出る時期間違えた!? ヒットしなかったけどイケてるホンダのSUV5選
くるまのニュース / 2020年10月6日 6時10分
現在、日本のみならず世界的に高い人気を誇っているのがSUVです。国産メーカー各社ともSUVを販売していますが、なかでもホンダは1995年に発売した初代「CR-V」以来、数多くのSUVをラインナップしています。そこで、過去に販売されたホンダのSUVのなかから、ヒットしなかったものの記憶に残るモデル5車種をピックアップして紹介します。
■悲運な結果となったホンダのSUVを振り返る
ホンダは1995年に自社生産で初となるSUVの初代「CR-V」を発売し、大ヒットを記録。現在、CR-Vは海外でヒットを続けており、国内でも「ヴェゼル」が好調です。
この初代CR-V発売以前からホンダはSUVの販売をおこなっており、CR-V以降は数多くのSUVをラインナップしてきました。
そこで、ヒットに至らなかったものの記憶に残るホンダのSUVを、5車種ピックアップして紹介します。
●クロスロード
これこそ出たのが早すぎたSUVといえる「クロスロード」
ホンダは1990年代初頭に巻き起こった「RVブーム」の頃、自社でRVの生産をおこなっていなかったことから、いすゞとイギリスのローバーグループと提携し、本格的なクロスカントリー4WD車のOEM提供を受けていました。
その1台が、ランドリーバー「ディスカバリー」のOEM車である、「クロスロード」です。しかし、販売は良好とはいえず、1995年には供給が終了し、1998年に販売を終えました。
それから9年後の2007年に、2代目「ストリーム」をベースにしたクロスオーバーSUVとして、2代目クロスロードが発売。
2代目は全長4285mm×全幅1755mm×全高1670mmと、比較的コンパクトながら広い室内を実現したことで、3列シート7人乗りを実現していました。
外観のデザインは、随所に角を落としたような意匠を採用した直線基調で、アウトドアギアのような機能的なSUVらしさを表現。
エンジンはストリームと同じ最高出力140馬力の1.8リッター直列4気筒もしくは150馬力の2リッターを搭載し、駆動方式はFFと4WDが設定されました。
スタイリッシュで手頃なサイズの7シーターSUVとして、今なら売れる要素しかないのですが、当時は販売が低迷したため発売から4年も経っていない2010年に生産を終了。
生産中止した後に中古車の人気が高くなるなど、完全に出るのが早すぎたといえるモデルです。
●HR-V
スタイリッシュなフォルムながら3ドアが仇となった「HR-V」
ホンダは大ヒットした初代CR-Vに続く次の一手として、コンパクトカーの「ロゴ」のシャシをベースにしたクロスオーバーSUVの「HR-V」を発売。
1998年に登場したHR-VはCR-Vよりもコンパクトなサイズとされ、ステーションワゴンタイプの3ドアボディに大径タイヤを装着し、外観は伸びやかなサイドビューとより乗用車に近いスタイリッシュなフォルムとなっています。
搭載されたエンジンは最高出力125馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒VTECと、105馬力を発揮する1.6リッターの2種類の仕様を設定。駆動方式はスタンバイ式の4WDのみです。
当時は斬新なスタイルで話題となったHR-Vでしたが、ワゴンボディにもかかわらず3ドアのみだったことは大きなマイナスポイントで、CR-Vほどは人気となりませんでした。
そこで、1999年には5ドアモデルが追加され、2001年にはVTECエンジンの2WDモデルを追加するなど、バリエーションを拡充しましたが、2003年には2ドアモデルの販売を終了し、2005年には4ドアモデルも生産を終了。
実質的な後継車は2013年に発売されたヴェゼルで、海外ではヴェゼルがHR-Vの名で販売されています。
●Z
メカニズム的には意欲作だったもののヒットしなかった「Z」
1998年10月に導入された軽自動車の新規格に合わせ、軽SUVの「Z」を発売しました。
大きな特徴として、自然吸気またはターボの660cc直列3気筒エンジンを、後部座席床下に横倒しで縦置に設置するユニークなレイアウトを採用し、4速ATのトランスミッションとビスカスカップリング式センターデフを組み合わせた4WDが採用されました。
この駆動系のレイアウトのメリットとして広い室内空間と、理想的な前後重量配分である50:50を実現しています。
また、大径の15インチタイヤの採用と195mmもの最低地上高を確保することで、悪路走破性も高められました。
外観はボクシーな印象のトールワゴンに近い意匠ですが、しっかりとSUVらしい力強さが感じられ、内装もフルフラットも可能なシートアレンジなど、使い勝手の良さを追求。
しかし、3ドアのボディでは広い室内にも関わらず乗降性に不便な印象は避けられず、凝った設計によって車重も960kgから970kgと当時としてはヘビー級で、販売は低迷してしまいます。
その後、モデルチェンジすることなく2002年に生産終了し、後継車はありませんでした。
■デカすぎて売れなかったSUVとは!?
