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あの「ハマー」もまもなく登場! 消えたアメ車の名前が続々と復活している理由

くるまのニュース / 2020年10月7日 11時50分

世界的にコロナ禍に見舞われた2020年だったが、フォード「ブロンコ」やジープ「グランドワゴニア」など、ここにきて相次いで、過去にあったクルマの名前が復活している。もうすぐ「ハマー」も電気自動車(EV)になって登場する予定だ。なぜいま、昔の車名が続々と復活しているのか、考えてみた。

■「昔の名前で出ています」復活したアメリカ車の車名

 2020年7月、フォードは1996年に生産を終了していたSUV「ブロンコ」の復活を発表。2021年初頭に生産を開始するという。また、同年8月にFCAは、1991年に生産終了となっていたジープの「グランドワゴニア」のコンセプトカーを発表。こちらも2021年の生産開始がアナウンスされた。さらには、この秋にはGMCから「ハマーEV」も登場するだろうと噂されている。

 相次ぐ、昔の名前の復活。そこには、どのような理由があるのだろうか。

 まず、話題の3台はどのようなクルマなのだろうか。そこから説明していこう。

 フォード・ブロンコは、1966年に誕生し、1996年まで生産されていたSUVだ。

フォード「ブロンコ」の走行シーンフォード「ブロンコ」の走行シーン

 初代モデルのライバルは民生クロカンの祖といえる「ジープ」。その後もブロンコは、2ドア+荷室という質実剛健な本格派として代を重ねていた。そして、24年ぶりの復活となる新型も、その内容は本格派のオフローダー。タフな4WDとして再デビューを果たす。

 ジープ・グランドワゴニアは、1991年に生産終了となった。1963年から販売された「ワゴニア」の進化版で、1984年よりグランドワゴニアを名乗るようになる。

ジープ「グランドワゴニア」ジープ「グランドワゴニア」

 ジープというクロカン専門ブランドの中で、プレミアムSUVという新境地を開拓したモデルといえる。当然のように復活する新型モデルも、現代のプレミアムSUVにふさわしい、ゴージャスな内装や最新技術が採用されている。

 ハマーは、アメリカ軍の軍用4輪駆動車「ハンヴィー」をルーツに持つ大型SUVだ。

GMC「ハマーEV」のティザー写真GMC「ハマーEV」のティザー写真

 1992年に実際の軍用車の民生版として「H1」の名称で販売が開始され、1999年より「ハマー・H1」と名称を変更。2002年より乗用SUVベースに代替わりし(ハマーH2)、2006年にハマーH3が登場し、2010年に生産が終了となる。軍用車をルーツにするだけあって、その強面のルックスが最大の特徴であった。

 そんなハマーがこの秋、EVとなって復活する。CRABWALKモードがあり、4輪操舵によって、まるでカニのように横に移動できるという。

 本格クロカン、プレミアムSUV、強面のEVという、どれも個性の強い3台。コロナ禍で意気消沈するアメリカ自動車業界としては、明るいニュースとなることだろう。

※ ※ ※

 そんな3台のように、生産終了となっていた旧型モデルの名称が新型で再び採用される、こうした“昔の名前で出ています”という復活劇は、今回の3台にとどまらず、じつは広く世界中で見られる光景だ。

 日本でいえば、ダイハツの軽自動車「タフト」やコンパクトSUVの日産「キックス」、ダイハツ「ロッキー」も、すべて復活した名称だ。

 ダイハツ・タフトは、1984年に生産終了。日産・キックスは、2008年から2012年に生産されていた軽自動車。またダイハツ・ロッキーも、2002年に生産終了となっていたSUVであった。

 さらにいえば、過去2、3年の話題のクルマにも、そうした復活の名称が数多く存在する。トヨタの「スープラ」、ホンダの「インサイト」もそうである。海外ブランドでいえば、2019年に誕生したランドローバーの新型「ディフェンダー」も、3年の生産終了期間を挟んでの復活となる。

■世界的なSUV人気で各社ラインナップの拡充が急務

 そもそも、そうした名称の復活劇が多いのは、いくつかの理由が挙げられる。

FCAジープブランドのグローバルプレジデントであるクリスチャン・ムニエ氏による、ジープ「グランドワゴニア」のプレゼンテーションの様子FCAジープブランドのグローバルプレジデントであるクリスチャン・ムニエ氏による、ジープ「グランドワゴニア」のプレゼンテーションの様子

 最大の理由は「知名度」だろう。誰も聞いたことのなかった新しい名称を広く知らしめるのは、非常に手間もコストも時間もかかるもの。とくに飲料品などは売り上げを伸ばすのには膨大なマーケティング費用がかかり、計算してみると商品の販売価格の9割がそうした費用になるという笑い話さえある。

 そうした費用と時間を一気に短縮できるのが、すでにある知名度の高い名称を再利用するという方法だ。とくに旧型の人気が高いほど、その効果が大きい。レクサスのスポーツモデル「LC」の知名度が、トヨタの「スープラ」ほど高くはないというのも、このような歴史があるなしの差ともいえるだろう。

 また、車名には商標という問題がある。自動車メーカーというものは、数多くの車名の商標を取得しており、誰もが知っていそうな言葉を新型車に使うのは、意外と簡単ではない。

 ルノーの「クリオ」が、日本で「ルーテシア」の名称を使うのは、すでにホンダがクリオという名称を商標登録していたからだ。

 そして、もうひとつ注目してほしいのは、ブロンコやグランドワゴニアをはじめ、ディフェンダー、タフト、キックス、ロッキーという、これらの復活劇の名称がすべてSUVというところだ。

 これは端的にいえば、時代のトレンドというのが理由だろう。

 いま、日本で人気を集めるのはSUVとなる。2020年の1月から6月の新車販売ランキングで1位を獲得しているのは、「プリウス」でもなく、「カローラ」でもなく、「アクア」、「ヤリス」でもない。SUVの「ライズ」だ。

 また、日本だけでなく、SUVの注目は欧州や中国でも非常に高まっている。さらにいえば、アメリカは、もともとSUVの人気が非常に高い。ピックアップトラックのフォードF150が、約30年にわたって乗用車も含めて販売台数ナンバーワンになるお国柄だ。

 そこに世界的なSUVブームが到来したのだ。自動車メーカーとしては、売れ筋であるSUVのラインナップをさらに拡充したいと考えるのは当然のこと。

 そして、過去に同様のコンセプトでディスコン(終売)になったモデルがあれば、誰も知らない新しい名称を使うよりも、名称を復活させることを選ぶだろう。

 SUVのブームが到来したことで、SUVの車名復活が増えた。それが、とくにSUVで多くの復活がある理由といえるだろう。

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