国内向け新型車開発なぜ減少? 海外のお下がりばかり販売される理由とは

くるまのニュース / 2020年9月21日 7時30分

日本の自動車メーカーの新車開発は、かつては日本市場向けの仕様を優先して開発し、それをベースに海外向け仕様を開発するという流れでした。しかし、近年は日本向けに開発されたモデルは少なく、海外市場向けに作ったものを日本仕様に修正して売ることが珍しくありません。いったいなぜなのでしょうか。

■日本メーカーでも日本市場メインで開発できない事情とは

 かつて、1990年代前半頃までは日本メーカーの作るクルマはまず日本向けを作り、その一部を変更して海外展開するのが一般的でした。海外で売っている車種も、日本で売るクルマをベースに作るのが当然だったのです。

 しかし、いま日本で販売されている車両を見ると、日本市場をメインとして開発されたモデルは少なく、海外市場向けに作ったものを日本仕様として仕立てて売ることが珍しくありません。いったいなぜなのでしょうか。

 たとえばホンダは現行「シビック」や「CR-V」そして「アコード」など、海外デビューからかなり遅れて日本で発売されたモデルが多くありますが、それらはまず海外向けに開発されたモデルと考えていいでしょう。

 日産でも「シルフィ」や「ティアナ」など、海外ではフルモデルチェンジした新型が発売されているにもかかわらず、日本は従来モデルが継続販売されていた例もありました。海外市場を優先しているからです。

 いっぽうで、軽自動車や一部のコンパクトカー、そしてミニバンなど、いまなお日本市場だけをターゲットとして開発されているクルマもあります。その違いはどこにあるのでしょうか。

 その理由を考えるときにヒントとなるキーワードは「日本市場の縮小&偏り」そして「効率化」といっていいでしょう。

 かつて、最盛期だった1990年には日本の乗用車販売台数(登録車+軽自動車)は、年間約777万台を販売しました。その後日本の自動車市場は縮小し、520万台程と3割程度に減少。

 いっぽうで海外での販売は増え続け、日本メーカーの海外依存度は高まっています。いい換えれば、日本よりも海外を重視せざるを得ない状況になってきたのです。

 そこで悩ましいのが日本と海外での求められるニーズの違い。単に車体の大小のみならず、5ナンバーサイズにこだわりを持つ人が多い日本に対し、海外では小型車でも広めの車幅が好まれるなど、要求に違いが出てくるのです。

 そうなると、効率よくクルマを作って売るには「日本市場最重視」とはいっていられません。

 自動車メーカーは、日本で売るモデルのなかでも海外で多く販売が見込めるモデルは海外の要求に応じた設計を実施。

 トヨタ「カムリ」やホンダ「アコード」、そしてスバル「レガシィ」など車体サイズが大きなセダンはその典型といっていいでしょう。

 コンパクトカーでも、マツダ「CX-3」、トヨタ「ヤリスクロス」や日産「キックス」など、昨今流行りのクロスオーバーSUVなどは全幅が広めでその傾向にあります。

 いっぽうで、軽自動車、ハイトワゴンなど実用性重視のコンパクトカー(トヨタ「ルーミー」やスズキ「ソリオ」など)、そしてミニバンは日本市場最重視の設計。

 その理由は明確で、日本のみ、もしくは日本主体の販売展開となっているからです。

 海外販売を考えていない(海外販売していても重視していない)から、日本のユーザーのニーズに合わせたクルマ作りが可能なのです。

 日本発信のモデルとそうでないモデルとの大きな違いは、日本で大きな需要があるか否か、日本販売の比率が大きいかそうでないか、といっていいでしょう。

 軽自動車、実用性重視のコンパクトカー、そしてミニバンは日本で売れるモデルかつ海外で需要がない(少ない)から日本だけを見た設計なのです。

■日本向け開発でも海外で評価された日本車とは?

 そんななか、トヨタには珍しい例があります。それは現行モデルの「カローラ」です。

 基本設計は海外展開モデルと共用しつつ、日本専用として車体サイズを小さく(全長は海外モデルに対してセダンで135mm、ワゴンで155mmと大幅に短縮)するなど、日本向けに大きな変更を施しているのが特徴。

 日本のユーザーをきちんと考えているからにほかなりません。

海外でも評価されるトヨタ「アルファード」海外でも評価されるトヨタ「アルファード」

 ところで昨今は、日本向け開発ながら海外に発信した意外なモデルもあります。

 大成功といえるのがトヨタ「アルファード」や「ヴェルファイア」。そもそも同車は日本向けの商品展開でしたが、まず先代が東南アジアなどに並行輸出されてスマッシュヒット。それを知ったトヨタが現行モデルから正規輸出すると、さらに人気が盛り上がりました。

 購入するのは富裕層ですが、なかには「お金はいくらでも払うからさらに上級モデルを」という声も多くあり、それがレクサスのミニバンである「LM」の登場につながったというわけです。

 また新型「ハリアー」も日本の消費者のニーズだけを反映させて作られたクルマですが、先代はおこなわれなかった北米展開をスタート。「ヴェンザ」という車名で販売されます。

 開発者は「日本発信のSUVが現地でどこまで受け入れられるかは読めない」といいますが、販売計画は日本(3000台/月)よりも多い5000台/月というから驚きます。

 さらに「北米以外の海外展開も計画中」とのこと。詳細はまだ明らかにできないようですが、先代の並行輸出モデルがそれなりに売れた東南アジアなどが対象になると思われます。アルファードやヴェルファイアと同じ流れになりそうです。

 また、意外なことに新型のホンダ「フィット」も日本発信の色が濃いモデル。

 開発者は「先代は海外市場からの声が濃く反映されたモデルで、日本最重視とはいえなかった。しかし新型は、日本のユーザーにベストと思ってもらえるように企画。それを『これが日本のコンパクトカーだ!』として世界に広めようと考えている」といいます。

 具体的には開放的なインテリアの雰囲気などに日本らしさを織り込んでいます。

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