PHEVのSUVに新たな刺客!? 三菱「エクリプスクロス PHEV」とトヨタ「RAV4 PHV」を比較
くるまのニュース / 2020年10月19日 10時10分
三菱は「エクリプスクロス」をマイナーチェンジし、PHEVを追加します。SUVのPHEVモデルでは、トヨタが「RAV4 PHV」を販売していますが、両車はどのような違いがあるのでしょうか。
■三菱は新たなPHEVモデルとして「エクリプスクロス PHEV」を投入
三菱はクロスオーバーSUV「エクリプスクロス」をマイナーチェンジし、デザインを一新するとともに、プラグインハイブリッドを搭載する「エクリプスクロス PHEV」を追加します。
SUVでPHEVを搭載するモデルはまだ少なく、三菱には「アウトランダーPHEV」があります。
三菱以外では、トヨタが「RAV4 PHV」を2020年6月に追加しましたが、予定生産台数を超える注文を受け、現在はオーダーが一時的にストップされているほどの人気ぶりです。
そこで今回は、エクリプスクロス PHEVとRAV4 PHVを比較してみます。
新型エクリプスクロスは、ガソリンモデル、PHEVモデルともにフロントとリアのデザインを一新し、上質感を高めながらいっそう流麗で洗練されたフォルムとしました。
三菱のデザインコンセプトの「ダイナミックシールド」を進化させ、ヘッドランプのレイアウトを変更。これまで以上に精悍でスポーティな表情とするとともに、バンパー下部にアンダーガード風ガーニッシュを採用し、SUVとしての力強さを表現しています。
リアは、従来モデルで特徴的だった、横一文字に光るテールランプとダブルガラスを廃止。流れるようなシルエットのシングルガラスに変更してスタイリッシュなスタイルを実現するとともに、良好な後方視界を確保しました。
リアランプは三方向にのびる立体的なデザインとし、高い位置に配置することで被視を確保。一目でエクリプスクロスだと分かる独自の意匠を採用しました。
また分厚いボディパネルやバンパーは、塊感や頑丈さを表現しつつ、そこに刻まれた背面装着式スペアタイヤからインスパイアした六角形のモチーフを配することで、SUVとしての機動性とスタビリティの高さを表現しています。
内装はブラックを基調色とし、エンボス加工のスエード調素材と合成皮革のコンビネーションシートを上級グレードに採用しました。
メーカーオプションの本革シートは従来のブラックに加えてライトグレーを新たに設定。ドアトリムも同色でコーディネートし、上質でスポーティな空間としています。
一方、RAV4 PHVのデザインは、ワイルドなRAV4をベースに、PHVとしての先進性を取り入れたスタイリッシュな外観としています。
RAV4ブランドの最上級モデルとして、先進かつスポーティなイメージをより強めたフロントビューや専用のフロントグリルとロアモールが、RAV4 PHVとしての個性を際立たせ、低重心で踏ん張り感のあるスポーティな表情としました
さらに専用LEDデイライトや新意匠の19インチアルミホイールで、先進感を強調しています。
内装は、天井やピラー、オープントレイなどをブラックで統一し、スポーティさとともに、上質感を演出するレッドステッチを採用。
インパネやドアトリム、シート、ステアリングホイール、シフトブーツ、センターコンソールにレッドステッチを施し室内をコーディネートしました。
■モーターによる加速はスポーツカー並み!
エクリプスクロス PHEVとRAV4のパワートレインは、どのような仕様なのでしょうか。
エクリプスクロス PHEVは、2.4リッターエンジンに前後1基ずつの高出力モーターと大容量の駆動用バッテリーを組み合わせた、アウトランダーPHEVで実績のあるツインモーター4WD方式のPHEVシステムを最適化して搭載しています。
三菱新型「エクリプスクロス PHEV」
電動車ならではの滑らかで力強く静かな加速を実現し、発進時の瞬発力は三菱のスポーツ4WD「ランサーエボリューションX」と同等だとされています。
さらに、ツインモーター4WDと車両運動統合制御システム「S-AWC」により、どのような路面状況でも優れたハンドリングと走行安定性を可能としています。
EV航続距離は、アウトランダーPHEVと同等の約57km(WLTCモード)、充電にかかる時間は、普通充電(200V)が約4.5時間、急速充電では約25分で80%まで充電できます。
対するRAV4 PHVは、2.5リッターダイナミックフォースエンジンに新開発のプラグインハイブリッドシステム「THS・II Plug-in」を搭載。
RAV4のハイブリッドシステムよりもフロントモーターとインバーターを高出力化し、大容量で高出力の新型リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、システム最高出力306馬力というスポーティで力強い走行を可能としました。
なお、0-100km/h加速タイムは6.0秒と、トヨタ車ではスポーツカー「スープラ」の次に速いクルマということになります。
また、EVモードでの航続距離は、クラストップレベルの95kmを実現。優れた環境性能も両立しています。充電にかかる時間は、普通充電(200V)が約5.5時間です。なお、急速充電に対応していない点が、エクリプスクロス PHEVとの違いとして挙げられます。
※ ※ ※
PHEV車の利便性として、アウトドアなどではもちろん、停電や災害時に活用できる給電機能がありますが、両車ともに最大1500W(AC100V)の電力供給を可能としています。
家庭用の蓄電池としての価値も持ち合わせており、それぞれのメーカーの説明によると、エクリプスクロス PHEVは、満タン・満充電の状態から一般家庭の最大約10日分に相当する電力を供給、RAV4 PHVは3日程度の電力を供給することが可能です(供給可能日数は各メーカーの算出条件に基づきます)。
価格は、エクリプスクロスPHVが約385万円から約450万円、RAV4 PHVが469万から539万と、RAV4 PHVのほうが80万円以上高い設定になっています。
ちなみに、それぞれのガソリン車においては、エクリプスクロスが約255万円から約335万円、RAV4が260万8200円から334万8000円とほとんど同じ価格です。
ガソリン車との価格差は、エクリプスクロスPHVが120万円前後、RAV4 PHVが200万円前後となり、RAV4 PHVの価格差が目立ちます。その点エクリプスクロス PHEVは、比較的お求めやすい価格を実現しているようです。
新型エクリプスクロスおよびエクリプスクロス PHEVの発売は2020年12月の予定です。
輸入車では普及しつつあるSUVのPHEVモデルですが、国産車ではまだ少数派です。
環境に配慮したクルマが求められる時代となり、PHEVの実績があるトヨタと三菱がラインナップを増やすことで、将来的にほかの国産メーカーもSUVのPHEV車の導入へ乗り出すことになるのかもしれません。
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