パガーニが『ミシェル・ヴァイヨン』で激走! AMG製V12サウンドに酔いしれる【映画の名車】
くるまのニュース / 2020年10月2日 8時10分
レースをテーマにした映画は数多いが、テンポの良さや人間模様、そしてなにより荒唐無稽なカーアクションシーン満載で、カーマニアでなくとも楽しめる作品が『ミシェル・ヴァイヨン』だ。リュック・ベッソンが脚本を務めた本作では、パガーニ「ゾンダC12S」の登場シーンが必見である。
■クルマの美しさがよく伝わる映像美
今回は、モータースポーツと正面から向き合った作品を紹介しよう。フランスを代表する映画監督兼プロデューサーのリュック・ベッソンが、ル・マン24時間レースを目指すレーサーたちを、ヒロイックかつスタイリッシュに描いたレーシング・アクション作品『ミシェル・ヴァイヨン(2003年公開・フランス)』である。
この作品は、フランス生まれのベルギー人漫画家、ジャン・グラドンが描いている同名の人気コミックを原作としたオリジナルストーリー。
原作シリーズは、1957年にフランスで初登場して以来、これまで60巻以上が刊行され、ヨーロッパを中心に世界的ロングセラーを記録してきた。とくにフランス人にとって、主人公ミシェル・ヴァイヨンは国民的ヒーローなのだ。
ミシェル・ヴァイヨン(サガモール・ステヴナン)は、天才的なテクニックを持つレーシングドライバー。父アンリがチームオーナーを務める「ヴァイヨン・チーム」とともにラリー界を席巻していた。
ところが、積年の宿敵「リーダー・チーム」が企てたと思しき策略に嵌り、ミシェルが弟のように可愛がっていたデーヴィッドが、謎の事故死を遂げてしまう。
そして、ヴァイヨン・チームは次回のル・マン24時間の出場を発表する。一方、リーダー・チームも5年ぶりにル・マンへ復帰することになったが、そこには両チームの確執、そして愛憎渦巻くドラマが待ち受けていた……。
レース映画の金字塔『栄光のル・マン』と同じく、実際に2002年のル・マンに2台のLMPマシンをエントリーさせて撮影したことでも知られるこの作品は、ヴァイヨンの乗る「ローラB98/10ジャッド」と、リーダー・チームの「パノスLMP1ロードスター」が文字通りの死闘を繰り広げるほか、冒頭のラリーシーンではプジョー「206WRC」をベースに外観を改装したマシンが縦横無尽に駆け巡る。
でも今回特筆すべきは、ミシェルのプライベートカー、という設定のパガーニ「ゾンダC12S」である。
亡きデーヴィッドに代わって、自らヴァイヨン・チームに加入を迫った未亡人、そしてこの作品におけるヒロインとなるジュリー(ダイアン・クルーガー)の掌で両目を塞がせたミシェルは、誰もいない深夜のサーキットで、無謀ともいうべき全開アタックを敢行する。
ストーリー展開上では極めて重要ながら、いささか荒唐無稽というほかないこのシーンだが、ブルーメタリックのパガーニ・ゾンダは、管楽器のようなV12サウンドも相まって、実にファンタジックに映る。
リアリティよりも映像美、そして自動車美にこだわったともいわれるこの作品を、ある意味もっとも端的に示していると思われるシーンは必見だ。
●PAGANI ZONDA(パガーニ・ゾンダ)
AMG製V12をミッドに搭載するパガーニ・アウトモビリの市販車。1999年のジュネーブショーで最初のモデルである「C12」が発表され、以来、「C12S」「C12S7.3」「F」へと進化。394psだった最高出力も、Fでは602psまで高められた。Fのサーキット仕様車である「R」を進化させた「R EVO」をさらにチューニングした「Revolution」では、実にその最高出力は802psにまで達している。
「MICHEL VAILLANT/ミシェル・ヴァイヨン」
公開年:2003年
上映時間:104分
監督:ルイ・パスカル・クヴレア
出演:サガモール・ステヴナン、ダイアン・クルーガー、ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ
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