西部警察に登場した日産の名車たち! 放水車「サファリ」にまつわる裏話とは
くるまのニュース / 2020年9月6日 9時30分
1979年から1984年にテレビ朝日系列で放送された刑事ドラマ「西部警察」は、いまなお多くのファンがいる人気作品です。各種カスタマイズが施された劇中に登場する車両も特徴的で、人気の要因となりました。今回は、劇中車両の開発を担当した福田正健さんに、当時のエピソードを聞きました。
■「特別機動車両」開発時のエピソードとは
2020年8月に、昭和の大スターのひとりである渡哲也さんが逝去されました。世代によって思い出はそれぞれですが、40代から50代にとっては、1979年から1984年にテレビ朝日系列で放送された「西部警察」で演じた大門圭介のイメージが強いと思います。
西部警察の内容や今で再現不可能な爆破シーン、カーチェイスなどはさまざまなメディアで報じられていますが、ここではクルマメディアならではの情報をお届けします。
それは番組に華を添えた「特別機動車両」の存在です。
筆者(山本シンヤ)は、当時日産プリンス自動車販売の「特車課」に所属し、これらの車両の開発を担当した福田正健さんに製作の経緯や苦労話などをお聞きしました。
今回は「サファリ」、そして「スーパーZ」、「マシンRS」についてです。
――西部警察パートI第104話で「サファリ」が登場して放水銃が話題となりましたが、このアイデアはどこから?
福田:石原プロは「派手にしたい」、でも私は「銃は使いたくない」と平行線でしたが、そこで浮かんだアイデアが「放水銃」でした。消防車で使われているので嘘ではないし、武器にもなる、「これだ!!」と。
――福田さんのモヤモヤしていた「リアリティの追及」がマシンXから進化したと?
福田:放水銃は消防車の部品を使えばいいし、屋根が開くシステムは元々特装車で前例がありましたので、つくりやすかったです。より本物らしさを演出するためにタンク車も製作しました。ただ、このサイズだと放水は1分が限界でした。
――その後、西部警察パートIIでは第15話でフェアレディZがベースの「スーパーZ」、スカイラインRSがベースの「マシンRS」が登場しましたが、見た目も含めて派手になっていきました(笑)。
福田:スーパーZのガルウイングは石原裕次郎さんの乗っていたメルセデスベンツ「300SL」からの発想……と記される記事もありますが、実際のところは私がフェアレディZのTバールーフを見て、「これなら構造的にガルウイングにしやすい」といった技術的な側面からのアイデアでした。
――ちなみにガルウイングの下にヒンジドアを残した理由は何でしょうか?
福田:メルセデス300SLのガルウイングは高いサイドシルがあるからカッコいい。仮にドアをすべてガルウイングに置き換えると「何だか嘘っぽくなるよね」と。威圧感もあるしドアを掻い潜って乗る姿もカッコ悪いです。
――ガルウイングは「走りながらショットガンを打てる」というメリットもあります。
福田:恐らく、通常のドアよりアクションするのに都合はよかったと思っています。
――スーパーZの特殊装備は少なめですが、そのひとつにボンネットの催涙弾があります。
福田:これは石原プロが「どうしても何か撃ちたい」というので仕方なく装着し、「設定はそちらで考えてください」といったら催涙弾になりました(笑)。ただ、偽物が出てくるストーリー(パートIII第14話)ではマシンガンに変更されていましたが……。
――ちなみにスーパーZのベースとなるフェアレディZは日産プリンスの販売チャンネルでは扱っていないモデルです。福田さんはプリンス自販の方ですが、どのように対応を?
福田:おっしゃる通りフェアレディZは扱っていませんので、マシンXの製作を担当した倉田自動車に日産自動車からオーダーがあったそうですが、彼らは「製作はできるがアイデアがない」と私の所に依頼が来ました。そのためフェアレディZはプリンス自販としてではなく、私個人が引き受けた仕事ですね。
――「マシンRS」はどのようなアイデアが盛り込まれたのでしょうか?
