかし、ホンダeが登場しても、あまりリーフに影響ないと考えています。

 根拠としてはリーフのほうが価格が安く、電費も優れていることです。もちろんそれぞれのモデルに長所があるので、一概にどちらが優れているとはいえませんが、以上の点から差別化できていると思います」

 一方、ホンダeの予約を受けているホンダの販売店スタッフは次のように話します。

「ホンダeはデザインかつ機能面がこれまでのクルマと異なっていることもあり、注目されています。

 他社の電気自動車と比べると航続距離や価格で厳しい面もあるかとは思いますが、あくまでも都市型コミューターとしての用途がメインなため、そこを理解している人が検討されています。

 また、お客さまのなかにはあの外見や内装のディスプレイを気に入られて、『ガソリン車は無いのか』という声も出ております」

ホンダeは可愛らしいデザインや世界初のディスプレイなどほかの電気自動車とは一線を画す存在?ホンダeは可愛らしいデザインや世界初のディスプレイなどほかの電気自動車とは一線を画す存在?

 リーフとホンダeでは、スペックや価格面、使用用途が異なることから直接的な比較をする人は少ないのではないかという見解があります。

 一方で、国産自動車メーカーのEVパワートレイン担当者は次のように話します。

「2020年現在は、約10年掛けて作り上げた『電気自動車=リーフ』というブランドがあるため、販売台数に大きな影響はないと思います。

 しかし、マツダは2020年度中に『MX-30』、そして日産でも2021年中頃に『アリア』というSUVタイプの電気自動車が登場してきます。

 国内市場にある程度電気自動車の種類が増えてくると、自然に競争が激化してくるのではないでしょうか。

 また、テスラからは『モデルS』『モデルX』に加え価格を抑えた『モデル3』も出てきています。

 さらに、フォルクスワーゲン『ゴルフe』やプジョー『e-208』といったコンパクトな電気自動車も存在しています」

※ ※ ※

 電気自動車市場をけん引してきたリーフですが、果たしてこれからも電気自動車のトップを走り続けられるのでしょうか。ライバル勢の動きにも注目です。

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