ボートなどのけん引は普通免許で可能? 保険や車検、高速料金はどう違う?
くるまのニュース / 2020年10月19日 11時50分
ボートやトレーラーハウスなど趣味の道具をクルマでけん引する姿を見かけることがありますが、後ろに別のトレーラーを連結してけん引する場合、普通免許で運転できるのでしょうか。また、サイズや重量など、けん引について紹介します。
■けん引免許がなくてもトレーラーを引っ張ることができる?
高速道路などで、ボートや水上バイクなどのPWC(パーソナルウォータークラフト)、寝泊まりできるトレーラーハウスなどをけん引しているクルマを見かけることがあります。
趣味の大きな道具をクルマに連結して運ぶ場合、普通免許でけん引できるのでしょうか。
普通免許でボートやトレーラーハウスなどをけん引することは可能です。教習所に通って、けん引免許を取得する必要はありません。
ただし、これには条件(制限)があり、「トレーラーとけん引車を連結した全長が12m以下であること」「トレーラーの総重量(本体の重量+積載できる最大重量)が750kg以下であること」「幅が2.5m未満または高さ3.8m未満」と定められています。
そのため、ボートが大きかったり、重量が750kgを超えるトレーラーを引っ張るなど条件を超える場合は、けん引免許を取得する必要があります。
ここで注意したいのが制限重量の750kgという部分です。これは引っ張りたいものの単体の重さではなく、ボートやボートトレーラーに積み込む荷物の重さ(燃料も含む)のトータルが750kg未満でないといけないということです。
たとえば、ボートを載せるためのボートトレーラーの一般的な重量は230kg程度といわれているので、荷物や燃料などを含めてボートの重量が500kg以下なら、普通免許でけん引できるということになります。
また、トレーラーをけん引するクルマにもさまざまな条件が設けられており、トレーラーの重量によっては、けん引車の重量が1500kg以上必要なケースもあります。
けん引が可能な走行性能とパワーが備わった車種でないと、けん引することはできません。
トレーラーの大きさや重量がオーバーする場合は、前述のようにけん引免許が必要になりますが、けん引免許を取得するためには、満18歳以上、両眼で0.8以上の視力、色彩識別能力、深視力(遠近感や立体感、奥行きなど)などの取得条件があります。
現在ではけん引免許取得コースを用意する教習所もあり、普通免許を所持していれば学科が免除され、技能教習が合計12時間、費用は13万円からといったところになっています。
いままでは、ダンプやキャリアカーなどのドライバーが取得するイメージが強かったけん引免許ですが、最近では大型ボートやキャンピングカーなどの需要が高まっている関係で、以前よりは身近な免許になってきているようです。
けん引免許を取得するのが難しい場合は、普通免許でけん引できるサイズと重量のボートやトレーラーハウスを探すほうが手っ取り早いかもしれません。
■保険や車検、高速料金はどうなる?
普通免許でけん引できるトレーラーは、エンジンがなくても道交法上では「クルマ」扱いとなります。
つまりトレーラーにも独自のナンバーが必要になり、「自動車損害賠償任意保険(自賠責)」への加入も義務付けられています。
トレーラーハウスをけん引するスバル「アセント」
登録する際は、積載できる総重量とけん引時の全長×幅×高さによって3種類に区分されます。
・軽自動車登録:全長3.4m×幅1.48m×高さ2.0m以下・最大積載量350kg
・小型自動車登録:全長4.7m×幅1.7m×高さ2.0m以下・トレーラー本体が規定する最大積載量
・普通自動車登録:全長12.0m×幅2.5m×高さ3.8m以下・トレーラー本体が規定する最大積載量
乗用車と同じく区分によって車検の長さが変わり、軽登録は2年ごと、小型&普通登録は初回2年で以降1年ごととなります。
ちなみに自賠責保険は加入が義務付けられていますが、任意保険はけん引するクルマに付帯されることから、車検証にけん引するクルマを登録しておく必要があります。
手続きは乗用車と一緒ですので、当然ながら車庫証明もないと車検には通りません。
以上を踏まえると、できるだけ安く済ませるなら、軽登録のトレーラーに積載可能なボートやPWCを選ぶ必要があります。
とくに水上スキーなどのPWCは、トレーラー本体の重量にプラスしてPWC本体、燃料、オイル、バッテリーの総合計が350kg以下に収まる必要があります。
これらのほかに、実際にトレーラーをけん引して高速道路を走行するために注意すべきこととして、ETCが挙げられます。
ETCを利用する場合、「けん引装置あり」にETCをセットアップしなおす必要があります。
高速道路の料金は、けん引するクルマ単体の区分よりひとつ上のクラスの走行料金が適用され、普通乗用車なら中型車料金になります。
また、軽登録のトレーラーに350kg以上のボートやPWCを搭載した場合は、過積載として違反の対象になってしまいます。
加えて、許容重量をオーバーすると、運転の仕方次第では横転の可能性も高まり、保険が適用されなくなる恐れもあります。
けん引するトレーラーには、正しいサイズと重量のものを積載することが大切です。
※ ※ ※
自分でけん引する場合は、好きなタイミングでボートやトレーラーハウスなどを運べるのは大きな魅力だといえます。
趣味の幅がぐっと広がるけん引に、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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