真夏にダメージを受けたボディを蘇らせる! ボディコーティングの基礎知識
くるまのニュース / 2020年9月26日 11時50分
夏の厳しい紫外線などで、クルマのボディは知らぬ間にダメージを受けている。そこでリフレッシュ&メンテナンスするための効果的なコーティングと、その後のケアを紹介しよう。
■ひとくちにコーティングといっても、その内容はさまざま
愛車はいつもキレイな状態で乗っていたいもの。とくにボディの輝きは、昼間はもちろんナイトランのとき、大きな違いが出る。そのボディの輝きを保ってくれるのが、コーティングなのだが、ひと口にコーティングとはいっても、いろいろな種類があるので、わかりやすく解説しよう。
●たくさんあるコーティングメニュー、どれを選べばいい?
そもそもクルマのボディは、ボディカラーに塗装をし、さらにクリア塗装をして出荷されている。そのため新車の時には、輝きがあって美しい。
ところが、その輝きはだんだん失われていってしまう。その原因は、紫外線による影響と、細かな傷にある。
まず紫外線だが、これは塗装の膜、塗膜を変質させる特性がある。そのため輝きを長期間保ちたいなら、屋根付き駐車場で保管するか、ボディカバーを掛けておく、というのがベターな方法となる。
ただし、単純なカバーを掛けると、内部に入り込んだ砂粒などがボディカバーによってボディをこすり、かえって塗膜に小傷を付ける原因にもなりかねない。ボディカバーには、小傷を防ぐため内側に起毛処理などがされているものもあるため、そういったものを選ぶという工夫も必要だ。
また小傷だが、これが付くもっとも多い要因は、洗車にある。洗車をするとき、いきなり洗剤を使ってボディをこすると、砂ぼこりなどが塗膜を削ってしまい、その細かな傷が輝きを失わせてしまう。洗車をするときは、まず最初に洗車場に装備されているスチームや、水道水を使って砂ぼこりなどをしっかり流し落としておき、その上で洗車作業に取り掛かる、という手順を守りたい。
しかし、そういう工夫をしていても、時間が経てばボディの輝きは失われていってしまうもの。その期間を延ばすためには、やはりコーティングをしたほうが確実だ。では、コーティングにはどんな種類があるのだろうか。
●油脂系コーティング
まずよく知られているのが、油脂系コーティングだ。これは簡単にいえば、固形のワックスのこと。だれもが簡単に施工でき、価格も数千円と安いという大きなメリットがあるかわりに、熱に弱く、雨が続けば流れ落ちてしまうという面もある。施工後効果が期待できるのは、10日ほどだ。
●樹脂系コーティング
油脂系コーティングより本格的となるのが、樹脂系コーティングだ。ポリマー樹脂を使って塗膜の上にもう1枚膜を作ることで、ボディを守ってくれるものだ。
カー用品店などでも市販されていて、DIY施工も可能であり、ガソリンスタンドなどでも施工してくれて、価格は1万円程度。ワックスと比べると被膜は強いが、やはり紫外線には弱く、洗車していると徐々に被膜が弱ってくるため、効果はおよそ3か月から6か月程度となる。
●ガラス系コーティング
次に効果が高いのが、ガラス系コーティングだ。これはポリマーを使った樹脂系コーティング剤にガラス繊維を配合したもので、耐候性がより高くなり、硬度もそこそこあるため、傷から塗膜を守ってくれるという効果も期待できる。施工価格は数万円からとなるが、保護効果は6か月から1年程度が期待できる。
●ガラスコーティング
さらに塗膜の保護効果が高くなるのが、ガラスコーティングだ。高級車ではよく施工されるのがこのコーティングである。
専門店での施工が必要となり、価格も10万円程度と高くなるが、クリア塗装の上にガラスの被膜を作るため、熱に強く、種類によっては硬度も9Hレベルが期待できる。
よくスマートフォンのガラス製保護カバーで9Hと書いてあるものがあるが、それの傷の付きにくさを想像してもらえば、保護効果の高さが理解しやすいはず。
さらにガラスコーティングは、紫外線に対しても強いという特徴があり、約3年程度、保護効果が期待できる
●セラミックコーティング
現在、もっとも保護効果が高いといわれているのが、セラミックコーティングとなる。これは施工価格が数10万円と高いかわりに、UVカット効果や耐候性の高さ、熱に対する強さがあり、保護効果が持続する期間も5年以上といわれている。
■コーティング後のメンテと、クルマとの相性とは?
コーティングには色々な種類が存在しているが、仮にコーティングをしたからといって、あとはもうなにもしなくていい、というものではない。
いかにコーティングをしていても、クルマを使っていればどうしても汚れというのは付着するもの。そのときには、それぞれのコーティング剤にマッチした、手入れセットを使ってメンテナンスをおこなうことが必要だ。またメンテナンスをすることで、保護効果が持続しやすくなる。
●ガラスコーティングがすべてではない!
美しいボディの輝きを取り戻すためには、コーティングの前にポリッシャーによる下地作りが重要だ
さらにいえば、コーティング、とくにガラス系やガラスコーティングは、クリア塗装が傷付いていない新車時で施工したほうが、強い輝きを維持しやすくなる。
すでに小傷がたくさんついているボディは、ポリッシャーを使って磨いても、新車時と比べるとベースとなるクリア塗装の質が低いために、輝きが鈍ってしまいがちだからだ。
逆に、純正ボディカラーを大事にしたいクラシックカーの場合には、下地処理のためにポリッシャーを使うコーティングを掛けることはご法度である。このように頻繁に作業する手間が必要になるとはいえ、油脂系ワックスをマメに掛けたほうがいい、という場合もある。
またボディの状態がリセールに大きな影響をもたらすスーパーカーやスーパースポーツになると、新車時にコーティングではなくフルラッピングを施工するケースが増えている。飛び石などによる傷はコーティングでは保護できないため、ラッピングのほうがオリジナルの塗装を守ってくれるのである。
リセールの良い無難なボディカラーを選んでおいて、ラッピングで派手なカラーリングを楽しむというオーナーも多い。
もうひとつ、コーティングといえば水玉ができる撥水効果を想像する人も多いが、いまは撥水だけではなく、親水効果をウリにしているものもある。
親水系コーティングは、とくにボディカラーが黒など濃色系の場合にメリットがある。撥水効果の高いボディコーティングの場合、直射日光下で駐車をしていると、水玉がレンズのような作用を施し、局所的にボディが熱を持って染みができやすいからである。
そのため、屋外駐車場に停めている濃色系ボディのクルマには、撥水効果の高いものよりも、水玉はできるがボディに馴染みやすい疎水系、もしくは水玉ができないくらいボディに馴染む親水系のコーティングを施したほうが、染みを防ぎやすくなる。
ボディコーティングを選ぶときには、こういったさまざまな特性から、自分の目的と条件、愛車のコンディションや予算にピッタリなものを探し出すようにしたい。
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