乗ってわかった ミシュランの最新スタッドレス「X-ICEスノー」の進化とは
くるまのニュース / 2020年9月20日 8時30分
今シーズン、日本ミシュランタイヤから新たに登場したスタッドレスタイヤが「X-ICE SNOW(エックスアイス・スノー)」だ。2020年2月に北海道で開催された試走会で、その進化ぶりを体感してきた。
■アイス制動性能は9%、スノー制動性能は4%向上
ミシュラン「X-ICE SNOW(エックスアイス・スノー)」は、2020年6月に発表、8月から販売が開始された最新スタッドレスタイヤだ。
その特徴は、アイス路面だけではなく、降雪時のスノー路面、さらに雪が溶けたあとのウエット路面やドライ路面など、日本の冬に登場するさまざまな路面の環境下において、高いレベルの性能を発揮することを目的として開発されたことだ。
「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」とは、すべての性能を犠牲にしないというミシュランのタイヤづくりの考え方なのだが、今回登場したエックスアイス・スノーという名前からも、あらゆる冬道でパフォーマンスを発揮するという、その思想が見て取れる。
サイズラインナップは、14インチから22インチまで計84サイズ、価格はオープンとなる。乗用車用のほか、SUV用の「エックスアイス・スノーSUV」も用意している。
※ ※ ※
まずは新スタッドレスタイヤに搭載された技術を見ていこう。
コンパウンドには、あらたに「エバー・ウインター・グリップ・コンパウンド」が採用されている。
これは従来品よりも剛性の高いポリマーベースの材質をコンパウンドに配合、ベースコンパウンドとの摩耗差により細かい凹凸を作り出すことで、エッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を高めている。さらに雪上では雪踏み効果を発揮、摩耗しても接地面の凹凸は再生され続けるため、高い性能が長く続くという。
トレッドパターンも変更された。新世代「Vシェイプトレッドパターン」は従来よりもサイプの長さを28%増加することでエッジ効果を強化、アイスグリップ性能を向上しながら、シャーベット路面やウエット路面で効率よく雪や水を排出し、安定したグリップを発揮する。
また、プラットフォームよりも深く刻まれた「フルデプスサイプ」により、履き替え時までトレッドパターンを維持。さらにエバー・ウインター・グリップ・コンパウンドを溝底部まで採用することで、スタッドレスタイヤの使用限界末期(50%摩耗)になってもトレッドブロックがしなやかさを保ち、アイス性能が長期間継続する。
これらの効果により、従来品の「エックスアイス3+(プラス)」と比較して、アイスブレーキング性能は9%、雪上ブレーキング性能は4%、それぞれ向上しているという。
■スノー路面でも安定した走りが可能
試走会が開催されたのは北海道・士別市にある「交通科学研究所 士別テストコース」。ここは、ミシュランのスタッドレスタイヤ開発の拠点となる場所だ。
屋内のアイスドームでは、VW「ゴルフ」に装着した新製品「エックスアイス・スノー」と従来モデルで、アイス制動性能を比較した
まずは屋内ドームにて、アイス路面のブレーキング性能を確認する。試走車はVW「ゴルフ7」で、タイヤサイズは205/55R16。30km/hまで加速してフルブレーキングをおこない、新タイヤと従来タイヤの制動距離の違いを試す。
ここでは3回ずつテストしたが、どれも新タイヤのほうが手前で止まった。従来のエックスアイス3+も、他メーカーのスタッドレスタイヤに比べてもアイス性能はいまだに高いレベルなのだが、それでも新しいエックスアイス・スノーのほうが必ず手前で止まる。
加速/制動ともに新タイヤのほうが氷を掴んでいるのが体感できるほど。「ギュッ」いう感覚が力強くなっている。アイスブレーキング性能は9%向上ということだが、体感的にはそのデータよりも、もっと止まる感覚があった。
次にスノースラロームコースでハンドリング性能を試す。試走車はレクサス「RX」で、タイヤサイズは235/55R19だ。
新タイヤは、とくに横グリップが従来品よりも向上しているのがわかる。ESCを解除して左右にクルマを振ってみても、安定志向はかわらず、わかりやすいグリップ力で安心してドライビングが可能だ。グリップ限界を超えても滑り出しが穏やかで、常に安心して運転できる。
一般道での走行機会もあった。試走車はトヨタ「クラウン」で、タイヤサイズは215/55R17になる。
2月の北海道、それも雪の多い士別市の一般道といえば、圧雪路ばかりの印象があるかもしれないが、じつはそこにはさまざまな路面が登場する。
テストコースを出てしばらくはスノー路面だが、国道239号線に入るとシャーベット路面、日が当たっている路面はドライだったりウエット路面だったりと、本当に目まぐるしく変化していく。また日陰には、ウエット路面に見えるブラックアイスバーンが隠れていたりと、さまざまな路面が登場する。
そんななかでもエックスアイス・スノーを履いたクラウンは、安定した走行を続ける。路面状況が目まぐるしく変わろうとも、アイスバーンがあろうとも、急にグリップが抜けたり急に電子制御デバイスが働いたりするようなことがなく、常に安心して運転ができた。
※ ※ ※
ここ数年、「オールシーズンタイヤ」の人気が高まっている。とはいえ日本では、ウインタータイヤのなかではまだ全体の10%に満たず、その販売本数のほとんどはスタッドレスタイヤになっている。
スノー路面ならばともかく、アイス路面ではスタッドレスでないと止まることができない。とくに北海道など降雪地域の場合には、ウインターシーズンは必ずスタッドレスタイヤの装着が必要になる。
ミシュランといえば、一般的には「海外のタイヤメーカー」というイメージを持つ人が多いが、じつはスタッドレスタイヤの研究・開発拠点は群馬県・太田市にあり、テストコースはここ北海道・士別市にある。つまり、ミシュランのスタッドレスタイヤは、日本の路面を徹底的に分析、研究して誕生している、日本生まれのタイヤなのだ。
じつはスタッドレスタイヤを日本ではじめて販売したのもミシュランだ。いまから38年前、1982年に登場した「XM・S100」がその歴史のはじまりとなる。
そんな38年間の歴史の積み重ねから生まれた新スタッドレスタイヤ、エックスアイス・スノーは、どんな冬の路面にも対応するオールマイティさが魅力だ。
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