台風や豪雨によるクルマの被害が急増! 災害時に愛車を守る対策とは?
くるまのニュース / 2020年10月10日 14時10分
近年、集中豪雨による被害は拡大しており、いつ豪雨に遭遇してもおかしくない状況になっています。台風や豪雨被害から愛車を守るために事前にできることとして、どのようなことがあるのでしょうか。
■雨量増加で浸水や土砂災害の被害が拡大中
近年、豪雨や梅雨前線がもたらす長雨の影響で、山に近い地域では土砂災害が発生したり、大きな河川の増水や氾濫により、多くの家屋や建物が浸水する被害が相次いでいます。
2019年は、5月、6月、8月に九州地方で台風や豪雨による被害が発生し、西日本でも8月の台風10号による豪雨被害、9月には関東地方でも台風15号による豪雨や暴風被害、10月には台風19号、21号による甚大な被害が報告されました。
また2020年7月には熊本県を中心に、九州地方や中部地方などで記録的な大雨となり、全国で多大な被害を発生させた「令和2年7月豪雨」は記憶に新しいところです。
この豪雨では家屋だけでなく、約6300台ものクルマが水害を受けたといわれています。
また2020年9月の台風10号は上陸前に勢力が弱まり最悪の事態は逃れましたが、一時は記録的な勢いを持った台風として、早い段階で気象庁から特別警報が出されました。
10月に入って暑さはやわらぎ、さわやかな秋の風が吹くようになりましたが、海水温度が高い状態が続けば大型台風が発生する可能性があります。
また台風の進路から離れた地域(とくに台風の東側)でも、その影響で豪雨や暴風などが発生しやすいとされています。
気象庁のサイト内の「台風に伴う高潮」によると、台風に伴う風が「吹き寄せ効果」と呼ばれる海岸付近の海面上昇を引き起こすとのことです。
具体的には1気圧低いと、海面は1cm上昇すると試算されており、台風の勢力が980hPa程度を平均とすると、さらに強い950hPaもの勢力を誇る台風が来たときは、30cmも海面が上昇する計算になります。
また昨今では、河川の増水や氾濫が引き起こした浸水や土砂災害も増えており、河川が氾濫して自分のクルマが被害に遭うという事態も考えられます。
人間だけでなく、クルマにとって安全な保管場所(駐車場)を探すのは容易ではなく、事前に対策を考えておく必要がある地域も多くなっています。
そこで、中古車販売店のスタッフに、台風や豪雨のときのクルマへの対処法を聞いてみました。多くのクルマを扱うプロは、どのような対策をしているのでしょうか。
「基本的には、少しでも高台にあるモータープール(在庫車両の保管場所)を契約しています。また近くに河川がある場合は、別の屋内駐車場に高額なクルマから分散して避難させるなどで対応しています。
暴風予報がある場合は、飛来物への注意も必要だと考えています。看板やゴミ箱などが風に飛ばされればクルマを傷つける可能性もありますので、在庫車の周辺にはできる限り物を置かない、出入り口に浸水を防ぐための土のうを準備することもあります」
※ ※ ※
前出の中古車販売店のスタッフスタッフは、大雨や河川の増水による浸水被害に加え、次のような点も指摘しています。
「過去の経験で意外に多かったのが、周辺住宅から飛んできた物干し竿による被害です。また、たいていのマンションは1階に駐車場がありますが、高層階のベランダから物干し竿が落下してクルマの窓ガラスを直撃し、修理を頼まれたこともあります。マンションの駐車場を利用している人は注意したほうがいいかもしれません」
半地下の駐車場やカーポートを設置している場合も、浸水や強風による倒壊被害などを考慮する必要があるそうです。
■クルマを避難させるか? カバーで保護するか?
一般的なユーザーがクルマを台風被害からクルマを守る方法としては、どうするのがいいのでしょうか。
「シャッター付きの屋内駐車場がベストではありますが、1番いいのは商業施設などの立体駐車場へクルマを事前に非難させておくことです。1日駐車しておいても数千円で済みますし、上層階に停めておけば河川の氾濫や高潮など心配もありません」(中古車販売店スタッフ)
万が一に備えて、近隣の立体駐車場を事前にチェックしておきたいところです。
台風接近時は事前に立体駐車場にクルマを避難させることが有効
また、早めに立体駐車場にクルマを移動させておくことで、クルマへの被害を心配する手間が省け、自分や自宅の被害を最小限にとどめる対策に専念できるメリットもあります。
「浸水の心配がない自宅や駐車場でクルマを移動させない場合は、ボディカバーを使用するのもいいといます。その場合は、風によってカバーが外れないようにロープなどで固定したいところです。
カバーのバタつきによるボディ表面への擦り傷が心配な人は、いらない毛布などをクルマに被せた上からブルーシートなどで覆うのもよいと思います」(中古車販売店スタッフ)
ブルーシートなどはホームセンターや100円ショップでも入手可能ですし、クルマ以外にもさまざまな用途に使えることから、複数枚備蓄しておくといいかもしれません。
ただし、大切なクルマを守るためとはいえ、台風が直撃している真っ只中での移動は控えたほうが安全です。
移動中に飛来物でケガをする可能性もありますし、移動中の道路が冠水するかもしれません。まずは自分の命を一番に考えて行動しましょう。
※ ※ ※
もうひとつ事前にできる準備といえば、「車両保険」に加入することです。
自動車保険会社チューリッヒによると、任意保険に加入している人のうち、車両保険にまで加入している人は全体の43.8%程度だというデータがありますが、車両保険では台風や豪雨などの天災による被害に対して、契約した保険金額を上限に保険金が支払われることになっています。
ちなみに、地震や津波などの場合は別途「地震特約」が必要になります。
対人・対物だけの任意保険料と比較して、車両保険まで加入すると年間で数万円高い出費となりますが、住宅や駐車場の位置が被害に遭いやすい地域にある場合や、高額なクルマに乗っている人は、車両保険へ加入することが台風・豪雨対策のひとつになるといえます。
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