●ホライゾン
「CR-V」の登場以前、ホンダのRVラインナップを支えた1台の「ホライゾン」
前述のとおり、ホンダは1990年代初頭にいすゞと提携し、OEM車の提供を相互におこなっていました。
1993年10月にいすゞ「ミュー」をベースにした「ジャズ」を発売し、同年11月に初代クロスロードが登場、そして1994年に2月にいすゞ2代目「ビッグホーン」のOEM車である「ホライゾン」を発売しています。
ホライゾンのベースとなったビッグホーンは、いすゞのフラッグシップモデルで、大型のステーションワゴンタイプの5ドアボディを、ラダーフレームに架装した本格的なクロスカントリーSUVです。
全グレードともイギリスのロータスが足まわりのチューニングを監修した「ハンドリング バイ ロータス」とされ、搭載されたエンジンは最高出力200馬力の3.2リッターV型6気筒ガソリンと、最高出力125馬力の3.1リッター直列4気筒ディーゼルを設定。
駆動方式はシンプルな構造で信頼性と耐久性に優れたパートタイム4WDシステムを採用し、トランスミッションは4速ATを基本とし、ディーゼル車には5速MTが用意されました。
内容的にはビッグホーンと同一ですが、RVの販売はいすゞブランドが強く、ホンダブランドでは販売的に成功しませんでした。
その後、1996年にマイナーチェンジをおこない、エンジンが一新されますが、1999年にいすゞからのOEM供給終了となって、販売を終了。
ちなみに、北米では1996年からアキュラ「SLX」として、同じくビッグホーンのOEM車が発売されました。
●MDX
さすがに日本では巨大すぎて売れなかった「MDX」
ホンダは2001年に北米のニーズに合った大型SUVのアキュラ初代「MDX」を発売しました。カナダ工場で生産された「オデッセイ(日本名ラグレイト)」のシャシをベースに開発され、日本ではホンダ「MDX」の名で2003年に輸入車として販売。
外観は動物のサイをモチーフにした力強いデザインで、タフなSUVをイメージさせる3列シートのステーションワゴンタイプです。
北米ではミドルサイズとされていましたが、ボディサイズは全長4790mm×全幅1955mm×全高1820mmと日本車離れした大きさで、エンジンは260馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒を搭載。
トランスミッションは5速ATが組み合わされ、駆動方式はフルタイム式とパートタイム式の両方の長所を併せ持つ、ホンダ独自の4WDシステム「VTM-4」を採用しています。
ラグレイトとともに日本に輸入されたMDXは、さすがに大きすぎて日本の道路事情には合わず、とくに駐車場や市街地ではかなり気を使うサイズだったことから販売は低迷。
また、車重2030kgとかなりの重量級で、カタログ燃費が7.8km/L(10・15モード)と、あらゆる数字が日本での使用に対して厳しい状況でした。
MDXは日本で受け入れられませんでしたが、北米ではプレミアムSUVとして一定の人気があり、2020年10月14日に4代目となる新型MDXが発表される予定です。
※ ※ ※
SUV人気はまだまだ続きそうな勢いで、各メーカーから続々と新型モデルが発表されています。
また、海外メーカーでは、ジープ「グランドワゴニア」やフォード「ブロンコ」といった、往年の名SUVが復活する予定で、大いに話題となっています。
今後は、日本におけるミニバンや軽ハイトワゴンと同様に、SUVが乗用車のスタンダートになる日も近いのかもしれません。
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