プレミアムコンパクトSUVの大本命 メルセデス「GLA」と「GLB」 選ぶならどっち?
くるまのニュース / 2020年9月24日 11時50分
2020年6月25日にフルモデルチェンジされて日本に上陸したメルセデス・ベンツのコンパクトSUV「GLA」。それと同時に、ブランニューモデルの「GLB」も登場している。同じプラットフォームを用いた2台のコンパクトSUVだが、それぞれに特徴がある。4歳と2歳の子どもを持つモータージャーナリスト、岡本幸一郎氏はGLAとGLB、どちらに心動かされるのだろうか。
■スタイリッシュなGLAと スクエアなボディを持つGLB
2020年6月、2世代目となるメルセデス・ベンツのコンパクトSUV「GLA」と、ブランニューモデルの「GLB」が同時に日本に上陸した。
日本導入モデルはかなり絞りこまれていて、GLAはディーゼルの4WD「GLA200d 4MATIC」1グレードのみ、GLBはディーゼルの2WD「GLB200d」と、今回試乗したガソリンの4WD「GLB250 4MATIC スポーツ」の2グレード、という具合に選択肢が差別化された。車両価格は順に、502万円(消費税込、以下同)、512万円、696万円となる。
GLBのガソリンモデルのみ価格が突出しているように感じられるが、じつはAMGラインやナビゲーションパッケージが標準装備されるので、実質的な価格差はそれほど大きいわけではないことをあらかじめお伝えしておこう。
GLAとGLBは、プラットフォームをはじめ機構面での共通性が高いことは想像どおりだが、見るからにそうであるようにそれぞれ異なる個性が与えられている。
数値的な部分を述べると、全長は235mm、全幅は10mm、全高は80mm、ホイールベースは100mm、それぞれGLBが大きい。
いまや9車種にまで増えたメルセデス・ベンツSUVラインナップのなかで、エントリーモデルとなるGLAは、コンパクトSUVとしては一般的なパッケージだ。
初代はベースであるハッチバックモデルの「Aクラス」との差異が小さく、あえて選ぶ意味が見えにくかった面もあるが、2代目と進化した新型GLAは見てのとおりだ。車高が高められ、車格が上がったような印象を受ける。スタイリッシュなクーペSUVのフォルムを持つ。なお、初代に比べると全長が10mm、全幅が45mm、全高が95mm、ホイールベースが30mm拡大している。
一方のGLBは、限られたサイズのなかでスペースユーティリティを高めるべくボディ形状を角ばらせ、車高を高めて3列シートが収まるようにされている。
この2台を選ぶ上でカギとなるのは、やはり3列目シートの有無であることはいうまでもない。
GLBの3列目シート。確かに着座姿勢は窮屈だが、それでも7人乗車できるのはGLBの大きなメリットだろう
その肝心の3列目は、身長168cmまで対応と伝えられるとおり、それほど広くはなく、着座姿勢も窮屈ではあるが、日本の成人男性の平均+αの体格である筆者が座っても、頭上にはかろうじて空間が残る。
3列目だけでなく、2列目の居住性もGLBのほうが高い。そして以下で述べる走りの味付けの違いもあり、後席に人を乗せることを重視するならば、やはりGLBを選ぶのが賢明といえる。
■2人の未就学児を家族に持つ筆者ならどっちを選ぶ?
ドライブフィールもそれぞれの性格にあわせて差別化されている。GLAはややひきしまった足まわりにより、俊敏なハンドリングとされているのに対し、GLBは乗り心地がソフトで、動きもゆったりとしている。
メルセデス・ベンツ「GLA200d 4マティック」の走り
ドライビングプレジャー重視のGLAに対し、GLBはコンフォート性を重視しているようだ。ただし、電子制御ダンパーにより、快適性を確保しながらも姿勢変化も抑えられており、スポーツモードを選ぶとそれなりにシャキッとした走り味にはなる。
メルセデス・ベンツ「GLB250 4マティック スポーツ」の走り
ところで、ディーゼルはやはり重いのか、試乗車のディーゼルモデル「GLA200d 4MATIC」とガソリンモデル「GLB250 4MATIC Sports」の車両重量の差は、わずか50kgの差しかない。重さの影響はほぼ無視できる範囲として、GLBのガソリンとディーゼルが選べるエンジンの選択肢はどちらもよくできていて甲乙つけがたい。
GLA200d 4MATICに搭載された最高出力150ps/3400-4400rpm、最大トルク320Nm/1400-3200rpmを発生する新世代ディーゼルの出来は本当に秀逸で、欲しいと思ったトルクを思ったとおりに生み出してくれる。
一方のGLB250 4MATIC Sportsに搭載されたガソリンエンジンも、224ps/5500rpm、350Nm/1800-4000rpmの最高出力・最大トルクと、なかなか魅力的なスペック。
こちらも低回転域からのトルクフルな走りに加えて、踏み込んだときには爽快な吹け上がりを味わうことができる。日本仕様のGLBの上級モデルに、ディーゼルではなくあえてガソリンを組み合わせたのは、むろん経済性ではディーゼルが有利なのはいうまでもないが、より上質なドライブフィールを味わってほしいという意図が見える。
※ ※ ※
さて、2人の未就学児を家族に持つ筆者ならどれを選ぶか?
GLAでも家族は十分に乗せられるが、乗せたいのは家族だけじゃない。SUVにはやはり利便性を求めたくなるので、それほど頻繁に使うわけではないにせよ、できればいざというときのため3列シートがあったほうがありがたいと、かねてから思っている。
ゆえにあまり迷わずGLBを選ぶ。それに乗り味もよかった。走る楽しさはGLAが上回るとはいえ、GLBだって十分。優れた快適性と正確な操縦性は申し分ない。
そして、本当はGLBに、欧州では設定があるディーゼルと4WDの組み合わせがあればそちらを選びたいところだが、2WDでもそれなりに走ってくれることに期待して、今回は試乗していないGLBのディーゼルモデルをおそらく選ぶことになりそうだ。
むろんGLBがニューモデルとして追加されたからこそ、こうしてGLAとの大胆な棲み分けも可能になったことと思う。
GLAの刷新とGLBの追加により、SUVのラインアップがますますパワーアップしたメルセデス・ベンツの、いまや国内販売においてじつに約25%を占めるようになったというSUVの販売比率は、この魅力的な2台の登場によりさらに高まりそうだ。
メルセデス・ベンツ新型「GLA」(写真右)とニューモデル「GLB」(左)
GLA200d 4MATIC
・車両本体価格(消費税込):502万円
・全長:4415mm
・全幅:1835mm
・全高:1620mm
・ホイールベース:2730mm
・車両重量:1710kg
・エンジン形式:直列4気筒ディーゼルターボ
・排気量:1949cc
・駆動方式:4MATIC(4WD)
・変速機:8速AT
・最高出力:150ps/3400-4400rpm
・最大トルク:320Nm/1400-3200rpm
・燃費(WLTC):16.5km/L
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤサイズ:235/55R18
GLB250 4MATIC Sports
・車両本体価格(消費税込):696万円
・全長:4650mm
・全幅:1845mm
・全高:1700mm
・ホイールベース:2830mm
・車両重量:1760kg
・エンジン形式:直列4気筒ターボ
・排気量:1949cc
・駆動方式:4MATIC(4WD)
・変速機:8速AT
・最高出力:224ps/5500rpm
・最大トルク:350Nm/1800-4000rpm
・燃費(WLTC):12.0km/L
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤサイズ:235/45R20
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