新型フェアレディZとアリアが再起の鍵? ピンチの日産を救う2台の役目とは
くるまのニュース / 2020年9月27日 7時30分
2020年は、日産が巨額の赤字を出したことが大きなニュースとして報じられました。一方、電気自動車「アリア」とスポーツカー「フェアレディZ」が2021年中頃に登場することも赤字同様にさまざまなメディアで報じています。今後の日産を占う2台のモデルには、どのような役目があるのでしょうか。
■日産は本当にピンチ? 鍵を握るのはZとアリアか
「日産は破綻するかもしれない」と思っている人が少なくないと思う。
実際、2019年度決算を見ると新型コロナの影響無しにもかかわらず6700億円という巨額の赤字を出しています。
アライアンスを組むルノーと三菱自動車だって日産に勝るとも劣らない赤字決算で、絶体絶命というイメージすら漂う。ところが日産社内の雰囲気は悪くないという。
なぜか。おそらく復活に向け希望の持てるロードマップなどが出来ているのだと思います。
今を凌げば何とかなるということで、確かに私達のような自動車専門家から見ても、20年前は絶望的だったが、現在の日産は魅力的な新車群を持っています。
だからこそ日本政策投資銀行が日産への融資(1800億円)を決めた際、日本政府は1300億円の保証をしたのかもしれません。
その日産、当然ながらすぐに発売出来るクルマを持っていない。一方、可及的速やかに新しさを打ち出さないと、全体のムードは盛り上がらないです。
急遽考えたのが、電気自動車「アリア」とスポーツカー「フェアレディZ」なのでした。
考えて欲しい。どちらも発売は2021年の夏以降とアナウンスされてます。普通ならこんな早いタイミングでのお披露目など考えられません。
鋭い人なら「デジャヴみたいですね」。日本語で書けば既視感です。
20年前、ゴーン体制になった日産は、リバイバルプランで縮小均衡策をおこなった。
同時並行で「GT-R」とフェアレディZという「走り」のクルマを復活させ、さらに電気自動車という新しいタネをまいている。
実際、10年前の日産で話題の主役だったのはGT-Rと「リーフ」でした。
そして今回はフェアレディZとアリアです。
再び走りと環境というまったく違うタイプのクルマを日産のイメージとして打ち出してきたから面白い。
ふたつの路線、どちらが日産復興の原動力になるだろうか。
発表したときの反応を見ると、圧倒的にフェアレディZ優勢。ネットのアクセス数などでスコアを付けるなら10対1くらいになると思う。
クルマ離れの時代といわれながらも、やはりカッコ良いスポーツカーの人気が高いということなのでしょう。
10年前の「GT-R vs リーフ」、話題性では環境のリーフが優勢でした。時代が変わったのか。今や日産の復興はフェアレディZに掛かっているという声も内外から出てます。
フェアレディZを切り込み隊長に、「シルビア」など走り優先の戦略を取るべきか。
確かに日産のDNAは何かと聞かれたら、どんな車種であっても高い走行性能を期待する声が出てきます。
フェアレディZのようなスポーツカーであり、「スカイライン」的な走りの良い乗用車です。
サファリラリーで大暴れした「ブルーバード」や、いち早くターボを採用した「セドリック」も優れた性能をアピールしていました。
リーフの販売台数が伸び悩んだのは、環境を前面に打ち出したからであり、日産らしさを感じさせられなかったからだと考えます。
もう少し「楽しさ」というクルマの奥行きを訴求出来ていたら、違った答えになっていました。
アリアも走る楽しさをしっかり持っていれば(それをアピールすることも重要)、きっと日産らしいクルマになると思います。
■アリアとZは切り込み隊長役!?
5年先の自動車マーケットが確実に読めれば苦労しない。さまざまな状況から考えると、やはり明日の日産を支えるのは現実的な技術であるe-POWERです。
もう少し具体的に書くと、日本市場では次期型「エクストレイル」や次期型「ノート」です。
ただ今お披露目しちゃうと現行モデルが売れなくなってしまうが、フェアレディZやアリアなら問題無し。
電気自動車×SUVとして2021年に登場する「アリア」
ということでこの2モデルに期待されるのは、本命となる動力性能と燃費を高い次元で両立させるe-POWER勢が出てくるまでの切り込み隊長役です。
フェアレディが20世紀的なクルマの走る楽しさを。アリアで21世紀的なクルマの走る楽しさを前面に打ち出せたなら、日産らしさも際立ってくると考えます。
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