福田:基本は「マシンX」の後継モデル……という考え方ですが、この頃は私だけでなく同じ課の若いスタッフと一緒に企画をおこなっています。ちなみにエアロパーツなどは彼のアイデアから生まれたモノです。
――マシンXと比べると、外観はノーマルからの変更点が多いですが、これは?
福田:マシンXのときはスカイラインの拡販も担っていたので「外観を変えない」という考えでしたが、マシンRSはもっと見栄えの部分をアピールしようと。当時はフロントスポイラーなどの市販車用品が出始めた頃で、時代の流れもあったので採用しました。
――エアロパーツは社外品と純正品を上手にコーディネイトし、AME製のアルミホイールも含めて、当時のドレスアップをけん引する存在だったと聞いています。
福田:フロントスポイラーをはじめとするエアロパーツ開発は外注のメーカーさんにお願いしました。その後、パートIIIで3台体制になるときにルーフに装着する大型のパトライトの透明なカバー製作もお願いしています。
――マシンRSは助手席部のコンピューターに加えて後部座席にもパソコンも装着。操作をおこなう後席は横向きレイアウトを採用しましたが、これも福田さんのアイデアですか?
福田:マシンXの時代はコンピューターのサイズも大きく、クルマへの搭載はできませんでしたが、マシンRSの時代は家庭用のパーソナルコンピューターが出始めたタイミングだったので搭載しようと。
とはいっても、いまと比べるとサイズは大きいので普通に置くと収まらない。それなら「横にしてしまえ」というわけです(笑)。
――映像を見ると、マシンRSのボディカラーは銀/黒から赤/黒に塗り直されている事がわかりますが、その経緯は?
福田:確かにスカイラインRSのイメージカラーは赤/黒でした。経緯はわかりませんが、恐らくクルマの手配が間に合わなかったので、塗り直したのではないでしょうか。
――リアリズムの追及については?
福田:この頃は「空想」と「リアリティ」の着地点を付けたいと思う気持ちはありました。つまり「冷静に考えればありえないけど、もしかしたら……」というバランスです。
じつはマシンRSには各アイテムの裏にスペックなどを記載した「製造プレート」が装着されています。放送では見ることはできませんが、これも「本物だ!!」と思わせる演出のひとつです。
実車を見たときに、これらを見て「おっ」と思っていただけたら、私としては大成功です。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
本物のGTR GT-3をストリート仕様に!度肝を抜いたMoontechの超絶カスタム、週末のFENDERISTにも出展
レスポンス / 2024年7月20日 7時30分
-
トヨタの新「カローラ“GT1”」誕生!? ド迫力リアスポ×4本出しマフラー採用! 「GRモデル」専用の“パフォーマンスエアロ”発売
くるまのニュース / 2024年7月12日 13時10分
-
日産「新型スカイライン」発売へ 歴代最強の「匠“手組み”エンジン」×「旧車風デザイン」採用! 「スゴく特別なスカイライン」今夏登場
くるまのニュース / 2024年7月10日 7時10分
-
日産の「”最上級”フェアレディZ」実車公開に反響多数!「さらにイケメン」「私も見たい」ド迫力進化の”4本出しマフラー”「フェアレディZ IMPUL」登場
くるまのニュース / 2024年7月5日 12時30分
-
「覆面パトカー」どうやって見分ける? 「クラウン」だけではない!? 「走り方」や「ナンバー」にも注目! 共通する特徴とは
くるまのニュース / 2024年6月29日 9時10分
ランキング
-
1日本のにんにくは中国産が9割。「国産にんにく」と「中国産にんにく」の違いとは? 3つの産地で比較
オールアバウト / 2024年7月26日 21時5分
-
2マヨネーズにつけて食べると消化酵素が3倍増…キャベツの栄養を爆上げするのは「千切りorかじる」どちらか
プレジデントオンライン / 2024年7月26日 9時15分
-
3イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
ねとらぼ / 2024年7月26日 16時5分
-
4日本人に多い「近視」 子どもは特に要注意、放置すると及ぶ“危険性” 眼科医が解説
オトナンサー / 2024年7月26日 7時10分
-
5「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか ワクチンを打っている人、打ってない人の違い
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)